【富田林市】なにしろ樹齢700年!楠木正成ゆかりの腰神神社で、もうすぐ森のような藤の花が見られますよ
桜の次の花といえばいろいろあると思いますが、藤もそのなかのひとつですね。花札でも2月が梅、3月桜のあと4月に藤が描かれているので、日本では古くから愛されていた花だとわかります。
ところで南河内地域で藤の花といえば、藤井寺市の葛井寺(ふじいでら)か、和歌山県橋本市の子安地蔵寺がでてきます。しかし、富田林にも藤の花が見られる穴場として、腰神神社があります。
ところで、この腰神神社の藤は一般的にイメージする藤とはひとあじ違います。どちらかといえば本来の野生の植物としての藤の木の姿が見られるのです。
一般的な藤の花は、上の画像のように、公園などにある藤棚につるを巻きつけているイメージですね。今の季節に紫色の花を咲かせます。ちなみに藤棚は観賞用に江戸時代から存在したようです。
しかし、腰神神社の藤の花は、江戸時代よりももっと古い時代、樹齢700年の古木がそのまま成長したもの。一般的な藤棚の藤とはまったく違います。ではどんな状態なのか、花は咲いているのか、昨日見てきました。
公共交通で行く場合、腰神神社の最寄り駅は近鉄長野線の汐ノ宮駅です。
途中、河内長野市の汐の宮公園で藤棚のようなものを見つけました。ちょうど白い藤のようなものが咲いていましたが、これを調べると正式にはニセアカシアというそうです。
「ニセ」と書くと印象が悪いようですが、実はこのニセアカシアからは高級はちみつが採れるとのこと。
余談はともかく、富田林市内に入り腰神神社の前に到着しました。そして驚くことに鳥居の上に広がっている塊が、樹齢700年といわれている藤の巨木です。
これは木というよりももはや藤の森ですね。
さらに見るとトイレ側の先にも藤の木のつるが伸びているようです。普段藤棚の藤しか見慣れていないと、原生木というべき本来の藤とはこんなものなんだと目からうろこが落ちる思いでした。
よく考えれば全国各地に「藤ノ森」「藤森」という地名を見る事があるので、藤とは本来森になるほど成長する存在だったのでしょうね。
藤はつる状にどんどん成長しますが、根元を見ると1本の木から成長しています。神社境内、拝殿の横に藤の木の根元があり、そこには句が紹介されています。
室町後期の画僧・雪舟の1486年に詠まれた句として「道ばたに うつ蒼たるや 藤の森」という句が残されております。
室町末期ににはもう「藤の森」というほど藤が成長していることがわかります。
それとこの藤の巨木には、楠木正成が騎乗していた馬に関する伝承が書かれています。詳細は以前こちらに書きました。
その時はこの根本の部分しか意識しておらず、秋の季節に訪問したため、藤の森全体像がまだわかっていませんでした。
ちなみに700年の樹齢があるとはいえ、根元はそれほど太いわけではありません。
しかし、ここから森になるほどつるが広がっているわけですね。よく見ると苔が生えていて力強さを感じる大きなつるです。
角度を変えてみてみましょう。木の根元を背にしたあたりで撮影しましたが、太いつると細いつるが独特な曲線を描いており、不思議なシルエットが見えました。
普通の木の枝とは全く異なる状態、まるで熱帯ジャングルに来たようですね。
そしてもうひとつ面白い光景を見ました、巨大な藤のつるは、周辺の木を利用して成長しています。自然の木にまとわりつくように上に伸びています。あたかも天然の藤棚のように木を利用しています。
反対方向から見ると、本当に藤のつるが木にまとわりついているのがはっきりと見えます。
それにしても藤と木はうまく共生しているのでしょうか。まとわりつかれた木のほうも弱っている雰囲気はありません。
さて、この時期に腰神神社の藤を紹介したのは、藤の花が咲こうとしている時期だからです。どんな状態か探しているとちょうどつぼみの段階のものを発見しました。少し早かったようです。
でも別のところを見ると、紫の花がつき始めているのが見えました。まだ花弁は開いていませんが、少なくともこの巨大なつるの正体が藤だとわかります。
別のところを見ても藤の花が咲いているのがわかります。やはりつぼみが多いので、花の見頃はこれからでしょうね。
ということで最後にもう一度腰神神社の藤の森全体像を撮影しました。
よく見ると紫色をした藤の花が見えるのですが、とにかく巨大すぎるので、藤の花の鑑賞という意味ではいつもと違う体験となることでしょう。
藤棚の藤は観賞用に人の手が加えられたのに対して、腰神神社の藤の巨木は本来の藤の姿だと考えられます。藤の花が咲く本番を前に、通常の藤棚の藤とは一味違う原生の藤を見てはいかがでしょう。
腰神神社
住所:大阪府富田林市嬉62
アクセス:近鉄汐ノ宮駅から徒歩10分