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株価急落で揺れるブラジル石油・ガス大手OGX、新たに取締役2人が退任

増谷栄一The US-Euro Economic File代表
ブラジル石油・ガス生産大手OGXペトロレオの掘削井=OGXサイトより
ブラジル石油・ガス生産大手OGXペトロレオの掘削井=OGXサイトより

今月1日にブラジル・カンポ・デ・トゥバラウン・アズル鉱区での石油生産中止を発表して以降、株価急落で経営問題に発展している、ブラジルの大富豪エイキ・バチスタ氏が率いるEBXグループ傘下の石油・ガス生産大手OGXペトロレオは10日、新たに2人の取締役が退任したと発表した。退任の理由については明らかにしていない。

退任したのはサミール・ズライック氏とルイス・ド・アマラル・デ・フランサ・ペレイラ氏で、いずれも主要株主とはつながりのない中立の立場にあった。この結果、同社の役員構成はエイキ・バチスタ会長らわずか4人の取締役となった。しかし、ブラジルの会社法では5人以上13人以下の役員と独立系役員が全体の2割を占めるという構成要件が規定されているため、OGXではできるだけ早急に役員の補充を行うとしている。これより先、すでに6月21日に、ペドロ・マラン元財務相とロドルフォ・トウリーニョ・ネト元鉱山・エネルギー相、エレン・グラシエ・ノースフリート元連邦最高裁判所長官が同社の取締役から退任している。

また、ブラジル経済紙バロール・エコノミコ(電子版)が10日に伝えたところによると、バチスタ氏は1日のカンポ・デ・トゥバラウン・アズル鉱区での石油生産中止発表の2週間前の6月7-13日に、自社株5617万株を1株当たり平均1.34レアル(約58円)で売り抜いて7540万レアル(約32億8000万円)の売却益を得ていたことが分かった。同社の株価は発表翌日の2日にはわずか3分の1の0.45レアル(約20円)に急落している。同氏は5月にも7050万株を売却し持ち株比率を61.1%から58.9%に引き下げていた。現在は57.2%に下がっている。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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