大雨連発で、アメリカ最大のダム決壊の危機
全米最大の高さを誇る、カリフォルニア州中部の「オロビルダム」。今このダムが崩壊の危機にあり、その周辺の住む約20万人が避難を余儀なくされています。15日(水)からは再び雨の予想となっており、被害の拡大が懸念されます。
ダム決壊のおそれ
「1時間以内に放水路崩壊の恐れ」
12日(日)午後、水道局は突然このような警告を発しました。オロビルダムは、230メートルもの高さを誇るアメリカ最大のダムで、その水は州中部の農業用や、ロサンゼルスなど州南部の生活用水にも用いられています。
連日の大雨による増水によって、7日(火)ダムに接する主要な放水路に大きな穴があきました。11日(土)には、その主要放水路の横にある緊急放水路から水があふれ出し、翌12日(日)にはこの放水路の一部が崩れ、今後も被害拡大の可能性があるとのことです。この非常用水路に水が流れたのは、1968年のダム完成以降、初めてのことです。
この緊急発表を受け、住民たちが一斉に避難を始めたため、交通渋滞の長い列ができています。
カリフォルニアの干ばつ脱出
今冬カリフォルニア州では記録的な大雨が降っており、こうしたダム決壊の危機や、記録的な洪水などが発生しています。ダム周辺では先週一週間で500ミリを超える大雨が降りました。
しかし一方で、5年以上続いた水不足を解消する、待望の恵みの雨ともなっているのです。実はカリフォルニア州では「メガドラウト」と称される史上最悪の干ばつが2011年から起きていました。木の年輪を調査した研究では1200年来の深刻さとも言われたほどです。
史上初となる全州あげての給水制限や、人工降雨などの対策が行われていました。また過剰な地下水のくみあげが行われたことで、1か月で5センチも地盤沈下が起きていたとも報告されています。
こうした状況の中で降った昨今の大雨は、事態を好転させました。1年前には州の99%が干ばつ状態でしたが、現在では58%まで低下し、北部に関しては全体で改善しています。
今後も雨の予想
待ち望んだ雨ではありますが、雨の傾向は収まる気配がなく、事態が悪化する恐れがあります。現在オロビルダム周辺の地域は、高気圧圏内で雨が降っていませんが、15日(水)からは前線を伴った低気圧が通過し、週末も雨が降る見込みで、今後の雨による被害が心配されます。