毎月「定額払い」の落とし穴 年率15%「メルペイスマート払い」は消費者のためになるか
借金がカジュアルにできる時代になっています。リボ払いという名前ではなく、「ミニマムペイメント」や毎月「定額払い」などという表現がされることもあるので消費者は注意をする必要があります。
2020年7月7日(火)より、「メルカリ」の過去の利用実績等をもとに、商品購入代金を後からまとめて支払うことができるサービス「メルペイスマート払い」が始まりました。ひと月20万円を上限金額として、「メルカリ」での商品購入代金に加え、全国の「メルペイ」加盟店での支払いを後からまとめて行うことができる支払い方法です。毎月定額で柔軟な支払いができる「定額払い」がウリです。しかし、便利な反面、消費者は年率15%もの手数料を支払う必要があります。
メルペイ、「メルペイスマート払い」で 毎月定額で柔軟な支払いができる「定額払い」に対応
また、定額払い手数料0円キャンペーンを実施しており、2020年7月7日(火)00:00〜2020年10月31日(土)23:59(予告なく変更・終了する場合があり)の期間中は定額払い手数料0円キャンペーンをしています。しかし、手数料0円だからといって気軽に借りてしまうと、借金癖ができたり、元本の返済が困難になる場合もあります。特にコロナショックの影響で残業代やボーナスなどの臨時収入が見込めない時代です。生活が苦しいからと、気軽に生活費のために借りてしまう人が出てこないか心配です。借金で苦しむ人の多くは、最初は生活費の補填など小さな金額から始めた人も多いのです。
年率15%の場合、どれくらい手数料が膨らむのでしょうか。例えば、3万円のお財布を年利15%のリボ払いで購入するとします。毎月の返済額を5,000円とすると、支払額の内訳は以下のようになります(2018年1月1日に買い物をした場合)。
1ヵ月目:5000円(元金)+320円(手数料)
2ヵ月目:5000円(元金)+287円(手数料)
そうすると6カ月かけて返済する総額は3万1233円になります。手数料という名の下の利息だけで1233円もかかったことになります。さらに返済が長期化したり、高額化すると、手数料はどんどん膨らんでしまうのです。
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海外では日本のように簡単にクレジットカードを作ることができません。数ヶ月分の給与明細を提示し、審査を経てようやくクレジットカードが与えられますが、カードの利用限度額も低めです。一時増額なども医療費の建て替えなどに限られ、より大きな買い物をしたい場合は、自分のクレジットカードに預金を入金するなどの必要があります。海外では日用品の購入はデビットカード、大きな買い物はクレジットカードと消費者も使い分けており、リボ払いは必要な大きな買い物のみです。イメージ的に家具などの大きな買い物のローンのような形です。コーヒーやスーパーの買い物でリボ払いにする人はほとんどいません。リボが必ずしも悪いわけではありませんが、無自覚に生活費の支払いに当てることがよくないのです。
新入社員の初任給の平均は大卒で21万200円です。そこから所得税、住民税、社会保険料などが控除され、手取りにすると17万円程度になります。手取りは額面のおおよそ8割程度になります。4月や初年度は控除されるものが少ないですが、2年目からは住民税など控除が増えます。また、奨学金の返済、実家にお金を入れている人も多いために自由に使えるお金はもっと少ないです。一人暮らしをすれば家賃や光熱費や食費の支払いもあります。ここに定額払いが加われば、家計は悪影響を受けざるを得ません。貯金が難しい状況になるでしょう。
日本では借り入れは年収の1/3までになっています。例えば、年収300万円の人が貸金業者から借り入れができる合計額は最大で100万円です。めいいっぱい利用すれば、自由に使えるお金は200万円まで。これ以上使えば、生活が破綻することが予測されます。返済能力を超える借り入れを規制しているのです。
また、人間の心理的にすでに消費をした物の支払いが後から来るのは気持ちが悪いものです。プリペイドカードやデビットカードのような前払いや即時払いの方が家計を健全化させることができます。最悪でもチャージの分まで、口座の残金までしか使えないことによって制限をかけることができるからです。また、国内でのデビットやプリペイドの利用の際には一般に手数料を取られることもなく、ポイントが付く場合も多いです。クレジットカードの場合は高校生は作ることができず、未成年の場合は親権者の同意が必要です。プリペイド、デビットの場合はもう少し低年齢でも利用できる場合もあります。
特にキャッシュレス初心者はクレジットカードを利用する場合も預金額を限度に利用し、基本的に一括払いをお勧めします。また、必ずクレジットカードの明細を確認するようにしましょう。カジュアルですが、借金だからです。スマホの分割払いもですが、支払いが滞れば与信に傷がつく場合もあります。何らかの状況でカード番号が代わり、決済が失敗をしたという場合は、速やかにカード会社に連絡をして支払う必要があります。
さて、クレジットカードなどの明細を見ていて、なんらかの理由から(初期設定なども含めて)リボ払いになっている場合もあるようです。現在の貯金から一括で返済をしたい場合はカード会社などに連絡をするなどで支払い方法の変更ができるのが一般的です(変更期日などあり)。無自覚のまま何年も手数料を取られていたということは避けましょう。特にマイナポイント事業なども含めてキャッシュレスが盛り上がり、マネー初心者もカードの利用が増える頃。うっかり失敗のないように管理を徹底しましょう。