梅雨の豪雨は「姿なき台風」
今年の梅雨は定まりなし
26日午前、東北南部が梅雨入りしました。平年より2週間遅く、1967年に並ぶ最も遅い梅雨入りです。
左図は今年の梅雨入りを平年と比べたものです。オレンジ色は平年より一週間以上遅くなった地域、緑色は平年との差が3日以内の地域、水色は平年より4日以上早くなった地域を表しています。なお、東北北部はまだ梅雨入りしていません。
沖縄・奄美と北陸・東北は平年より大幅に遅くなったものの、そのほかの地域は平年並みか、やや早くなりました。
季節の変化を表す梅雨入りは定義づけが難しく、主観的になりがちです。そのときどきの気圧配置に左右されやすい側面がありますが、今年の場合は5月中旬の台風6号、そして太平洋高気圧の張り出しが影響していると思います。
鹿児島で記録的な大雨になった理由
今月は太平洋高気圧が日本の南で強い一方で、本州付近は寒気の影響を受けたため、梅雨前線は北緯30度線に沿って停滞する日が続きました。
鹿児島では日雨量100ミリ以上の日が3日(25日まで)を数え、6月としては観測史上2番目に多くなっています。(6月の最多記録は1995年と1949年の4日です。)
一日に降る雨の量が100ミリとは、東京でいえば一年に1度あるかないか、それくらいの大雨です。
今月は雨が多いように思われるかもしれませんが、そのほかの地域では平年を下回っている所が多く、今年の梅雨は今のところ、一点集中型の降り方なのです。
梅雨の豪雨は「姿なき台風」
まもなく梅雨の折り返し。来月は平年より雨が多くなると予想されています。梅雨の後半は西日本や北陸で豪雨になりやすく、天気の急変に避難が間に合わず、大災害になることもしばしばです。
また、梅雨の豪雨は明瞭な低気圧や前線がない場所で発生することがあるため、「姿なき台風」と呼ばれることがあります。
上表は豪雨の原因をまとめたものです。豪雨をもたらす雨雲はライン状に連なり、数時間にわたって停滞します。これを線状降雨帯と呼び、発生する原因は主に5つに分けられます。
類型の1~3は、豪雨の発生する場所が低気圧や前線に近いため、予測は比較的容易ですが、類型4や類型5のように、梅雨前線から離れた場所や遠い台風からの湿った空気による豪雨は予測が極めて困難です。
これからの季節は予測が困難なケースが多くなります。ひとりでも多くの方が豪雨発生の仕組みを知ることで、準備や避難の必要性をより身近に感じていただけたら幸いです。
表紙の写真は岡田みはるさんからいただきました。