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1日に2度、敗戦投手になる。どちらの登板も自責点ゼロ

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイケル・ギブンス(シカゴ・カブス)Jun 22, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月16日、シカゴ・カブスは、ダブルヘッダーで2敗を喫した。敗戦投手となったのは、どちらの試合もマイケル・ギブンスだ。2登板とも、自責点はゼロだった。

 ESPNスタッツ&インフォによると、ナ・リーグとア・リーグの両リーグが自責点を記録するようになった1913年以降、自責点がないのに、1日に複数の試合で敗戦投手となったのは、ギブンスが初めてだという。

 1試合目は、11回表に登板し、先頭打者のヒットで無死一、三塁とされ、2人目の外野フライで三塁走者に生還された。この走者は、10回表以降のイニングにおいては、最初から二塁にいる「ゴースト・ランナー」なので、自責点にはならない。ギブンスは1失点にとどめたが、その裏、カブスは無得点に終わった。

 2試合目は、10回表に登板した。先頭打者のヒットで無死一、三塁までは、1試合目と同じだ。二盗と申告敬遠で満塁となった後、ギブンスは打者にぶつけ、押し出しで1点を献上した。続いて、自らゴロをさばいて1-2-3の併殺に仕留め、2死二、三塁としたところで降板。代わった投手が最初の打者を歩かせ、再び満塁に。そこから、二塁へ投げた牽制球が逸れ、さらに1点を入れられた。その裏、カブスは1点を返したが、同点には追いつけなかった。

 ギブンスは、計1.2イニングを投げ、被安打が2本、与四球(申告敬遠)と与死球が各1。5つのアウトは、犠牲フライ、盗塁失敗、三振、併殺打だ。申告敬遠の打者を除き、6人と対戦して3人を出塁させている。「ゴースト・ランナー」がいる場合、他のイニングと比べて、無失点で切り抜けるのは難しくなるが、ギブンスが1日に2敗を喫したのは、運が悪かっただけ、とは言いきれない気もする。

 なお、ピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)は、このダブルヘッダーで計3打点を記録した。2打点目と3打点目は、それぞれ、ギブンスから打った犠牲フライとギブンスにぶつけられた死球で挙げた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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