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【ひとり旅のすすめ】ソロ温泉を充実させるコツは「引き算」にあり

高橋一喜温泉ライター/編集者

ソロ温泉(ひとり旅)の目的は、忙しない日常の時間から逃れ、ひとりの時間を満喫することだ。

ただ、日常から切り離された「空白の時間」を手に入れるには、あることを意識することが大切である。

それは「引き算」をすること。

ふつうの旅行は、「足し算」でプランを立てるのが常である。「〇〇に行って、△△でランチを食べて、宿に着く前に絶景スポットの××を散策して……」といった具合だ。滞在先の温泉や帰路でも、あれこれと予定を入れがちである。

もちろん、その土地ならではの体験を楽しむのも旅の醍醐味である。しかし、予定を詰め込みすぎると、せっかくの温泉旅なのに疲れてしまい、何より時間に追われる感覚に襲われる。それでは日常と大差ない。

だからこそ、ソロ温泉のスケジュールは「引き算」の発想をするのが重要である。

温泉以外の予定を「削る」

ソロ温泉のメインディッシュは、あくまでも温泉である。ゆっくりと湯船につかり、心身をひたすら休める。温泉入浴のほかは「何もしない」ことで空白の時間を得ることができるのだ。

筆者がソロ温泉に出かけるときは、特に観光などすることなく、温泉に直行することが多い。そして、チェックイン開始時刻に合わせて投宿し、すぐに温泉に入る。

温泉以外の予定を削ることで、温泉と向き合う時間を長く確保でき、空白の時間を得やすくなる。

「予定していたチェックイン時間を過ぎてしまった!」「夕食まで時間がない。早く温泉に入らなくては!」と時間に追い立てられるようでは、空白の時間を愉しむのは難しいだろう。

そもそも温泉宿でゆっくりできる時間はかぎられる。15時にチェックインしたとしても、入浴や食事、睡眠の時間を除けば、自由にできる時間は正味6時間ほどである。この6時間を有効活用したい。

スマホと距離をおこう

だからこそ、スマホの時間も削りたい。

あなたは1日のどのくらいの時間を、スマホに費やしているだろうか?

筆者自身、スマホの利用時間は1~2時間だと思うが、仕事でPCを使用することが多いので、デジタル端末を利用している時間はかなり多くなる。1日のうち3分の1は、スマホかPCの画面を見ているといっても過言ではない。

いくらスマホは現代人にとって欠かせない便利なツールとはいえ、多くの時間をスマホに費やしているはずだ。老若男女問わず、スマホに依存している人は少なくない。

だからこそ、ソロ温泉では「スマホの時間」を引き算しよう。

ひとりで温泉に出かけると、手持ち無沙汰でついスマホを見てしまう、という人は多いだろう。

SNSやメールをひとたび開けば、いつもの調子でついスマホをいじってしまう。せっかく旅先に来ているのに、目の前の美しい風景や貴重な出来事を見過ごしてしまう。これでは、わざわざ遠出する意味が半減してしまう。

手元にスマホがあると、いつものクセで手に取ってしまうので、たとえば「バッグの中にしまっておく」「電源を切っておく」など、簡単にスマホをいじれないようにするといいだろう。

スマホができないと禁断症状が出て、かえってリラックスできないというなら、時間制限を設けてはどうだろうか。スマホにはTwitterなどのアプリに利用時間制限を設定できる機能がある。

たとえば「15分だけ」と決めておけば、ずるずるとスマホをいじることはなくなり、禁断症状もいくぶん和らぐのではないだろうか。

手持無沙汰から食事中にスマホをいじってしまう人も少なくない。

だが、せっかく地元の料理を味わうなら、スマホを脇において、食べることに集中したい。よりおいしく感じられたり、新しい発見もあったりするはずだ。

「孤独」「退屈」と思われがちなひとり旅だが、あえて「引き算」をすることで、ひとり旅は充実するのである。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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