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圧巻の4ゴール。奪いどころのないパスワークで長野を破ったベレーザが準決勝へ(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
リーグカップ準決勝進出はならず。リーグ後半戦に向けて再起を誓う長野(C)松原渓

7月16日(日)に行われたなでしこリーグカップ第8節、AC長野パルセイロ・レディースと日テレ・ベレーザの一戦は、ベレーザが4-0で快勝した。

圧巻の4ゴール。奪いどころのないパスワークで長野を破ったベレーザが準決勝へ(1)

以下、試合後の監督・選手コメント。

【監督・選手コメント】

森栄次監督(ベレーザ)

ーー試合を振り返っていただけますか?

ピッチがスリッピーで、ボールは動かしやすいと思っていたので、良い展開だったと思います。もう少し、前半の早い段階で追加点が来てくれると良かったのですが。2点目はうち(ベレーザ)らしいゴールでしたね。緩急の「急」をうまく使って、スピードアップするという、ああいうゴールをもっと見たいですね。

ーー長野に対して、どのような対策を立てておられましたか?

(長野は)ブロックを作って、カウンター狙い、という戦い方が目立っていたので、(守備で)前から来られるよりはやりやすかったですね。我々も(守備で)ブロックを作り、そこから崩していくという対策を練っていたのですが、そこは表現できていたと思います。

ーーサイド攻撃から2得点しましたが、どのような狙いがあったのでしょうか?

右サイドと左サイドはバランスよく、攻撃していますね。こう動きなさい、という指示はしていません。左サイドは(長谷川)唯が抜けたところに宮川が入ってきたり、うまく三角形を作りながら崩していました。唯が中に入った時はボールを回しながら縦軸を使っていく、という狙いはあります。右サイドは、(清水)梨紗が縦に突っ込んでいける強みがあるので、(隅田)凜が中に入って、右サイドのスペースをうまく使って絡めればと考えていました。

ーー村松選手の負傷については、詳細は出ているのでしょうか。

どのような診断になるかはまだ分からないのですが、これからのことを考えると、欠場は痛いですね。ずっとイワシ(岩清水梓)とカツオ(村松智子)のセンターバックで守っていたので。今日は(土光)真代が代わりに出ましたが、ハーフタイムに積極的に前でボールを獲ろうという話をした中で、うまくやってくれました。今後も期待しています。

FW 籾木結花(ベレーザ)

ーー立ち上がり4分でゴールを決めました。試合の入り方はいかがでしたか?

相手のディフェンスラインと中盤のラインの間が意外と空いていて、自分や他の選手がそのポジションでボールを受けて、前を向く場面を多く作れました。左サイドは(長谷川)唯が起点になっていましたし、(宮川)麻都も、試合に絡むようになってまだ日は浅いのですが、徐々に連携が上がってきていると感じています。2人が考えていることは分かりますし、いつも同じ絵を描けていると思います。

ーー2点目を取った後のゲームプランはいかがでしたか?

落ち着いてボールを回そうという考えはあったのですが、相手もそこまで前線からボールを獲りにくる感じではなかったので、助かりましたね。

ーーこの後、籾木選手を含め、7人の選手がなでしこジャパンのアメリカ遠征に参加しますが、その7人が出場しない残りのカップ戦2試合は、チームにどのような戦いを期待していますか?

(予選リーグの)残り2試合は、準決勝進出が決まっている中での試合になるので、これまで試合に出ていなかった選手が経験して積み上げていけるものがあると思います。練習の中で年下の選手や控えの選手に伝えられることもありますし、その2試合を大切にして、準決勝は勝ちに行きたいと思います。

MF 阪口夢穂(ベレーザ)

ーー前半は低い位置でゲームを作る場面も多く見られました。試合を振り返っていただけますか?

前半はいつも、「今日の試合は(前に)行けるかな?行けるな、じゃあ、行こか」という感じで、ボールを回しながら、ゲームの流れを見極めています。

長野との試合(は接戦になることが多い中)で、こんなに差がついたのは久しぶりですね。去年のリーグ戦で、アウェイで5-1で勝った試合がありましたが、それ以来ですね。

3点目は(植木)理子のゴールでしたね。彼女は勝っていても、「もう1点欲しいな」という展開で、いつも決めてくれます。持ち味がスピードなので、分かりやすいから、自分がボールを持った時に出しやすいですし、結果も残してくれるので頼もしい限りです。

ーー中盤は流動的にポジションチェンジをしていますが、どのようなイメージで動いているのでしょうか?

誰かが(前のスペースに)抜ける時に、『中に入って(カバーして)ね』という声をかける必要もないくらい、当たり前の感覚でみんなが動けるようになっています。あうんの呼吸があるので、やりやすいですね。

ーーこの後、代表遠征で7人が抜けますが、日本に残ってカップ戦を戦うメンバーに、どのようなことを期待しますか?

同じメニューをこなしているチームメートなので、勝ってくれると期待しています。普段、試合に出ていない子が出られることをチャンスだと思ってやってほしいですし、目の色を変えてプレーしてほしいですね。

本田美登里監督(長野)

ーー試合を振り返っていただけますか?

スコア通りの力の差があったかなと思います。個と組織の両方で決められた4ゴールでした。どの得点も守りきれないものではないけれど、今の(長野の)力では守りきれません。

今日はベレーザを見たいとスタジアムに来てくださった方もいたと思いますが、(長野の勝利を)期待してくださった方に、あってはならないスコアかなと。(今後は)サポーターの皆さんが応援してくださるようなゲーム内容にしていきたいです。

ーートリプル3(チームの目標である、リーグ、リーグカップ、皇后杯の3タイトルすべてで3位以内を目指すという目標)の一つがなくなってしまいました。

そうですね。目指さなければそこにはいけないし、目指すプロセスの中で、できたこととできなかったことを検証したいと思っています。ジェフに2敗してしまったこともありますし、システムとシステムのマッチアップにも問題があるのかなと。カップ戦は残り2試合(予選リーグが)ありますけれど、リーグ戦に向けて課題を克服していく試合にしたいと思います。

ーー攻撃の面では、意図的に縦を狙っていたのでしょうか?

怖がって裏に蹴ってしまった場面は多かったですね。ディフェンスの選手たちには、あまり蹴らずに、なんとかつないでほしいという話をしていました。ベレーザほどではないですが、もう少しポゼッションしながらゲームを進められれば、と思います。ディフェンスから中盤にボールを入れて、中盤からフォワードに入れる組み立てができると、全体的に厚みのある攻撃ができるのかなと思っています。

ーー今日の試合で良かったポイントを挙げるとすれば、どのようなところでしょうか?

藤村(茉由)をフォワードからサイドバックにコンバートして、まだ2週間にも満たないのですが、彼女の強みが出せていたと思います。最初の失点は彼女のサイドからやられてしまったのですが、 サイドバックの争いに一人、加えられたと思います。

また、中野(真奈美)に対するチームの信頼感は1日ごとに増しています。中野が代表でプレーしていたことを知らない世代が多いのですが、練習の中で、彼女のうまさを感じ始めて、彼女にボールが入る回数が増えました。 前半は、泊(志穂)にボールを預けて、中野がタメを作ってサイドハーフの選手に、という流れの組み立てが、前の試合よりも出来ていました。

FW 泊志穂(長野)

ーー今日の試合は、特に、どのようなところがうまくいかないと感じていましたか?

前半も後半も、相手に押し込まれる時間帯が多く、私たちにもビッグチャンスがあった中で決め切れず、自分たちのリズムをつかめなかったと感じました。

点を獲られてから、前からボールを奪いに行きたかったのですが、相手が上手だったのもあって、結局、(マークを)はがされてしまっていました。

ーー今日の試合は、どのような気持ちで臨んだのでしょうか?

この試合に勝たないと、カップ戦の決勝リーグに行く希望が消えてしまうという試合だったので、絶対に勝ちたい、得点も獲りたいと思っていたのですが、決めきれず悔しいです。カップ戦(の残り2試合)は消化試合になってしまいますが、勝ちにこだわりたいですし、リーグ(再開)に向けても詰めなければいけません。

ーーなでしこジャパンに初選出されました。アメリカ遠征への意気込みを聞かせてください。

ベレーザには何人も代表の選手がいて、一つひとつの技術や判断は私たちよりもずっと上手でした。その中でやらせてもらうということは、すごく楽しみで、ワクワクしています。少しでも自分が吸収できるように、積極的に特徴を出していきたいと思います。

失うものは何もないので、がむしゃらにやって、試合に出られるように頑張ります。

FW 中野真奈美(長野)

ーーチーム加入後、2試合目の先発出場になりました。今日の試合を振り返っていただけますか?

前半のチャンスを決めきれていたら、もっと違う展開になったのではないかと思います。チームに申し訳ないな、と。あの(前半44分の)場面は少しイメージとは違うマイナスのボールで、ディフェンダーも遅れて滑ってきていたので、フェイントで抜けられたとも思うのですが、足を振ってしまいました。

ーー前節に比べて、良くなったと感じる点はありますか?

前へ(ボールを運ぶ)意識を持っていたのですが、相手が一枚上手でしたね。 前回は、パスは繋がってはいても自分のところで流れを止めてしまったので、今日は意識して、良い形で前に当てられたのではないかと思います。

周りとのコンビネーションは、ちょっとずつ、つかめてきたかなと思います。(チームに)入ったばかりで、まだ何もできていないのですが、リーグ戦再開までの時間を無駄にせずに、周りとのコンビネーションや自分のコンディションを整えていきたいです。

ーー前線でボールが多く集まるようになってきた実感はありますか?

そこまで実感はしていないのですが、責任は感じています。

ーーチームでは、精神面でのリーダーシップも期待されているのでしょうか。

(自分が)一番年上、ということはあまり考えていないんです。自分の特徴を活かしつつ、周りの特徴もうまく活きるようにして、みんながのびのび、プレーしてくれればいいなと思っています。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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