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礼賛されるはシェアばかり ミニマム思考は「ケチくさい」

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
ShareTheMeal の画面(写真:ロイター/アフロ)

2018年7月5日放送NHK「あさイチ」では、「食品ロス」特集として、販売できない食品を安価で販売するサービスが紹介された。食品ロスに関する報道が増えているのはありがたい。筆者も7月11日夜にはNHKラジオの「Nらじ」に食品ロス特集で生出演する予定だし、7月16日には3度目のNHK Worldに出演させて頂く。これまでのメディア出演でもNHKには20回近く出ている。食品ロス問題をコンスタントに取り上げて頂いていて有難い限りだ。

環境配慮の原則では「シェア」より「減らす」が優先する

ただ、環境配慮のキーワードである「3R(スリーアール、あるいは、さんアール)」では、「シェア」(Reuse)より「減らす」(Reduce)が優先する。今回お世話になるNHKラジオの方にもNHK Worldの担当者にも、そのことは強調した。

「3R」とは、Reduce(リデュース:減らす、廃棄物の発生抑制)、Reuse(リユース:再利用)、Recycle(リサイクル:再生利用)の3つを指す。

メディアは「シェア」と「リサイクル」が大好き

今回だけではない。ここ3年ぐらい、取材依頼をメディアの方から受けるたびにお願いしている。というのも、メディアの方は、「シェア」と「リサイクル」が大好きだからだ。悪い、と言いたいのではない。「Reduce(リデュース)」が最優先であることを同時に言って欲しいのだ。

メディアは絵(写真や映像)が必要だ。大量の食品がリサイクルされる映像は衝撃的なので、視聴者にインパクトを与えやすい。

エコの森京都でリサイクルされる食品(撮影:島田幸治氏)
エコの森京都でリサイクルされる食品(撮影:島田幸治氏)

困っている人、必要な人へ食品が渡されるシーンも、視聴者の感情を揺さぶる。

最優先事項を差し置いて偏り過ぎ

とはいえ、食品リサイクル法の最新の改正では「Reduce(リデュース)」を最優先とする基本方針が盛り込まれている。

「余れば誰かにあげればいいんでしょ」という印象を受け、「作り過ぎない、売り過ぎない、買い過ぎない」という持続可能性がなおざりにされているように思われて仕方がない。

SDGsの12番「つくる責任 つかう責任」(国連広報センターHPより)
SDGsの12番「つくる責任 つかう責任」(国連広報センターHPより)

メディアの方には「Reduce(リデュース:廃棄物の発生抑制)」が最優先であること、適量を作って売って消費するのがSDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)の大原則であることを理解した上で、「シェア」と「リサイクル」を報道して頂きたい。

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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