プラネットナインの実在を示す「史上最強の証拠」を新発見!
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「プラネットナインが実在する最高の証拠」というテーマで動画をお送りします。
2024年4月、カリフォルニア工科大学などの研究チームが、プラネットナインが実在する最高の統計的証拠を得たと発表しました。
本動画では第9惑星とプラネットナインの概要と、最新の発見について解説していきます。
●プラネットナインとは?
太陽系には現在、8つの惑星が知られています。
太陽から近い順に、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星です。
以前までは冥王星が第9の惑星として扱われてきました。
しかし2006年に冥王星は「準惑星」に再分類されています。
その理由は観測技術の進歩により、冥王星が存在する海王星以遠の領域(太陽系外縁部)に、冥王星に匹敵する規模の天体が数多く発見されるようになったためです。
研究者たちは惑星を再定義し、「準惑星」という新たな天体分類を設けることで、惑星の数が不用意に増加するのを防ぎました。
では海王星以遠の遠く暗い領域に、未発見の第9惑星は実在するのでしょうか?
これまで明確な観測的根拠をもとに、いくつかの第9惑星の候補天体の存在が予言されています。
その中でも、2016年にカリフォルニア工科大学の研究チームが予言した、天王星の大きさに相当する太陽系外縁部の氷惑星は特に「プラネットナイン」と呼ばれており、有名な仮説天体の一つです。
○プラネットナインが予言された根拠
プラネットナインが存在すると予言された根拠は、太陽から非常に遠い場所を公転する6つの太陽系外縁天体の公転軌道における奇妙な偏りです。
これらの天体のそれぞれの公転軌道のうち、太陽から最も近い点である「近日点」が空間的に似た方向に集まっているのがわかると思います。
また公転軌道面が、より内側を公転する惑星たちの公転軌道面とは異なる面で統一的でもあります。
そしてこの公転軌道の偏りが自然的に起こる確率は約15000分の1であると計算されています。
この奇妙な偏りは、これら6天体と同じく太陽系外縁部の深い領域を公転する、惑星サイズの巨大天体(プラネットナイン)による重力的な影響であると考えるとうまく説明ができるため、これがその存在の根拠です。
○予想されるプラネットナインの特徴
前述の観測的根拠をもとに推定されるプラネットナインの特徴を紹介します。
まず公転軌道の見た目はご覧の通りで、地球や太陽から400~800au(1au=地球と太陽の平均距離≒1.5億km)の位置を公転しており、その公転周期は1~2万年であると見積もられています。
また、プラネットナイン自体の質量は地球の5~10倍、直径は地球の2~4倍であると推定されていて大きさや組成は巨大氷惑星である天王星や海王星と似ていると考えられています。
●プラネットナインの最強の証拠を発見
2024年4月、カリフォルニア工科大学などの研究チームが、プラネットナインが実在する最高の統計的な証拠を得たと発表しました。
研究チームはプラネットナインと、太陽系外からの重力的な影響を考慮し、それらによって太陽系外縁天体の軌道がどのように変化するのかを、コンピュータシミュレーションで分析しました。
その結果、ある特殊な公転軌道を持つ太陽系外縁天体が連続的に生成される可能性が判明しました。
特殊な公転軌道とは具体的に、地球の公転軌道面に対する傾き(軌道傾斜角)が40度未満であり、かつ遠日点は数百auも彼方にあるが、近日点が海王星軌道(30au)よりも内側にあるような軌道です。
このように一時的に海王星の内側に食い込むような軌道は非常に不安定であり、このような天体はいずれ太陽系のより遠い領域へ飛ばされるか、太陽系を完全に飛び出してしまうこともあるといいます。
よってこのような天体が現在の太陽系にも存在するとすれば、そのような天体の軌道が、プラネットナインなどの影響で常に生成されていることを示唆します。
実際、傾きが小さく、遠日点が遠いが海王星軌道以内まで食い込んでくる特殊な公転軌道を持つ太陽系外縁天体は、いくつも見つかっています。
○本当にプラネットナインが原因なのか?
研究チームは、実際の太陽系にも存在する特殊な公転軌道を持つ外縁天体が、本当にプラネットナインの影響によって生成されたのかを、観測的なバイアスにも配慮した上で分析しました。
するとプラネットナインがある場合とない場合で、明らかにこれらの天体の近日点の分布が異なることが判明しました。
これらのグラフの横軸は、各外縁天体の軌道長半径、縦軸は近日点の太陽からの距離を示しています。
プラネットナインがない場合、海王星の重力的な影響により、天体たちの近日点は海王星軌道付近に維持されます。
一方でプラネットナインがあると、それに接近した外縁天体の公転軌道の近日点が変化するため、全体的には均等に分布しているように見えます。
実際の観測では、特殊な公転軌道を持つ17個の天体が発見されており、それらは海王星以内で均等に散らばったような近日点分布をしています。
これはプラネットナインが存在することを示すものとして、これまでで最高の統計的な証拠だとのことです。
●地球サイズの惑星存在の予言も
プラネットナインは第9惑星の候補天体の1つに過ぎず、それとはまた別の根拠により、別の仮説天体が第9惑星の候補として提唱されることがあります。
近畿大学などの研究チームは2023年8月末、太陽系外縁部に地球の1.5~3倍程度の質量を持つ惑星(カイパーベルト惑星)が存在することを予言し、その推定される公転軌道も発表しました。
○カイパーベルト惑星が存在する根拠
海王星以遠に存在する太陽系外縁天体の中でも、以下の天体群は、標準的な太陽系形成モデルではまとまった説明ができていない、厄介な存在です。
海王星の重力に影響されつつ、安定的に太陽を公転する天体群海王星の重力が及ばない遠い領域に存在する天体群(青色)惑星の公転軌道面から45度以上傾いた軌道を持つ天体群(緑色)例えばセドナのように、特異な軌道を持つ天体群(黄色)
コンピュータシミュレーションの結果、これらの特異な天体群の存在は全て、太陽系外縁部に存在する未知の地球サイズの惑星(赤色のカイパーベルト惑星)からの重力を考慮すれば上手く説明できると判明しました。
○カイパーベルト惑星の特徴
このシミュレーションから、カイパーベルト惑星の物理的な特徴も推定されています。
まず質量は地球の1.5~3倍と、かなり地球に近い大きさを持ちます。
そして太陽から200~500au(または200~800au)以内を公転しているとのことです。
さらに、惑星の公転軌道面から30度傾いた公転軌道を持つとされます。
また、カイパーベルト惑星の存在により、既知の太陽系外縁天体の存在に矛盾が生じることもないとのことです。
今後もこのようなプラネットナインを筆頭とした第9惑星候補の実在を支持する統計的な証拠が探し続けられますし、もしかしたら実際に第9惑星が発見される可能性もあります。
第9惑星はそもそも存在するのか?もし存在するとしたら、岩石惑星なのか、ガス惑星なのか?なんとか生きている間に第9惑星が発見されてほしいものです。