悪いリーダーの「悪い質問」 良いリーダーの「良い質問」とは?
深く考えるために
私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。「絶対達成」をテーマにして、クライアント企業を支援しますから、一筋縄ではいきません。いつも試行錯誤の連続。簡単に見つからない答えを常に探しつづけています。ですから、常に「深く考える」クセがついています。
考えるために必要なことはひとつだけ。「問い」です。つまり――「質問」です。「質問」のレベルが低ければ、浅くしか考えることができませんし、「質問」のレベルが高ければ、深く考えることができます。
誰もが何かを考えようとしたとき、自問自答をするはずです。つまり、深く考えることができない人は、自分に対する「質問」のレベルが低いのです。そのレベルを変えるだけで、容易に考える力がつきます。
悪いリーダーの「悪い質問」とは?
良いリーダーは、部下たちに「答え」を教えません。部下に考えさせ、自分自身で答えを見つけられるように導きます。ですから、良いリーダーは「良い質問」をするクセがついているのです。それでは悪いリーダーは、どんな質問をするのでしょうか?
悪い質問とは、相手がただしく考えられないような質問です。たとえばサイテー最悪なのは、
「がんばってるのに、どうして結果が出ないんだろうね?」
……こんな質問です。
こんな質問をされて、部下が、
「私が結果を出せないのは、3つのポイントに分解できます。まずひとつ目のポイントは――」
などと明瞭に答えるでしょうか。ほとんどの部下は、
「申し訳ありません。責任を感じています」
と謝るしかできません。「どうして結果が出ないんだろうね?」「なんでうまくいかないんだろうか?」という問いかけは、質問という形式をとっただけの嫌味だからです。
このように「相手が考える手掛かり」を持たない質問は、「悪い質問」です。以下に例を挙げましょう。
「残業を削減するためには、どうしたらいいのか?」
「部下がうまく育たない。どうすれば育ってくれるのか?」
「社長は我々に何を求めているんだろうか?」
「お客様のニーズって、いったいどんなものだろう?」
こんな質問を投げかけられても、的確に答えられません。「どうしたらいいんでしょうね」「何を求めてるんでしょうね」と、同じような漠然とした質問で問い返されるのがオチです。手掛かりがないため、「考えるプロセス」を誘発できないからです。
「良い質問」のつくり方
「良い質問」には考えるための手掛かりがあります。それを私たちは「切り口」と呼びます。考えるという作業は、ある「まとまりのない塊」を分解して、意味のあるように整理することです。ですから、分解するために必要な「切り口」が必要なのです。
「良い質問」とは、つまり「良い切り口」をもった質問を指します。切れ味のよい質問――と表現してもいいでしょう。
先述した質問であれば、
「残業を削減するためには、どうしたらいいのか?」
ではなく、
「物流部門の新入社員3名が、6ヶ月連続で月に70時間を超える残業をしている。3ヶ月以内に半分以下の30時間にまで削減させたい。スキルに問題があるわけではなく、業務が標準化されていないことが要因だと聞いた。そこで、標準化すべき業務は何なのか、そして標準化するためには、どんな手順が必要か、考えてくれないか」
とすれば、相手は具体的に考えはじめることでしょう。考えるための手掛かり(切り口)が、質問にたくさん含まれているからです。
このように、多くの手掛かりを含んだ質問が「良い質問」です。「残業を削減するために、どうすればいいか?」という漠然とした問いを、「人」「時間」「業務」といったいくつかの切り口で分解してあげることで、相手が考えやすくなるからです。
良いリーダーになるために「良い質問」を心掛けましょう。