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ヤンキースは離脱中のMVP2人と救援投手が一斉復帰へ。ここからの加速は間違いない!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャンカルロ・スタントン(ニューヨーク・ヤンキース)Apr 7, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ニューヨーク・ヤンキースは、6月1日のオフを経て、翌日からドジャー・スタジアムで3試合を行う。その前に、アクティブ・ロースターの顔ぶれは、大きく変わりそうだ。

 MLB.comのブライアン・ホックによると、故障者リストに入っている3人、DHのジャンカルロ・スタントン、三塁手のジョシュ・ドーナルソン、リリーバーのトミー・ケインリーは、ロサンゼルスでチームに合流するらしい。このシリーズで復帰する(予定)ということだ。

 スタントンは、4月中旬から離脱している。ドーナルソンは、開幕直後からだ。ケインリーは、今シーズン、メジャーリーグのマウンドに上がっていない。

 3人とも、実績は十分だ。スタントンとドーナルソンの通算本塁打は、それぞれ、382本と267本を数える。通算の出塁率とOPSは、スタントンが.353と.890、ドーナルソンは.361と.852。2人とも、MVPを受賞したこともある。彼らと比べると、ケインリーのキャリアは控えめながら、メジャーリーグで8シーズンを過ごし、通算300登板まで2登板に迫っている。

 スタントンが戻ってくれば、打線はパワーを増す。7度のシーズン30本塁打以上のうち、6度目と7度目は、2021年と2022年だ。昨シーズンは、110試合で31本塁打。今シーズンも、13試合で4本のホームランを打っている。現在の年齢は33歳だ。

 一方、37歳のドーナルソンは、シーズン30本塁打以上を4度記録しているものの、その最後は2019年。昨シーズンは、132試合で15本塁打にとどまり、出塁率も.308と急降下した。その前の7シーズン(2015~21年)の出塁率は、いずれも.350を上回っていた。

 今シーズンの1本塁打と出塁率.176は、わずか5試合の数値に過ぎないが、昨シーズンのスタッツと年齢を踏まえると、再び好成績を残せるのかどうかには疑問符がつく。不振が続き、アーロン・ヒックス(現ボルティモア・オリオールズ)のように、DFA→解雇の道をたどってもおかしくない気がする。今シーズンは、ヤンキースへ移ってくる前にミネソタ・ツインズと交わした、4年9200万ドルの契約最終年(来シーズンは球団オプション)だ。

 ドーナルソンが戻ってくることよりも、一塁手のアンソニー・リゾーが故障者リストには入らずに済みそうなのが――スタントンの復帰とともに――ヤンキースには朗報だろう。リゾーは、5月29日から欠場が続いている。それについては、「このチームメイトの故障はジャッジのアーチ量産に影響を及ぼすのか。ジャッジはここ15試合で11本塁打」で書いた。

 ケインリーは、スタントンと同じ33歳だ。2017年の夏から2020年のシーズン終了までヤンキースに在籍し、ロサンゼルス・ドジャースからFAとなった昨オフ、ヤンキースと2年1150万ドルの契約を交わした。2020年以降は故障が絶えないが、2019年は72試合に登板し、ア・リーグ6位タイの27ホールドを記録している。ケインリーに対する、ヤンキースの期待は小さくないはずだ。リリーバーのうち、ルー・トリビーノは先月上旬にトミー・ジョン手術を受け、イアン・ハミルトンも5月中旬から離脱している。

 なお、ニューヨーク・ディリー・ニューズのゲリー・フィリップスによると、こちらも故障者リストに入っている、先発投手のカルロス・ロドーンもロサンゼルスに行くものの、こちらは登板するのではなく、ブルペン・セッションを行うという。リハビリが順調に進んでも、復帰は7月だろうか。昨オフ、サンフランシスコ・ジャイアンツからFAになったロドーンを、ヤンキースは、6年1億6200万ドルの契約で迎え入れた。今シーズンの登板は、まだ皆無だ。

 ヤンキースは、34勝24敗で5月を終えた。勝率は.586だ。ただ、順位は、ア・リーグ東地区の3位。ワイルドカード・レースでも、3位のヒューストン・アストロズ(西地区2位)と僅差の2位だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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