【台風10号】強い勢力で上陸か…大雨と暴風はいつ・どこで警報級?過去の類似台風は?:気象予報士解説
台風10号は海面水温の高い南の海上で発達を続けていて、24日には「強い」台風になりました。
今後、一時「非常に強い」台風にまで発達したあと、発達のピークは過ぎるものの「強い」勢力で28日(水)頃に西日本に上陸するおそれが出てきています。
「強い」台風というのは、中心付近で、走行中のトラックが横転するような風が吹くような台風のことです。
また、25日は徐々に近づく台風の影響で、24日までよりもさらに暖湿気の流入が強まり、広範囲で雷雨のおそれがあります。
台風の最新の進路と、大雨・暴風が警報レベルになる地域とタイミング、さらには過去の類似台風も含めて気象予報士が解説します。
25日も雷雨に注意を続けて
24日は関東で猛烈な雨が降るなどして冠水の被害も出ましたが、25日はさらに台風が近づき、暖かく湿った空気の流入も強まるため、九州~東北の広範囲で雷雨に注意が必要です。
場所によっては朝から激しい雨や落雷のおそれがあります。
台風10号は「強い」勢力で上陸か
台風10号は25日の正午時点で「強い」勢力で、このあと27日(火)9時には「非常に強い」勢力になる見通し。その後、やや勢力を落とすものの「強い」勢力で28日(水)頃に西日本に上陸するおそれがあります。
なお、東の海上から張り出す高気圧の影響で27日頃に進路が東へ曲がる(専門的には「転向」と言います)予想で、この「転向点」付近では進路や移動速度、そして台風の強さも変わることが多いです。
そのため、27日頃にまた予報が変わる可能性があることを考慮に入れながら備えを進めましょう。
各地の大雨・暴風の警戒期間は
台風10号の接近に伴い、27日(火)~29日(木)は九州から北海道の各地で大雨警報や暴風警報を出す可能性があると、気象庁があらかじめ情報を出しています。
この情報は「早期注意情報」と言って、2017年に始まって普段から運用されている情報ですが、5日も先のことについてここまで広範囲で発表されることはあまりありません。
まずはこの情報で自分の地域の危険なタイミングをチェックしつつ、最新の情報を常に手に入れてください。
過去の類似台風は
今回の台風10号によく似た進路で、かつ皆さんの記憶に残っている台風として、2018年に関空連絡橋にタンカーが衝突し大きな被害が出た台風21号(俗に「関空台風」とも)があります。
この台風21号は、今回の台風10号と同様、温かい海の上を通ったことと、ゆっくり北上してきたことで強さを保っていて、「非常に強い」勢力で四国に上陸、その後近畿に再上陸しました。
記録的な暴風でトラックの横転や家屋の破損が相次ぎ、関西電力管内では1300本以上の電柱が損壊して、延べ約220万軒が停電。復旧完了まで16日を要しました。
近畿では記録的な高潮で広範囲の冠水も発生、雨も記録的だったことで全国で14人が死亡しました。
なお、今回の台風10号は、この2018年台風21号よりも西側(九州側)または東側(紀伊半島側)に上陸する可能性もまだ残っていて、2018年のときには特に被害がなかった地域でも今後警戒が必要になるケースがあります。
対策は一気にやらない!タイムラインに沿って備えるのがおすすめ
台風への備えは、一度に全部やろうとするのではなく、段階的にやるのが防災士でもある筆者のおすすめです。
この「3日前」や「2日前」というのは、台風の進路図と見比べるよりも、前述の「警報級」の可能性の図と見比べて準備を進めましょう。
なお、「早めの避難」などと言う際の「避難」は、必ずしも避難所に行くことではありません。自宅が大雨の災害が発生しにくい場所にあるならば、自宅にとどまることも「避難」です。
大雨災害が発生しやすいかどうかは、国土交通省の「重ねるハザードマップ」で検索することができます。
台風通過とともに猛暑が戻る地域も
このさき曇りや雨の日が多くなり、ようやく35度を下回る状態が続く地域が多くなる見込みですが、名古屋や福岡では29日(木)頃から34度くらいの最高気温が予想されています。
最新の1か月予報でも9月にかけて平年を上回る暑さが予想されていることから、今後も引き続き熱中症対策は必要です。
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