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東京都知事選、 #選挙ポスター掲示板事変 の解決策は選挙のデジタル化しかない

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
撮影:服部 桂 氏

KNNポール神田です。

東京都知事選挙の『告示日(2024年6月20日木曜日)』を経て、7月7日までの16日間の選挙期間が開始となった。
選挙の仕組みとしては、告示日の当日17時までに法務局に供託金を収めた『証紙』を候補もしくは代理人が提出して、候補者が決まる。なので『告示日』の17時が終わるまでは候補者が何人なのかは正確にはわからない。

そして、立候補者は、過去最多の56名となった。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240620/k10014486541000.html


各候補者の氏名・ふりがな・党派 ウェブサイトのURLは下記の通りだ。

東京都選挙管理委員会 候補者情報 ※このページ最下部にテキストデータで引用
https://r6tochijisen.metro.tokyo.lg.jp/governor/index.html

そもそも、『告示日』を『候補者』の締め切りにしている時点で、この『公職選挙法』がザル法であることがわかる。


■『告示日』当日に『くじ引き』して決めるポスター番号

告示日当日に候補者もしくは代理人が、通常、選挙管理委員会の厳重な監視の元、一回目のくじ引きをして、くじを引く順番が決まる。そして、2回目のくじ引きで引き当てた番号がポスターの番号となる。
なので、その引き当てたポスター番号を各陣営が電話連絡などをして、告示日の最初のポスター貼りという『風物詩』のようなポスター貼りの行為がスタートする。

連番で枠を獲得する為には、その『くじ引き』に参加しないことによって、くじ引きで割り当てられた1番からの上位のポスター枠からはずれたことによって連番を獲得できる可能性が高い。しかしながら、今回は56名の応募なので、49番から56番までの7連番をはずす方法は、筆者にはわからなかった。
しかも見事に、ポスター掲示枠を取り囲む連番で『選挙ポスタージャック』となっている。

■選挙ポスタージャック!25番から48番までの7,200万円の供託金はどこへ?

撮影:服部 桂 氏
撮影:服部 桂 氏

今回 56名の候補者が、供託金300万円を法務局に支払い、立候補したのだが、25番から48番までの『24連番』の枠を得ようとすると、単純に候補者が24名必要であり7,200万円の現金での供託が必要である。

東京都知事になるのはたった一人だが、供託金の没収ポイントを回避するには、有効投票数の1/10以上獲得(公職選挙法93条1項)すれば供託金は戻される

4年前の2020年令和2年7月5日の東京都知事選挙650万人だったので、65万票以下は没収となる。この時は、得票数3位の、れいわ新選組の山本太郎候補がギリ65.7万票だったので供託金は還付された。

すると、今までの都知事選でいうと得票数で3位圏でなければ、すべて没収され国庫金となる。


■選挙ポスター掲示場の常識をぶっ壊す? 最大3億5,000万円の寄付金が集まる?

出典:NHK党
出典:NHK党

常に、エキセントリックな選挙戦術を見せる『NHKから国民を守る党』だが、今回は、東京都内1万4,000箇所もの掲示板にあなたのポスターを貼れるという奇策を展開している。

一口2万5000円の寄付でオリジナルポスターが、一箇所で24枚貼ることが可能という奇策だ。
すべての寄付が集まると、1万4,000箇所なので、3億5,000万円の寄付が集まることとなる。
供託金が、7,200万円の言葉は悪いが『原価』として考えれば、『2,880箇所』にポスターが貼られると『損益分岐点』となるようだ。また、供託金が没収されても寄付金が残るという仕組みだ。

□あなたのオリジナルポスター24枚を貼ってみませんか?
6月20日より一口2万5千円〜※のご寄附で、東京都内に約14,000箇所設置される選挙ポスター掲示場のうち1箇所に「自分で作ったポスター」を24枚貼ることができます。
※25番から48番までの24ヶ所に貼れます。
※2024年7月6日まで貼ることが出来ます。
※立候補者の、写真や名前は掲載出来ませんが、あなたやあなたの大切な人の写真や氏名は掲載できます。
https://tokyo2024-poster.studio.site/

□掲示するポスターについて
※ポスターのデザインはお任せしますが、党や選挙管理委員会が不適切と判断したポスターについては、事前の通知なく撤去させていただきます。その際、ご寄附いただいた金額は返金できませんのでご了承ください。
※他人の名誉を毀損したり、わいせつな図画を掲載するなど、公序良俗に反するデザインは認められません。
※ポスターには掲示責任者と印刷者の住所と氏名の記入が必須となっています。寄附後に送られるメールに、詳しい情報が書かれていますので、必ずご確認ください。
※店名や会社名、商品などは掲載できません。商売を目的としたポスターは掲載できません。
※個人のSNSアカウントへの誘導や、源氏名の掲載は可能です。
https://tokyo2024-poster.studio.site/#choice

■ポスターの印刷費が1枚134円が公費負担、ラクスルだと54円

供託金だけで考えると一候補者あたり300万円だが、選挙候補者には公費負担という謎の枠があるのだ。これは落選しても使えるという『公費』という名の『税金』だ。

誰も知らない『選挙公費負担』は一人あたり、最大680万円(2016年当時)にもなる。

出典:選挙ドットコム
出典:選挙ドットコム


ポスター代金だけでも1万4000箇所となると一箇所あたりポスターは、@134円 の公費負担で最大189万円の公費負担で落選してもまかなってもらえる。

ラクスルで耐水屋外用選挙ポスターを頼むと1,000部で54,679円だ。つまり1枚のA3サイズのポスター印刷費は54円となる。ポスターに記載された印刷会社がラクスルにスルーした伝票を計上するだけで、1枚あたり80円の利益が印刷会社に生ませることができる。これだけで印刷会社はなにもせずに112万円の公費負担を得られる
それだけではない、候補者にはあまねく公平に『公費負担』という名の『税金』が負担されているのだ。


1.ハイヤーには、¥109万
2.レンタカーには、¥26万
3.ガソリン代には、¥12万
4.運転手代には、¥21万
5.選挙ビラには¥163万、
6.ポスター代金は¥189万※ @¥134×1万4,163ヶ所
7.選挙ハガキには、¥66万
8.選挙事務所の看板には、¥49万
9.選挙運動用の自動車看板には、¥20万
10.個人演説会の看板には、¥19万

https://go2senkyo.com/articles/2016/06/22/19811.html


■『掲示板ジャック』で、考える『公職選挙法』のありかた


今回の『東京都知事選挙』で都民は、いかに『選挙掲示板』の無駄な活用を知ることとなったことだろう。しかも、そこに血税が一人あたり最大680万円も投入されていることを知ると、供託金の300万円など、まったく意味がないことが理解できる。

むしろ、公職選挙法を改正せざるを得なくなると思うが、すでに『選挙ポスター掲示場』のコストを還元して、スマートフォンで選挙管理委員会のサイトで確認できるようにすればよいだけの話なのだ。

また『期日前投票』にも『投票日』に投票できない言い訳を書かせる意味が理解できないし、投票所の入場券となる『選挙ハガキ』こそ、住所確認しかできない『ハガキ』ではなく、本人確認にもなる『マイナンバーカード』を徹底的に活用すべきだ。
選挙ポスターも『期日前投票所』に各一枚だけ1枚掲げれば、どれだけ『税金コスト』だけでなく、『選挙管理委員会』の人的コストも収めることができる。
もしくは、1万4,000箇所に防災時の充電センターや緊急情報を出せるデジタルサイネージに変化させたほうが良いはずだ。

ある意味、今回の『掲示板ジャック』は都民だけでなく、これらのニュースを選挙期間中ではあるが、終わってからでも、国民に問うべきではないだろうか?

本当に都内『1万4,000箇所』にポスター掲示場を設置して、撤去して毎回おこなっている作業の意味を、74年前の昭和25年(1950年)に制定された『公職選挙法』を読み直し、2024年以降のバージョンに大アップデートする必要があることを自覚すべきだと思う。

一度、過去の公職選挙法の、法律がなぜそうなっているのかを、含め、ネットも携帯電話もない時代から類推していく作業が必要だろう。

そうすると、告示日に間に合わない、印刷の『選挙公報』の配布もふくめて議論できるのではないだろうか?

今すぐにやめなくても、公示日2日前に締め切りをおこない、選挙管理医委員会のサイトで候補者情報をまとめるだけで良いのだ。
そう、スマートフォンでスクロールしないですむようなレイアウトも必要だ。

ある意味、NHKから国民を守る党は『選挙管理員会』の『パンドラの箱』を開け、『ポスター掲示場』の意味を考える機会を実力行使で与えてくれたと思う。


■東京都都知事選挙 候補者一覧

https://r6tochijisen.metro.tokyo.lg.jp/governor/index.html

期日前投票所一覧
https://r6tochijisen.metro.tokyo.lg.jp/vote/index.html

出典:産経新聞
出典:産経新聞

https://www.sankei.com/article/20240610-2YXPY3FCBNMAZOD2UG5AOTHPXE/

https://www.asahi.com/senkyo/tochijisen/

選挙管理員会もスマートフォンでも視認しやすくするべきだろう。
以前はPDF形式だったのでHTML表記になっただけでもかなりの進化だといえるが、ポスター番号も決まったので、ポスターとも連動すべきだろう。

立候補者氏名ふりがな党派立候補者のウェブサイト等のアドレス

野間口翔 のまぐちしょう無所属なし

さわしげみさわしげみ無所属https://saipon.jp/h/sawa/nobunaga

大和行男やまとゆきお無所属https://yamato-yukio.studio.site/

木宮みつききみやみつき未来党https://x.com/miraitou_honbu

小池ゆりここいけゆりこ無所属https://www.yuriko.or.jp/

うつみさとる うつみさとる市民がつくる政治の会https://go2senkyo.com/seijika/193748

石丸伸二いしまるしんじ無所属https://ishimaru-shinji.com

小野寺こうき おのでらこうき 忠臣蔵義士新党https://onodera.akogishi.com

しんどう伸夫 しんどうのぶお お金をみんなへ シン独立党なし

竹本秀之 たけもとひでゆき 無所属https://www.hideyukitakemoto.com

桜井誠 さくらいまこと日本第一党https://sakurai-makoto.jp/

ドクター・中松 どくたーなかまつ無所属http://dr.nakamats.com

安野たかひろあんのたかひろ無所属https://takahiroanno.com

清水国明 しみずくにあき 清水国明と東京都の安全な未来をつくる会https://www.shimizu-kuniaki-tokyo.com

AIメイヤーえいあいめいやーAI党なし

桑原まりこくわはらまりこ(略称)プリベントメディカル久米慶被害者の会なし

ゴトウテルキ ごとうてるきラブ&ピース党https://gototeruki.net

河合ゆうすけ かわいゆうすけジョーカー議員と投票率を上げる会https://kawai-yusuke.info

福本繁幸 ふくもとしげゆき 無所属https://福本繁幸.tokyo/

黒川あつひこ くろかわあつひこ つばさの党https://www.youtube.com/@user-zp4nl4ee3m

桑島康文くわじまやすふみ核融合党https://www.kuwaj.com

田母神としおたもがみとしお無所属https://www.tamogami-toshio.jp/

蓮舫れんほう無所属https://renho.jp

ないとうひさおないとうひさお無所属なし

内野愛里うちのあいりカワイイ私の政見放送を見てねhttps://x.com/airiv0ice

石丸幸人いしまるゆきと石丸幸人党https://youtube.com/@ishimaruyukito

尾関あゆみおぜきあゆみポーカー党https://qr.paps.jp/Mnfuk

小松けんこまつけんゴルフ党https://golf-party.jp/

かがたたくじかがたたくじ覇王党https://www.facebook.com/takuji.kagata

福永かつやふくながかつやNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp/

犬伏宏明いぬぶせひろあきNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp/

武内隆たけうちたかしNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp/

遠藤信一えんどうしんいちNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp/

上楽むねゆきじょうらくむねゆきNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp/

二宮大造にのみやたいぞうNHKから国民を守る党https://x.com/taizoninomiya

中江ともやなかえともやNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp/

ふなはしゆめとふなはしゆめとNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp/

山田信一やまだしんいちNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp/

加藤英明かとうひであきNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp/

草尾あつしくさおあつしNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp/

津村大作つむらだいさくNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp

横山緑よこやまみどりNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp/

前田太一まえだたいちNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp

みなみ俊輔みなみしゅんすけNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp

ふくはらしるびふくはらしるびNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp/

木村よしたかきむらよしたかNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp

三輪陽一みわよういちNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp

松尾芳治まつおよしはるNHKから国民を守る党https://www.syoha.jp/

ホカリジンほかりじん無所属なし

小林弘こばやしひろし無所属なし

加藤健一郎かとうけんいちろう無所属なし

ひまそらあかねひまそらあかね無所属https://twitter.com/himasoraakane/

向後真徳こうごまさのり無所属https://twitter.com/KohgoMasanori

うしくぼのぶおうしくぼのぶお無所属なし

古田真ふるたまこと(略称)土頭を働かし最高裁裁判官5人を弾劾する党https://blog.goo.ne.jp/furutamakot

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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