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「Nitendo Switch Online+追加パック」利便性向上の立役者は「懐かしのゲーム雑誌」

鴫原盛之ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表
NINTENDO64用ソフトのゲーム選択画面(※筆者撮影。以下同)

昨年10月に任天堂がサービスを開始した「Nintendo Switch Online+追加パック」に加入すると、Nintendo Switchで懐かしのNINTENDO64、メガドライブ用ソフトが遊び放題となり、さらに「マリオカート8 デラックス」と「あつまれ どうぶつの森」の有料追加コンテンツが追加料金なしで利用可能となる。

以前に拙稿「任天堂の新サービス「Nintendo Switch Online+追加パック」の魅力と問題点とは」でも紹介したが、本サービスで遊べるNINTENDO64、メガドライブ用ソフトはマニュアルが公開されていないため、タイトルによってはゲームの基本操作やルールすら把握するのも困難を極める。この難点は「追加パック」がなくても遊べるファミコン、スーパーファミコン用ソフトでも同様だ。

しかし、昨年12月以降に配信されたNINTENDO64用ソフトに関しては、かつて1990~2000年代に発行されていたゲーム雑誌「64DREAM」の記事が任天堂のホームページで公開されるようになった。各タイトルの記事には、基本操作やステージ攻略、隠しキャラクターの出現条件などがわかりやすく紹介されており、本サービスの加入者はまさに必見の内容だ。

(参考リンク)

・「12月10日より「NINTENDO 64 Nintendo Switch Online」に『マリオストーリー』が追加。当時のゲーム誌「64DREAM」の記事情報も公開。」(※任天堂のホームページ)

Nintendo Switch版「マリオストーリー」トピックスのページより
Nintendo Switch版「マリオストーリー」トピックスのページより

恥ずかしながら、筆者が「64DREAM」の記事が公開されている事実を知ったのはつい最近のこと。再録に初めて気付いたときは「こんな超重要情報は、Nintendo Switch本体に日々配信される『ゲームニュース』などを使ってちゃんと教えてくれよ!」と、PCのモニターに向かって独りツッコミを入れつつも、実にありがたいなと率直に思った。

なぜ任天堂は古い記事を、しかも自社出版ではない雑誌の誌面の公開を始めたのか? 筆者が同社の広報に問い合わせたところ、残念ながらコメントはいただけなかった。おそらく何らかの理由でマニュアルを公開できない事情があり、その代替案として再録を始めたのだろう。さらに欲を言えば、まだ記事の再録に気付いていない人もかなりいると思われるので、それぞれの記事にNintendo Switch本体から直接アクセスできるようにするなどの配慮がほしいところだ。

また、今回のような記事の再録は、現在では容易に入手できない古いゲーム雑誌や攻略本の新たな活用法を示したようにも思える。せっかく懐かしの名作、あるいは発売当時に入手困難だった貴重なタイトルをよみがえらせたのに、プレイヤーが遊び方を把握できないのでは宝の持ち腐れというものだ。

プレイヤーが知らない、あるいは遊び方をとうの昔に忘れたゲームの内容を調べようと思っても、ソフトにも公式サイトにも詳しい記載がなく、Wikipediaや個人サイトの不確かな情報に頼らざるをえない状況はどう考えてもおかしい。今後はメガドライブやスーパーファミコン、ファミコン用ソフトでも、ぜひ関連雑誌の再録をお願いしたい。

本稿を機に「64DREAM」の再録記事を一人でも多くの方に知っていただき、ひいては日々のゲームを楽しむ一助となれば幸いだ。

同じく「マリオゴルフ64」のトピックスより。PDF形式で記事を読めるので実にありがたい
同じく「マリオゴルフ64」のトピックスより。PDF形式で記事を読めるので実にありがたい

(C)Nintendo

ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、「ナムコはいかにして世界を変えたのか──ゲーム音楽の誕生」(Pヴァイン)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。

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