Google Ara Projectはスマホ業界のディアゴスティーニだ
Google、モジュール式携帯Project Araを2015年発売。最小構成50ドルからお好みで組み合わせ
GoogleがMotorola Mobilityを125億ドルで買って(2011)、Lenovoに29億ドルで売って(2014)96億ドルの損をこうむった話は有名だ。しかし、Googleの手元には、かろうじて2つのお土産が残った。一つは、Motorola Mobilityが持っていた膨大な特許。この権利をGoogle Android陣営で使えることによっての無駄な闘争を行う必要がなくなった。そして、もう一つは、Motorola Mobilityの研究開発部門の「ATAP(エイタップ)」だ。
ATAPは、”Advanced Technology and Projects”と呼ばれる部門であり、元国防省の国防高等研究計画局(DARPA)のトップだった人物だったレジーナ・デューガンが率いている。
http://wired.jp/2014/02/03/google-atap/
モジュラー携帯電話のプロジェクト「Project Ara」と「Project Tango」は覚えておいて損はないだろう。
もちろん、Google Glassなどの派手な話題だけでなく、いくつものプロジェクトが存在する。一時的にだけプリントする「デジタル・タトゥー」に、パスワードに替わる米食品医薬品局(FDA)から承認を受けたとされる「セキュリティトークン錠剤」に至るまで。どちらかというと、近未来型SF実験がてんこ盛りに近い(笑)。
しかし、「Project Ara」に関しては、2015年の5月から、50ドルで最小構成の「Ara Phone」が発売される。
そう、すでにスマートフォンの出荷量が頭打ちになっている状況を考えると、3ヶ月毎に登場するバージョンアップに合わせて右往左往するのがバカらしくなるばかりだ。交換できるのは電池くらいのものだし。ディスプレイは使えるけれども、カメラの品質を上げたいとか、防水にしたいとか、いろんなニーズがでてくる。そんなニーズに対応できるのが、基本ユニットが50ドルでコンビニエンスストアなどで販売される「Project Ara」の製品だ。
最初は50ドルでユニットに搭載していくものをカスタマイズしていく。おそらく、5〜7インチのファブレット用のユニットなども考慮されることだろう。電話機能はいらないのでWi-Fiだけでいいとかとなると、すでに「スマホ」と呼ばずに「スマートデバイス」とか別の名称が必要になってくることだろう。
もしかすると、創刊号ユニットは、980円でお近くの書店でというような、ディアゴスティーニモデルの販売方法も十分可能だ。日本の市場で考えるとコンビニエンスストアで基本ユニットを販売するよりも、バラエティ化している書店の方が、じっくり参考図書も合わせて購入できるチャネルとして有効だろう。
創刊号から、主婦向け「Project Ara」 老人向け「Project Ara」 子供向け「Project Ara」みたいなユニット構成も考えられる。必要以上の機能をかつての日本人は高級志向で欲しがってきたが、ノキア220の4000円スマホや、ファイアフォックスの2500円スマホが登場してきたことによって、万人向けの高級よりも、こだわりで、カスタマイズして自分仕様のスマホにしたいというようなニーズも十分考えられることだろう。
それだけではない、2015年となると、すでに発表されたATAPの「Project tango」は、現実社会を3Dカメラ搭載スマートフォンを経由してデータ化するプロジェクトも現実化していることだろう。スマホをかざすだけで、3D空間のデータをスキャンできるという。ビデオを見ると何ができるかが一目瞭然だ。
うん?この発想はすでにGoogleのStreet Viewで実現されているような気がしないでもない。しかし、大きく違うのが、3Dマッピングを普通の人たちが駆使できる点だ。モーショントラッキングと3Dカメラで空間データを共有することができるのだ。
パノラマ映像的だったストリートビューに、「tango」ボタンがあるところをクリックすると、実際にtango搭載スマホでモデリングされたデータにアクセスできるなんてことも夢ではなくなってくる。すでに開発たちに配布がはじまっている。3月14日まで受け付けられている。
https://www.google.com/atap/projecttango/
Google Glassのようなメガネをかけたいとも思わないし、手錠のようなライフログも必要ない。一家に1台の3Dプリンターなんて、設置したいとも思わない。
しかし、自分仕様のこだわりのスマートデバイスが作れて、必要な場所の空間データを活用した新たなサービスならば期待ができる。すでに空間認識されたSNSサービス「flyby messenger」などもflybymediaなどからリリースされだしている。