サイクロン「アンパン」インドに上陸、空港が大規模冠水
スンダルバンスは、粉砕された―。
スンダルバンスとは、インド・西ベンガル州南東部の周辺を指します。一時スーパーサイクロンにまで発達した「アンパン」は、現地時間20日(水)午後に同州を直撃しました。インド国家災害対策部隊の高官はその被害をこのように表現したのです。
インドの被害
インド北東部では、多数の家屋が倒壊し、洪水で堤防が決壊したほか、木々が根こそぎ倒れ、車や建物が下敷きになるなど被害が広がっています。
伝えられるところでは、インドとバングラデシュで24人が亡くなったもようです。
コルカタの被害
サイクロンの中心付近が通過したインド・コルカタでは、1,400万人が停電の影響を受けました。
さらに空港では目を疑うようなひどい惨状が広がっています。滑走路は一面水に浸かり、まるで海の上に空港があるように見えるほどです。さらに、格納庫や建物が強風で破壊され、骨組みが倒れている様子も見えます。
なおコルカタでは、236ミリの雨と、31m/sの突風が観測されました。
アンパンの詳細
こうした被害をもたらした「アンパン」は、どのようなサイクロンだったのでしょうか。
上陸前
アンパンは、インド洋ベンガル湾にできた今年第1号のサイクロンです。サイクロンの階級ではもっとも強い「スーパーサイクロン」に発達し、1999年以降初のスーパーサイクロンとなりました。合同台風警報センター(JTWC)によると、18日には最大風速が75m/sに達し、同海域における観測史上最強の勢力に達しました。
上陸中
その後、現地時間20日(水)15時頃にインド・西ベンガル州に上陸しました。上陸直前の勢力は、「スーパーサイクロン」より一段階弱い、「エクストリームリー・シビア・サイクロン」の勢力でした。ちなみに、これは「非常に強い台風」に匹敵します。
この勢力のサイクロンがインドを直撃するのは、2019年の「フォニ(Fani)」以来です。
ベンガル湾のサイクロン事情
ベンガル湾のサイクロンの発生数は年平均で3.1個と、太平洋や大西洋などと比べると、数こそ多くありません。
しかし海域が狭いために、上陸する可能性が高く、沿岸地域の人口密度が高いうえに、海抜ゼロメートル地帯が広がっているなどといった理由から、世界でもっとも犠牲者の出やすい危険な海域です。