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アセンシオの爆発と「右WG」「偽9番」「インサイドハーフ」の最適ポジションを考察。

森田泰史スポーツライター
マドリーでプレーするアセンシオ(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

ユニフォームを脱いで、喜びを爆発させた。

リーガエスパニョーラ第23節、レアル・マドリー対グラナダの一戦で、決勝点を記録したのはマルコ・アセンシオだった。

タイスコアで迎えた73分、アセンシオがミドルレンジで左足を一閃。ボールがネットに吸い込まれると、アセンシオは上半身裸になりサポーターの下に駆け寄った。

グラナダ戦で決勝ゴール
グラナダ戦で決勝ゴール写真:ムツ・カワモリ/アフロ

思い起こされたのは、東京五輪の準決勝だ。日本との試合で、決勝ゴールを沈めたのがアセンシオであった。その際にも、アセンシオはユニフォームを脱いでゴールを祝っていた。

あの時、アセンシオには批判が集中していた。レアル・マドリーで期待されたような活躍ができず、オリンピックのチームでも控えに回された。「好き勝手に意見を言って、批判する人たちがいる。僕たちは、それを受け入れて生きていかなければいけない。だけど、批判をするにも、超えてはいけない一線がある」とはアセンシオの言葉だ。

今季に関しては、アセンシオに批判が集中しているわけではない。だがカリム・ベンゼマとヴィニシウス・ジュニオール不在のゲームで、期するものがあったのかも知れない。

東京五輪の日本戦
東京五輪の日本戦写真:ロイター/アフロ

今季、カルロ・アンチェロッティ監督はアセンシオを複数ポジションで試してきた。

ウィング、インサイドハーフ、ファルソ・ヌエベ(偽背番号9/ゼロトップ)にアセンシオを配置してきたのは、イタリア人指揮官の信頼の証だった。

■アセンシオの中盤

アセンシオはリーガ第6節のマジョルカ戦でハットトリックを記録した。キャリアで初のハットトリックだった。

その試合、アセンシオはインサイドハーフでプレーしている。前線にはヴィニシウス 、ベンゼマ、ロドリゴ・ゴエスが入り、中盤にアセンシオ、フェデリコ・バルベルデ、エドゥアルド・カマヴィンガが据えられた。

右インサイドハーフのアセンシオは、守備から攻撃の切り替えで力を発揮する。元々、スピードはそれほどない。だが、パワーはある。相手のMFラインとDFラインの間でボールを受け、あるいは自分で奪い、馬力のあるドリブルで突き進む。ミドルレンジからはパンチのあるシュートを見舞える選手であるから、彼の武器は威力を増す。

■ウィング起用

ただ、マドリーはカゼミーロ、トニ・クロース、ルカ・モドリッチという3選手を擁している。盤石な中盤で、アセンシオはおろか、バルベルデやカマヴィンガでさえ出番が少ない。そのなかで、アセンシオのポジションは再びウィングに移されていった。

右ウィングのアセンシオは、カットインシューターになれる。右のワイドでパスを受けて、中央にドリブルしながら、左足でシュートを放つ。また、インサイドハーフを経験して、ハーフスペースでボールを受けるプレーやニアゾーンランが巧みになった。

■ゼロトップ

さらに、アンチェロッティ監督はアセンシオのゼロトップを試している。

コパ・デル・レイ準々決勝のアトレティック・クルブ戦で、アセンシオがゼロトップに置かれた。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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