東京都には177.4万世帯…高齢者世帯の実情をさぐる(2023年公開版)
社会の高齢化に伴い問題化される状況の一つが、高齢者世帯の増加。高齢者世帯とは65歳以上の人のみで構成するか、またはこれに18歳未満の未婚の人が加わった世帯のことを意味するが、何らかのトラブルが生じた際の対応や、日常生活における行動領域において、一般の世帯と比べて難儀を覚えることが多く、より綿密な社会のサポートが求められる。見方を変えると、その世帯が多い地域では、社会保障をはじめとした運営コストのウエイトが大きなものとなる。今回は厚生労働省にて発表された年次定点観測的調査「国民生活基礎調査の概況」(※)の公開データをもとに、高齢者世帯の実情を確認する。
次に示すのは高齢者世帯の世帯数。高齢者のみの夫婦世帯以外に、高齢者一人の単身世帯、高齢者と18歳未満の未婚の人が加わった世帯も含まれている。
東京都や大阪府、福岡県は元々人口が多いこともあり、世帯数も大きなものとなっている。他に関東各県、北海道、愛知県なども多さが目立つ。地域によっては10万世帯に満たないところも多々見受けられる。
他方、今件はあくまでも世帯数そのものであり、その地域における全世帯に占める割合はまた別。10万件の高齢者世帯があっても、その地域に1000万世帯が存在していれば、高齢者世帯はわずか1%に過ぎないことになる。
そこで各地域毎に全世帯数に対する割合を算出したのが次のグラフ。例えば全国では31.2%と出ているので、全国の全世帯のうち3割強が高齢者世帯となる。
もっとも高い値を示しているのは山口県の41.2%。次いで高知県の39.5%、大分県の38.0%。高いようなイメージがある東京都は27.0%。区部に限ると26.6%。もっとも低いのは宮城県の25.9%。
あくまで今件は指標の一つにしか過ぎないが、高齢社会問題や社会保障に関する話、地域別の高齢問題の差異を検証する上では、大いに役立つものとなるはずだ。
■関連記事:
【高齢者の事故、自宅内の居室や階段で多数発生(高齢社会白書)(最新)】
【2021年は2.1人で1人、2065年には? 何人の働き手が高齢者を支えるのか(最新)】
※国民生活基礎調査
今調査は全国の世帯および世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2022年6月2日に世帯票・健康票・介護票、同年7月14日に所得票・貯蓄票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収の上集計が可能なデータは世帯票・健康票が20万3819世帯分、所得票・貯蓄票が1万9140世帯分、介護票が5499世帯分。今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2022年分)は大規模調査に該当する年であり、世帯票・健康票・介護票・所得票・貯蓄票すべての調査が実施されている。
また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大地震・震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分、2020年は新型コロナウイルス流行の影響で全体のデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。