210日間、毎日『3億円強奪事件』が起きていた! SNS型詐欺事件、334億円から779億円へ増加
KNNポール神田です。
ようやく、政府がマイナンバーカード詐欺に関して重い腰をあげた。マイナンバーカードのICチップの読み取りを『義務化』するだけの決定になぜにここまで時間をかけるのか?
■210日間、毎日SNS詐欺で『3億円強奪事件』が起きていた!
※日本ファクトチェックセンター(JFC)の指摘検証を受け、記事を修正させていただいております(2024年9月11日)
通信キャリアの数は大手だけで4社、MVNO事業者も大手の回線を借りているので、主な4社に『義務化』の意向を伝えるだけで、国民にも周知されることを考えると、携帯電話の契約に今後は『マイナンバー』が『本人確認手段』として必須なことは伝わる。
※マイナンバーカードによる本人確認が義務化したことにより、『SNS型投資詐欺』、『SNS型ロマンス詐欺』への効果はどうか?
2023年1月から4月までの4ヶ月間(120日間)、SNSを使ったマイナンバー偽造カードSNS型投資詐・ロマンス詐欺による事件件数は2,508件、被害額は334億3,000万円。
https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/sns-romance/sns-touroma20240516.pdf
つまり平均1件あたり、1,332万円という恐ろしいほどの巨額の詐欺だ。1日あたり2億7,858万円という規模だ。
※この記事を執筆してから3ヶ月経過するが、ほとんど被害額は減っていない。
直近の警察庁のデータでは2024年の1月から7月までの7ヶ月間(210日間)での事件件数は5,967件、被害額は779億1,000万円。つまり、平均1件あたり1,305万円、1日あたり3億7,100万円と2024年だけでも毎日3億円事件が210日間も発生している。
実際には、500万円以下の被害が一番多いが、1億円以上の被害もある。
https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/sns-romance/sns-touroma2024.pdf
これは1968年に日本中を震撼させた『三億円事件(2億9,430万7500円)』が、一度ならず、120日間 210日間も発生し続けているという規模である。3億円事件は、映画化やドラマ化もされているので、もっと世間は大騒ぎになってもよいはずだろう。しかも、詐欺実行犯のリスクは『三億円事件』と比較して、ほとんどないに等しいのだ。 詐欺を働く側からすると、実働部隊は、主に『携帯電話の紛失』で『本人確認』のための『偽造マイナンバーカード』で本人に簡単にスリ変わることができてしまい、紐づけられている銀行やECでのショッピングで安易に悪用されてしまった。
※今記事の事件は『マイナンバー偽造』によるものではなく、『SNS型投資詐欺』580.4億円、『SNS型ロマンス詐欺』198.8億円による合計779.1億円の被害でした。ここにお詫びし、修正させていただきます。関係者の方々にも謝罪いたします。
※それと同時に、携帯電話の契約において『マイナンバーカード』による『本人確認の義務化』だけではなく、『マイナンバーカード』と『契約電話番号とのヒモづけ』も犯罪防止の観点から議論されるべきかと感じました。
https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/sns-romance/sns-touroma2024.pdf
※犯罪のパターンは、SNSなどで当初接触する。連絡ツールとしてLINEが90%も利用されているので、携帯電話番号に紐づいたLINE側でのSNS型詐欺へのなんらかの対応策が望まれる。
さらに、認知件数に対して、検挙件数が恐ろしく低いのもこのSNS型詐欺の検挙の難しさを物語っている。もっと大々的なキャンペーンで『SNS詐欺』に対しての警戒をおこなうべきだ。3億円事件が毎日なんだから。
認知件数5,967件に対して、検挙件数は77件 検挙率は1.29%にすぎない。
被害金額779.1億円とすれば1件あたり10.1億円となる。
そして、すでにニュースになる頃には、犯罪はピークの終焉を迎え、新たな手口を研究開発していると考えられるだろう。
やはりこんな事件こそ、初動が重要で、迅速に『義務化』を指示し、『罰則』も同時に発表すべきであった。よくあるのが、『義務化』したけれども、実際には『罰則』がないので、形骸化してしまうパターンだ。
どうしても、『金融庁』管轄の銀行業務などではしつこいほどの確認があるが、銀行口座にすでに紐づけられている『決済』では驚くほど簡単に『決済』が終了してしまう。特に『クレジットカード決済』などでは、満額まで決済されていても本人が気づくまでに時間がかかってしまう。
■暗号資産経由のランサムウェアの脅迫と同様の手口も
さらに最近では高額な時計を購入するなどの手段から、『暗号資産』を購入し『ウォレット』から『送金』されてしまうと、捜査機関でさえ、追跡が難しくなってしまう。『ブロックチェーン技術』によって、データが改ざんされないようにすべて『暗号化』されて担保はされているが、『どこの誰が』所有していたものなのかという『属人的な情報』がないので、『脅迫などのランサムウェア』などの『決済手法』としてもよく活用されている。
このような新たな『ハイテク手法』の『特殊詐欺』の特徴は、事件化してニュースで警鐘を鳴らした時点で、次の手に移行されているので、『ハイテク詐欺』に関する、アイデアや知見を広く求めて、手法を先回りしておき、それに罠を仕掛けておくなどの、犯罪者側の視点が最も重要となる。
『司法取引』の一つの手法としても、ハイテク詐欺で捕まった人たちの罪の軽減とともに『新たなハイテク犯罪手法』の検証などを重ねるべきではないだろうか?罪の重さの量刑よりも、被害者を生み出さない強固なセキュリティは、便利さとのトレードオフとなる。
筆者などもいくつも、ハイテク犯罪のアイデアを思いつくが、それを公表するわけにもいかないので捜査側も犯罪のアイデアを募集するしくみを作るべきだと考えている。文殊の知恵を集積し、未来に備えるのだ。
■『マイナンバーカード』には『生体認証』を!
また、『マインバーカード』そのものもICチップで読み取ったとしても『1.氏名(フリガナなし)、2.性別、3.生年月日、4.住所、5.マイナンバー 6.顔写真 』程度しか読み取れない。これもデータベースとして照合されない限り、読み取り可能なICチップの偽造は可能だ。
むしろ『マイナンバーカード』は『多要素認証』を必須とし、『SNS』『電子メール』『生体認証』を伴ってはじめて認証できるなどとすべきだったのではないだろうか?
■『選挙』にこそ使える『マイナンバーカード』
当然、選挙の時なども『選挙はがき』の持参だけで、住所の確認を目視でおこなうだけで、本人確認がなされていないのが現状である。それこそ、マイナンバーカードで本人確認を行い投票ができるだけでも余剰人員を生むことができるのと、選挙対応がより簡易となる。むしろ期日前投票などの投票数なども、自動カウントで国政選挙や都知事選挙のようなマンモス選挙でも、十分にデータを投票日までに掌握できる。すると期日選挙に投票するのに、いちいち言い訳を書かせるという無意味さもなくなる。
マイナンバーカードは、もっとセキュアでビッグデータとしての動きを掌握できるツールとして利用しなければもったいないのだ。保険も免許もパスポートもマイナンバーカードと紐づけた人が、恩恵を十分に受けられるようにしなければ、『義務でもない義務化』という二枚舌にしか聞こえてこない。