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エンジェルスは夏のトレード市場で売り損ねたのか。放出はブルペンから2人だけ

宇根夏樹ベースボール・ライター
ケビン・ピラー(ロサンゼルス・エンジェルス)Jul 19, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスは、この夏、2件のトレードを成立させた。2人のリリーフ投手、カルロス・エステベスルイス・ガルシアを、それぞれ、フィラデルフィア・フィリーズとボストン・レッドソックスへ放出し、その見返りとして、計6人のマイナーリーガーを手に入れた。

 エステベスとガルシアは、どちらも、今オフにFAとなる。

 彼らと違い、先発投手のタイラー・アンダーソンや内野手のルイス・レンヒーフォは、来シーズンも保有できる。外野手のテイラー・ウォードがFAになるのは、2026年のオフだ。エンジェルスが来年のポストシーズン進出をめざすのであれば、彼らを手放さなかったことは、そうすべきかどうかはさておき、理解できる。

 一方、エンジェルスには、放出したエステベスとガルシアの他にも、今オフにFAの選手がいる。なかでも、リリーフ投手のハンター・ストリックランドは、トレード・デッドライン前日の7月29日までに、47登板の49.0イニングで防御率3.12を記録していた。外野手のケビン・ピラーは、199打席で打率.287と出塁率.343、7本塁打、OPS.824。シカゴ・ホワイトソックスでプレーした、開幕から4月下旬までを除くと、167打席で打率.308と出塁率.353、7本塁打、OPS.853となる。

 ただ、ストリックランドは、かつてのようなハードボーラーではない。スタットキャストによると、今シーズン、4シームの平均球速は95マイルに達していない。94.2マイルだ。その上、スライダーの空振り率は、例年と比べると、かなり低い。6月の13登板は、12.0イニングで自責点11。4登板で自責点2以上を記録した。

 ピラーも、6月は、61打席で打率.204と出塁率.295、1本塁打、OPS.628だ。こちらは、7月に入ってからも復調していない。ちなみに、5月の69打席は、打率.409と出塁率.435、5本塁打、OPS1.147。明らかに出来すぎだった。

 この夏、トロント・ブルージェイズは、菊池雄星(現ヒューストン・アストロズ)をはじめ、FAまで数ヵ月の選手を次々と放出した。エンジェルスがそうできなかったのは、ペリー・ミナシアンGMが売り損ねたというよりも、今オフにFAとなる選手のうち、引き合いがあったのは、エステベスとガルシアだけ、ということなのかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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