世界タブレット出荷、3年ぶり減少 Appleのみ増加 iPadのシェア断トツ38%
米調査会社IDCがこのほど公表したリポートによると、2022年に世界で出荷されたタブレット端末は1億6280万台で、前年から3.3%減少した。タブレット市場は、新型コロナウイルス禍の需要増を背景に成長を続けていたが、3年ぶりに減少に転じた。
巣ごもり需要一服で再び減少
首位の米アップルが台数を伸ばした。韓国サムスン電子や米アマゾン・ドット・コムなど、上位5社のうちアップル以外の4社はいずれも減少した。
アップルの出荷台数は6180万台で、前年から7%増加した。シェアは38%で前年から3.7ポイント上昇した。2位のサムスンの台数は3030万台で、前年から0.8%減少した。サムスンのシェアは前年から0.4ポイント低下して18.6%となり、アップルの半分以下にとどまった。
3位のアマゾンは前年比0.7%減の1600万台。4位の中国レノボ・グループは1160万台で、前年比34.6%減と大幅に落ち込んだ。5位は中国・華為技術(ファーウェイ)で、同7%減の910万台だった。
タブレット端末の世界出荷台数は14年の2億3010万台をピークに減少が続いた。
だが、コロナ禍の在宅勤務やオンライン学習の広がりで20年に増加に転じ、21年も引き続き増加した。しかし、22年はこうした巣ごもり需要が一服し再び減少した。
iPad、10~12月は28.8%増と高い伸び
22年10~12月期のメーカー別出荷台数は、アップルが2250万台、サムスンが770万台、アマゾンが250万台、ファーウェイとレノボはそれぞれ230万台だった。
このうち出荷台数が前年同期から伸びたのはアップルとサムスンのみ。アップルは同28.8%増、サムスンは同7.1%増となった。IDCによるとタブレット市場は主にこの2社がけん引している。同四半期のアップルのシェアは49.2%、サムスンは16.8%だった。
アップルは22年10月に発売した10.9インチ型「iPad(第10世代)」と最上位機種「iPad Pro」の新モデル(11インチ型と12.9インチ型、いずれも独自設計半導体「M2」搭載)の販売が好調だった。
iPadの売上高29.6%増、22年10~12月
iPadの大幅な伸びは、アップルの22年10~12月期業績結果と一致している。22年10~12月期におけるアップルの事業別売上高は、スマートフォン「iPhone」、パソコン「Mac」、腕時計型端末「Apple Watch」などの周辺機器がいずれも減収だった(それぞれ8.2%減、28.7%減、8.3%減)。
しかしiPadは29.6%増と大幅に伸び、金額は93億9600万ドル(約1兆2300億円)と、Macを上回った。
ただ、業界全体を見れば、これらデバイスの世界市場は23年も振るわないようだ。米調査会社のガートナーによれば、携帯電話やパソコン、タブレット端末の世界出荷台数は、23年も前年実績を下回る見通し。これらの年間出荷台数は合計で17億4000万台。22年から4.4%減少するという。このうちタブレット端末の出荷台数は、前年比2.9%減の1億3300万台になるとみている。
- (本コラム記事は「JBpress Digital Innovation Review」2023年2月10日号に掲載された記事を基にその後の最新情報を加えて再編集したものです)