個人向けグーグル・グラスが発売中止!未来に何が見えたのか?
KNNポール神田です!
法人向けにシフトするグーグル・グラスおよびスマートグラス市場
2013年には発売される予定だったGoogle Glass。しかし、2015年1月ついに個人向け市場においては発売中止という判断がくだされた。開発者たちも、個人ユースではない市場へ向けての開発に舵をとらざるをえなくなってしまったようだ。
Googleは、今後のGoogle Glassの開発も社内プロジェクトのGoogle Xではなく、2014年2月に買収(32億ドル)した子会社Nest lab社(2010年創業2014年2月)に移管すると発表した。
Nest社は、米AppleでiPod事業の上級バイスプレジデントを務めたトニー・ファデル氏とiPodソフトウエア開発を担当していたマット・ロジャース氏が創業したベンチャー。
Nest社は家庭用の監視カメラDropcam社なども買収(5億5500万ドル)しているので、ホームアプライアンス市場においての制御装置としてのグーグル・グラスとのシナジーは考えられる。2014年5月に就任したファッション業界出身のアイビー・ロス氏は、今後は、グーグル・グラスを、トニー・ファデルの直下でプロジェクトは進められるという。
この個人向け販売中止を好意的に解釈すれば…
という見方もできなくもない。
グーグル・グラスが夢見た世界
Google Glassは、机も椅子もいらない、しかもスマホさえ、不要の夢のデバイスとして期待され続けてきた。
また、グーグル陣営は、サングラス・ブランドのレイバン社やオークリー社、メガネチェーン店舗やアウトレット店舗を傘下に持つルクソティカ社との提携もあるので、個人向けのファッション・サングラス仕様にも期待できていた。
ITギークが好むような目立ったデザインではなく、従来のサングラスと馴染むようなものの登場が期待されていた。それと同時に、簡単に盗撮できてしまうデバイスであることも懸念される事象であり、プライバシー問題や開発会社の挫折など、社会の法的ルールの障壁などもある。
米国カリフォルニアでは、GoogleGlassを利用して初の交通違反の切符が切られ(違反は取り消しとなった)、反対に、ドバイ警察のスマートサービス部門では、Google Glassを利用して交通違反を取り締まっているという。
この事象を見えても明確なのは、まずは、GoogleはBtoB向けのサービスとして、警察や医療関係者らの支持を得られる方向に舵を切った方がビジネスとしてもソフトランディングできそうだ。開発者サイトも「Google Develovers Glass at work」として、仕事で使えるGoogle Glassの社会浸透を目指している。
ギークでマニアックな人たちがグラスをつけて街を徘徊するよりも、警察や医療関係者が仕事で使っているほうが社会への浸透度と効率の上がる活用方法は多大であろう。しかし、一度社会に対して、Google Glassが取り締まりのツールとして使われ、効率や管理のツールとして浸透してしまった後、そのスマートグラスは、一般の人々の為になるものとしては、歓迎されないデザインとして浸透しているだろう。その頃、警察のシンボルマークは、GoogleGlassのアイコンになっているのかもしれない。