昨季日本一の明治大学、きょう開幕。求める「空気」とは。【ラグビー旬な一問一答】
昨季、22季ぶり13度目の大学日本一に輝いた明治大学ラグビー部は、8月30日、長野・サニアパーク菅平で関東大学対抗戦Aの今季開幕節に挑む。相手は筑波大学。
連覇が期待される現チームでは、元サントリーチームディレクターの田中澄憲監督が就任2季目。ヘッドコーチとなった一昨季から、かねて才能が買われてきた部員に勤勉さを醸成させた。
今年も無形の意識にフォーカス。8月11日に流通経済大学と練習試合をした際は、控え組を多く出しながら大勝も「相手校と比べた時の質は良かったと思うんですけど――この時期なのであれですけど――チームを作り上げていく上では今日のパフォーマンスは半分くらい」とし、「ここから夏合宿(8月中旬)を経て、本番11月くらい(対抗戦の終盤)までにそのくらいまでに細かい部分を突き詰められるような空気を作っていきたい」と続けた。
指揮官の求めるものと、指揮官の求める「空気」とは。同日、口にした。
以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
――現在、何を求めているのでしょうか。
「きょう(流通経済大学戦)のフォーカスはディフェンスもアタックも速くセットすることでした。言葉でいうのは無茶苦茶、簡単です。クイックセット。でも、ゲームでそれができているかと言うと結構、できていない。それができるようになると、もっと質の高いアタックとディフェンスができるようになる。ベースとなるようなものを大事にする空気をもうちょっと作っていきたいです」
――その「空気」とは、どういったものですか。
「選手同士がお互いそれにこだわれるか。コーチたちが『いまできていないじゃないか』というのではなく、『もっとクイックセットしなくちゃいけないんじゃないの?』と。まだそういう意味では、そうじゃない。例を挙げるとそういうところです。合宿ではコミュニケーションを取れる時間になるので、そういう部分をもっと上げたいなと。
片倉(康瑛、この日は欠場した主戦級のロック)はラインアウトでのディフェンスが得意。試合に出ていたら『もっとこうしたかった』というものはあったと思う。ただ、そういったことをもっと皆で突き詰めていって、片倉が出ていなくても片倉がいる時のようなディフェンスができるようにならないといけない。まだ人に依存している部分がある。人に依存しなくても高いパフォーマンスができるチームになっていきたいです」
――ただ、攻守逆転後の攻撃、そこに至るまでの判断は際立っているような。
「春のデータを見ても、ターンオーバーからのトライも多かった。そこに強みはある。ただ、それはターンオーバーをしないことには、相手がミスをしないことには起きない。ターンオーバーという意味では取り返す機会をどう増やすかというディフェンスをやりたい」
――具体的には、相手のサポートが薄くなりそうな接点をチームでイメージしたり…。
「ジャッカル(接点の球に絡むプレー)自体とその(接点に絡むかどうかの)判断をチーム全体で厚くできるようにしたいです。大学だと特定のボールハンターがいてそいつがボールにハントしますが、トップリーグでは隙があれば(誰でも)ハントする。そうなっていきたい」
今度の筑波大学とのゲームでも、相手とはもちろん自分たちの求める基準とも戦うこととなりそうだ。