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元WBCスーパーウエルター級王者の勝利

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(C)Esther Lin/SHOWTIME

 現WBA/WBC/IBFスーパーウエルター級チャンピオン、ジャーメル・チャーロが喫した唯一の黒星は、2018年12月22日に行われたトニー・ハリソン戦だった。チャーロ弟は、0-3の判定負けで王座から転落した。

 しかし1年後のリターンマッチで、ハリソンは11回KO負けでベルトを失う。初防衛戦に失敗したのだ。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20191224-00155932

 コロナ禍で1年4カ月のブランクを余儀なくされたハリソンは、2021年4月17日に復帰戦を迎えたが、3者3様のドローに終わる。チャーロに喰らったKO負けを、まだ引き摺っているように見えた。

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 ハリソンは、このほど復帰第2戦として33勝(14KO)1敗のスペイン人、セルヒオ・ガルシアと対戦。ガルシアはWBC4位にランクされていた。

 このスペイン人ファイターも、昨年末の米国デビュー戦で敗れており、再起を懸けての一戦だった。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20211210-00271438

 もはや負けられない両者は激しく打ち合う。序盤はガルシアのワンツーがヒットするシーンも見受けられたが、徐々にハリソンが効果的にジャブを当て、リングを支配していく。

 ラウンドが進むにつれ、ジャブをもらったガルシアが後退する光景が目立った。

(C)Esther Lin/SHOWTIME
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 ハリソンが放ったパンチは592。そのうちのヒット数は197。ガルシアは491分の103で、ワンサイドとなった。

 正式なスコアは100-90、100-90、98-92でハリソンが勝利を掴んだ。これで、ハリソンの戦績は29勝(21KO)3敗1分けとなった。

(C)Esther Lin/SHOWTIME
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 試合後、勝者は言った。

 「俺は自分のジムを持っているんだ。地域に貢献したくてさ。毎日、若い子たちと共に汗を流すようにしてきた。でも今回は、子供たちと6カ月も会わずにトレーニングに集中した。初の試みだ。早く皆の顔が見たいね。ジムに通う100人くらいの次世代の若者を支えたいと常々考えている。その前に、休暇をとるよ」

 世界王座返り咲きを狙うハリソン。スーパーウエルター級は5月14日に4冠統一戦を控えているが、勝者に絡むことが出来るだろうか。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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