Googleが『行政処分』、LINEヤフーの『行政指導』と何が違うのか?法的拘束力の有無
KNNポール神田です。
このところ、IT関連業界で『行政処分』やら『行政指導』のようなぶっそうな言葉が頻繁に飛び交うようになってきている。
Googleには、ヤフーの広告配信を妨害したことでの『行政処分』 の適応がなされた。
これらは、公正取引委員会がGoogle LLCに対して出した通知だ。
これによると、Googleが検索エンジンや広告に関する取引で独占禁止法に違反する可能性があるらしい。あくまでも可能性だ。
独占禁止法は、競争を妨げたり、公正な取引を阻害したりする行為を規制する法律であり、今回のGoogleの行為が、独占禁止法の『私的独占』とか『不公正な取引方法』に当たるのかもしれないと指摘している。
そして、Googleは、公正取引委員会に対して、自分たちが問題を解決するための計画を提出し、公正取引委員会はその計画を評価して、問題が解決される可能性が高いと判断して、Googleの提出した計画が問題解決に役立つと認めたわけだ。
この認定は、Googleが独占禁止法に違反してることを認めたわけではない。
■『モバイル・シンジケーション取引に必要な技術提供の制限』が独占禁止法上の問題として確約計画を公正取引委員会が認定した
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/apr/240422-3.pdf
公正取引委員会は、Google LLC(注1)に対し、検索エンジン及び検索連動型広告(注2)の技術の提供に係る取引に関して独占禁止法の規定に基づき審査を行ってきたところ、同社の後記3の行為が独占禁止法第3条(私的独占)又は同法第19条(不公正な取引方法第2項(その他の取引拒絶)又は第14項(競争者に対する取引妨害))の規定に違反する疑いが認められた。
公正取引委員会は、当該行為について、確約手続に付すことで、Google LLCによって当該行為が排除されたことを確保するために必要な措置が速やかに実施されることにより、競争の早期回復が図られると認め、令和6年3月22日、同法第48条の6の規定に基づき、同社に対し確約手続に係る通知を行った。
今般、Google LLCから、公正取引委員会に対し、同法第48条の7第1項の規定に基づき、後記3の行為が排除されたことを確保するために必要な措置の実施に関する確約計画の認定を求める申請があった。公正取引委員会は、当該確約計画は当該行為が排除されたことを確保するために十分なものであり、かつ、その内容が確実に実施されると見込まれるものであると認め、本日、同法第48条の7第3項の規定に基づき、当該確約計画を認定した(注3)(注4)。
なお、本認定は、公正取引委員会が、Google LLCの後記3の行為が独占禁止法の規定に違反することを認定したものではない。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/apr/240422_digijyo.html
そして、どこにも『行政処分』の文言が見受けられないが、『確約計画』を認めるということが『行政処分』となる。
(注1)確約計画の認定は、確約手続に係る通知を受けた事業者から申請された確約計画を公正取引委員会が認定するという、独占禁止法に基づく行政処分である。
■行政処分と行政指導の違いは?
今回、気になったのが、この2つの言葉、『行政処分』と『行政指導』。
Googleは『行政処分』で、LINEヤフーは2度目の『行政指導』を受けた。
法的拘束力の有無:
『行政指導』は、法的拘束力がなく、行政機関が企業や個人に対して助言や指導を行うものだが、従うことが義務付けられていません。一方、『行政処分』は『法的拘束力』があり、行政機関が法律や規則に基づいて違反行為に対する罰則や措置を行える。
措置の性質:
行政指導は主に法令遵守や改善を促すための助言や指導を行うものであり、問題の解決や改善に向けたサポートを提供します。一方、行政処分は違法行為に対する罰則や是正措置を行うものであり、通常は違反行為の再発を防止することを目的とします。
手続きの違い:
行政指導は通常、口頭や書面による助言や指導が行われ、特定の手続きを伴うことはありません。一方、行政処分は公的な手続きに基づいて行われ、通常は書面で通知され、対象者に異議申し立てや審査請求の機会が与えられます。
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■LINEヤフーは2度目の『行政指導』
■『行政指導』の順序段階 助言<指導<勧告<警告 その上に『行政処分』
行政指導の中には、助言<指導<勧告<警告 とレベルの段階がある。
しかし、どの段階も、『行政処分』とは違い、『法的拘束力』はない。
助言 :
行政機関が企業や個人に対して、法令遵守や改善を促すための意見や助言を与えることを指します。法的拘束力はない。助言は、問題の解決や改善に向けた方向性を示すもの。
指導 :
行政機関が企業や個人に対して、具体的な行動や手続きの方法を示し、法令遵守や改善を促す行為を指します。指導は助言よりも具体的で、法的拘束力はありませんが、従うことが期待される。
勧告 :
行政機関が企業や個人に対して、ある行動をすることを勧める行為を指します。勧告はより強い要請を含み、従うことが期待されますが、法的拘束力はない。
警告 :
行政機関が企業や個人に対して、法令違反や問題の重大性を指摘し、再発防止を促すための通知を行う行為を指します。警告は、問題の深刻度が高い場合に使用され、再発を防ぐための警告としての意味合いがある。
同じ、行政◯◯がついても、指導と処分の差があり、指導のなかにも、これだけややこしい段階があるとは。むしろ、はっきりと明確に程度がわかる数値化する努力をしてもらいたいものだ。
また、Googleが、『「(同法の)規定に違反したとは認定されていない」との声明を出した。処分を受け入れつつ、違法性が認められたわけではない点を強調した』