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日本が対戦するウズベキスタンとはどんなチーム?森保監督との接点とは

柴村直弥プロサッカー選手
試合の前日会見に臨むクーペル監督と成長著しい22歳のシディコフ(写真:松尾/アフロスポーツ)

 本日日本時間22:30より、アジアカップグループリーグ第3戦の日本対ウズベキスタンの試合が行われる。ウズベキスタン代表とはどんなチームなのか、徹底分析していく。

システムは4-2-3-1

 基本システムは4-2-3-1。ウズベキスタン代表は長らくこのシステムを採用してきて、昨年8月に、かつてインテル・ミラノ(イタリア)やバレンシア(スペイン)などの名門クラブを率い、直近ではエジプト代表監督としてロシアW杯を戦っていたクーペル監督が就任した後も、一貫してこのシステムを採用していることからも、日本戦も4-2-3-1で挑んでくることは概ね間違いないだろう。

 主な特徴は、4-2-3-1の3の両サイドにスピードと突破力のある選手を配置することが挙げられる。右サイドには、左利きの背番号7番ラシドフか17番ハムダモフ、左サイドには右利きの11番マシャリポフを配置する可能性が高く、基本的には右サイドに左利き、左サイドに右利きのアタッカーを配置することが多い。しかし、今回のメンバーの中でこの3のサイドアタッカーを務めるのは、前述の3選手の他には左利きの16番トゥルグンボエフしかおらず、左サイドで左利きの16番トゥルグンボエフが出場する可能性もある。

破壊力抜群のカウンターアタック

 カウンターアタックはウズベキスタン代表の攻撃の代名詞とも言える。ボールを奪うや否や、スピードと突破力のあるサイドアタッカーに加え、トップ下、ボランチ、ときにはサイドバックの選手も攻撃に参加し、人が次々に後ろから湧き出てくるようなカウンターアタックを発動する。

 トルクメニスタン戦では実に4得点中3点が自陣でボールを奪ってから10秒以内にゴールを決めた「カウンター」でのゴールだ。

 先制点は、自陣でボールを奪い、最初のパスを出した22番シディコフが50mをトップスピードでランニングし、最後にゴールを決めた。ボランチの9番アフメドフ、1トップの14番ショムラドフ、右サイドハーフの17番ハムダモフ、そしてトップ下の22番シディコフの4選手が関わり、トルクメニスタン守備陣を完全に突破したゴールであった。2点目もカウンターだ。自陣でボールを奪った19番シュクロフがドリブルで前にボールを運び、14番ショムラドフにスルーパス。これをショムラドフが右足のつま先で絶妙なタイミングでシュート。ゴールポストに当たったボールはゴールへと吸い込まれた。そして、3点目を11番マシャリポフが奪った後、勝負を決めた4点目は左サイドからのカウンターだった。11番マシャリポフが奪ったボールを、14番ショムラドフが拾ってマシャリポフに戻し、そのままマシャリポフからスルーパスを受けると、相手GKとDFの動きをよく見ながら落ち着いてゴールに流し込んだ。

 日本は初戦のトルクメニスタン戦でカウンターから先制点を許し、オマーン戦でもカウンターからピンチを迎えている。日本がボールを保持している際の、最終ラインとボランチのリスク管理が重要となってくるだろう。

身体能力の高さはアジア屈指

 17番ハムダモフ、7番ラシドフ、11番マシャリポフ、16番トゥルグンボエフの4人のサイドアタッカーはスピードのある選手たちだが、トップ下を務める22番シディコフも小柄だがスピードと運動量のある選手だ。そして、1トップを務める14番ショムラドフも190cmという長身ながら、スピードもあって自ら突破することも出来、近年成長著しい23歳のストライカーである。どの選手も球際の強さと粘り強さを兼ね備えており、また、旧ソ連であるため、15番クリメッツや10番ビクマエフなどのロシア系のウズベキスタン人選手たちは体格も比較的大柄であり、身体能力の高さはアジア屈指と言っていいだろう。1対1の局面では強さを発揮する。

要注意選手

 所属クラブのロストフ(ロシア)でも出場機会を増やしている14番ショムラドフは、まだ荒削りな部分もあるものの、今大会すでに3ゴールと好調を維持している。1トップの選手は、10番ビクマエフと14番ショムラドフしか今回のメンバーでは選ばれていないため(7番ラシドフが1トップを務める場合もあるが、本来はサイドで力を発揮する選手につき、可能性は低い)、どちらかが日本戦で先発してくるだろうが、どちらにせよ好調の14番ショムラドフは試合に出場してくるだろう。トルクメニスタン戦のウズベキスタンの2点目のように、一瞬でボールを引き出してゴールを決める力もあるこの選手相手には、とくに日本がボールを保持しているときに気が抜けない。

 そして、17番ハムダモフと11番マシャリポフの両サイドアタッカーも要注意だ。スピードに乗ったドリブル突破を止めるのは容易ではない。7番ラシドフが出てきた場合は、シュート力のあるラシドフの遠目からのミドルシュートも要警戒だ。

森保監督との接点

 「森保JAPAN」とウズベキスタン代表は初対戦だが、実は森保監督と対戦した経験のある選手たちがウズベキスタンには複数人いる。

 2013年にサンフレッチェ広島の監督としてACL(AFCアジアチャンピオンズリーグ)を戦った森保監督は、前シーズンウズベキスタンリーグ2位でACLに出場していたブニョドコルと対戦している。その際にブニョドコルで出場していて今回のアジアカップのメンバーに選ばれているのは、1番GKのネステロフ、2番右サイドバックのショラフメドフ、13番左サイドバックのゾテエフ(その試合は左サイドハーフとして出場)、18番ボランチのムサエフの4人(ムサエフはゴールも決めている)と、出場はなかったもののベンチ入りしていた7番左サイドハーフのラシドフ。

 そして、昨年1月のU-23アジア選手権で森保監督率いる東京五輪を目指すU-21日本代表とウズベキスタン代表が対戦した際に出場していたのは、22番トップ下のシディコフ(先制ゴールを決めた)と17番左サイドハーフのハムダモフ(2点目を決めた)、3番センターバックのトゥルスヌフ、23番ボランチのハムラベコフの4人。

 実に9選手のことを森保監督は「知っている」ことになる。そして、ACLでサンフレッチェ広島がブニョドコルと対戦した際は、ホームで0-2、アウェーで0-0。U-23アジア選手権では0-4、と、この3試合では1分け2敗で無得点と、難しい戦いを強いられている。

 その経験から、ウズベキスタン戦では特に相手を警戒し、予断を許さず万全の準備をして臨んでいくだろう。

 ウズベキスタンの左サイドバックを務めている13番ゾテエフが本来左サイドハーフの選手で攻撃的な選手であり、守備の意識があまり高くないことも、森保監督は「知っている」。

Jリーグクラブ所属の2選手にも注目

 ウズベキスタン代表にはJリーグに所属する選手が2人いる。18番ムサエフ(ジュビロ磐田)と3番トゥルスヌフ(レノファ山口)だ。18番ムサエフはケガから復帰したばかりでコンディションは万全とは言い難いが、トルクメニスタン戦でも途中から出場しており、日本戦で出場する可能性もある。誰とでも積極的にコミュニケーションの取れるムサエフは、ウズベキスタン代表でも選手たちからの信頼も厚い。ドストンの愛称で知られるトゥルスヌフは、先日レノファ山口への加入が発表されたばかりで、彼のプレーが観たいレノファ山口サポーターの方々も多いことかと思う。現状、長らく主軸を担っている33歳の5番イスマイロフと、26歳の15番クリメッツ、そして代表での経験も豊富な29歳の20番トゥフタフジャエフの壁は厚いが、そのような中でも、23歳でクーペル監督から代表に呼ばれ続けているトゥルスヌフへの期待は大きい。今大会での出場と成長を期待せずにはいられない。Jリーグクラブ所属の18番ムサエフと3番トゥルスヌフの出場にも注目だ。

 大会前の大方の予想どおりに、日本とウズベキスタンが共に2勝し、両チームがグループリーグ突破を決めた状態で戦う第3戦。両チーム、メンバーを大きく入れ替えて臨む可能性も大いにあるが、戦い方は大きくは変わらないだろう。日本がカウンターから先制点を奪われるような展開になると、より攻撃的に行くであろう日本に対して、ウズベキスタンのカウンターがより活きてくるため、日本にとって難しい試合になっていくだろう。しかし、先に日本が得点し、前に出てきたウズベキスタンのDFラインの背後のスペースをついていくことが出来れば、日本に優位な試合展開となっていくことが予想される。ウズベキスタンの今大会唯一の失点は、カウンターで前に出ていったところを相手にボールを奪われ、逆にカウンターを受けて失点した形だ。

 先制点が鍵を握る。果たして主導権を握るのはどちらのチームか。

プロサッカー選手

1982年広島市生まれ。中央大学卒業。アルビレックス新潟シンガポールを経てアビスパ福岡でプレーした後、徳島ヴォルティスでは主将を務め、2011年ラトビアのFKヴェンツピルスへ移籍。同年のUEFAELでは2回戦、3回戦の全4試合にフル出場した。日本人初となるラトビアリーグ及びラトビアカップ優勝を成し遂げ、2冠を達成。翌年のUEFACL出場権を獲得した。リーグ最多優勝並びにアジアで唯一ACL全大会に出場していたウズベキスタンの名門パフタコールへ移籍し、ACLにも出場。FKブハラでも主力として2シーズンに渡り公式戦全試合に出場。ポーランドのストミールを経て当時J1のヴァンフォーレ甲府へ移籍した

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