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ありがとうラグビー日本代表。南アフリカに敗れて史上初ベスト8で大会終える

多羅正崇スポーツジャーナリスト
史上初めて8強に進出した日本代表をリードしたFLリーチマイケル主将(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 

 歴史的な快進撃で世界を魅了したラグビー日本代表”ブレイブ・ブロッサムズ”の旅が、ベスト8で終わった。

 第9回ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会の準々決勝で、アジア史上初めて8強入りした日本代表(世界ランキング6位)が10月20日(日)、東京スタジアムで南アフリカ代表(同4位)と激突。

 前半4分、南アフリカはWTB(ウイング)マピンピが先制トライ。日本は5点を追いかける展開に。

 強力なパワーを誇る南アフリカだが、前半10分にPR(プロップ)ムタワリラが危険なタックルでシンビン(10分間の一時退場)となり、日本に天秤が傾く。

 数的優位となった日本は前半20分、8対7のスクラムで相手のペナルティ(PK)を誘発。

 ここでSO(スタンドオフ)田村が、約30mのペナルティーゴール(PG)を決めて3点を返した。5-3

 南アフリカは日本陣内でたびたび得点機を迎えるが、ノックオンなどミスを連発。日本は何度も窮地をしのぎ、前半を2点ビハインド(3-5)で折り返した。

台風19号の被害に遭われた方々へ黙とうが捧げられ、両国の国歌が斉唱された。(筆者撮影)
台風19号の被害に遭われた方々へ黙とうが捧げられ、両国の国歌が斉唱された。(筆者撮影)

 

 後半の南アフリカは慎重路線。

 司令塔のSOポラードが後半4、9分にPGを連続成功。南アフリカがリードを8点(11-3)に広げる。

 さらにPG加点をした南アフリカは後半25分、優勢だったラインアウトモールで大きく前進。

 最後尾のHOマークスの突破から、SHデクラークがオフロードパスを受けてトライ。ゴールキック成功で、日本のビハインドは18点(3-21)に広がった。

 さらに南アフリカが畳みかける。後半30分、敵陣でのターンオーバーからカウンターを仕掛けて、左隅でWTBマピンピが2トライ目。

 リードを23点(26-3)に広げられた日本だが、最後まで諦めることなく果敢に戦った。

 南アフリカもフルタイムの銅鑼(どら)が鳴ってもアタックを継続したが、最後はタッチに蹴り出し26-3でノーサイド。

 

 今大会での代表引退を表明していたLOトンプソンルークは「寂しい。このチームは特別なチーム」と涙をこらえた。

 ただ試合後の日本に悲壮感はなく笑顔も多かった。HO堀江翔太は「自分たちがすることは全部できた。最後まで諦めない姿は全員持っていた」と味方を誇った。

■南アフリカ代表 ラシー・エラスマスHC

「フィットネスが高く、誰もが速く動くチームが日本です。ウイングに2人のフェラーリ(松島、福岡)がいるチームです」

「(ゲームプランは)FWが非常にきついということがわかっていたので、最後の60分からプロップを入れ替えて、FW陣にフレッシュレッグを入れようとしました。そしてブレイクダウン、スクラムでフィジカルに勝つことです」

「(日本の皆さんへ)日本のパフォーマスを誇ってください。スコットランド、アイルランドがいたのにトップで通過しました。ハーフタイムで私たちは本当に不安を抱えて、緊張していました。本当に日本のラグビーを誇ってください」

■南アフリカ代表 FLシヤ・コリシ主将

「(5-3の僅差だったハーフタイムで話したことは)とにかくお互いを信じようということです。そして、スクラムとモールが上手くいっていると話しました。ボールを保持して、ドライビングモールでトライをしようと。とにかくポジティブな話をしました」

■日本代表ジェイミー・ジョセフHC

「日本に誇りを持っています。出場メンバーに対しても、試合に出ていない選手に対してでもです」

「選手以外のスタッフの方々もありがとうございました。ファンの皆さんがホームの力をくれました。国全体でサポートしてくれました。応援ありがとうございました」

「最後の5分、20点以上の差がついているトップチームを相手にしても、選手は立ち上がった。怪我をしても諦めませんでした。それは本当にコーチとして嬉しいです」

■FLリーチマイケル主将

「今日は南アフリカは素晴らしかった。強みであるスクラム、(ラインアウト)モールで徹底的にやってきました」

「このチームのキャプテンとして本当に誇りに思っています。3年前からワンチームを創り上げてきて、勝つためにすべてのことをやっていきました。多くのファン、サポーターに心から感謝したいと思います」

スポーツジャーナリスト

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める

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