異常高温で燃えるシベリア 消火活動を行う「スモークジャンパー」の仕事
ロシアで記録的高温
今日(4日)も、東日本と西日本の各地は広く真夏並みの陽気となり、国内の約半数の地点で最高気温が30℃を超えました。
一方、世界一寒いと呼ばれる地域にも酷暑が及んでいます。ロシア・シベリアのイルクーツクでは1日(金曜)の気温が32.4℃となり、この時期の平均気温を約10℃も上回りました。5日(火)も6日(水)もまた、30℃を超える高温が予想されているのです。
実は、このところ、シベリアでは異常高温が観測されています。例えば6月12日、ノヴォシビルスクでは、その日の最高気温の記録である30.4℃、トムスクでは31.5℃まで気温が上がりました。シベリアなのに、熱帯地域と同じような暑さとなっているのです。
シベリア山火事拡大
高温の影響はシベリアの山火事事情にも影響し、広大な面積の森林が消失しています。6月始めの段階では、「ベルギー」一国分の面積が焼けたとか、一日で100平方キロも火災が広がったなどとも報道されています。
シベリアでは氷や雪に覆われていない夏を中心に、毎年およそ3万件の山火事が発生します。そのほとんどの場合が、野焼きの後、火がおさまらずに広がってしまったというのが原因のようです。
シベリアの特殊な消火活動
ところで、シベリアのような広大で、なおかつ過疎地に火事が発生した場合、どのようにして消火活動をしに行くのでしょうか。
もちろん、多くの国で行っているような、飛行機を使っての散水も行いますが、ロシアではそれに加え、「スモーク・ジャンパー」と呼ばれる人々が、地上からの火消し作業を行っています。スモークジャンパーはもともと1900年代前半に、ソ連で初めて行われたものですが、ほぼ同時期にアメリカでも始まったようです。
では「スモーク・ジャンパー」なる仕事はどんなものでしょうか。
彼らは特殊な訓練を受けた人たちで、空からパラシュートでダイブして、山火事現場に直行します。まるでミッションイポッシブルの世界のようです。すごいのは、宇宙飛行士顔負けの分厚い消防着を身につけ、消火活動用の荷物、およそ50キロを背負ったまま、火災が広がらないように、木を切ったり、地面を掘ったり、ありとあらゆる方法で火の行く手を阻止するのです。
(アメリカのスモーク・ジャンパーの動画)
火の熱さを考えると、服の中の温度は相当な高温に達しているでしょう。着ぐるみだって、30分以上は中に入っていられないとも聞くので、相当な体力と忍耐が求められるのは明らかです。加えて、火事がひどい時には何日もその現場で火との葛藤を繰り広げ、死の危険が付きまとうのですから、世界的に見てもかなりのエクストリームジョブといえます。
温暖化でさらなる山火事のリスク
こうした決死の努力で消火作業が行われていますが、シベリアでは近年山火事が増加傾向にあります。地球温暖化の影響はシベリアのような緯度の高い場所が最も影響を受けていて、その気温上昇のペースは、かつてないものとなっているのです。