2025年に流行るラーメンとは? 今年絶対に食べるべきラーメン厳選5選!
2025年のラーメンはどうなっていくのか
毎年のように新たなトレンドが生まれては消えていくラーメン業界。2025年のラーメントレンドはどうなっていくのかを考えると、これまでのトレンドとは方向性が違った流れになっていくのではないかと感じている。
コロナ禍以降、ラーメン業界を取り巻く環境は決して良いとは言えない。高騰する食材原価に原油高、さらには人件費も上がっており、ただでさえ薄利多売のビジネスモデルのラーメン店において、食材費や人件費の高騰は死活問題となっている。
また、いわゆる「1,000円の壁」の意識が作り手にも食べ手にも根強く残っており、原価などが上がった分を売価に乗せられれば良いが、長引く不景気によって消費者の財布の紐は固いまま。なかなか値段を上げられない店が多いのも事実だ。
2025年はラーメンが二極化の時代へ
すでにブランドが確立されていて一定のファンを抱えている店や、インバウンドが見込める立地の店であれば、ラーメン一杯1,500円でも2,000円でも売れるだろう。しかしながらこれまで一杯1,000円以下で鎬を削ってきた多くのラーメン店の場合は、従来のままの戦略では厳しくなっていくのは間違いない。
2025年は高騰する食材原価や人件費を抑えつつ、売価も抑えた上で満足度の高いラーメンが求められる時代になるだろう。またガッツリ系や家系ラーメンなど満足感の高いイメージのラーメンがさらに増えていくだろう。そして既存店がラーメンを再設計して新しいブランドを展開していくだろう。そんなトレンドを象徴するような、2025年に食べるべきラーメン店を厳選した。
背脂ラーメン再ブームへの期待『セアブラーメン 東中八』(東京・八丁堀)
2024年12月24日、八丁堀の路地裏にオープンしたのが『セアブラーメン 東中八』(東京都中央区八丁堀2-8-1)。味噌ラーメンの人気店『ど・みそ』が新たに手掛けるブランドは、かつて東京でブームとなった「背脂チャッチャ系」を彷彿とさせる、背脂ラーメンの専門店だ。
軽めのベースに強めの醤油ダレと背脂を合わせ、ブラックペッパーで締めるスープはバランスが良く、刻んだニンニクやタマネギも効果的に味のアクセントとなっている。『浅草開化楼』による太縮れ麺はワシワシと喰らいつくような食感。ガッツリ系ラーメンのエッセンスも感じられる、ネオ背脂ラーメンのトレンドを生み出せるか注目だ。
厳選ポイント:背脂ラーメンの新時代を創り出す可能性を秘めた一杯
家系ラーメンの新たな時代へ『革新家 TOKYO』(東京・八重洲)
JR東京駅八重洲口直結『東京駅一番街』内にある『東京ラーメンストリート』に、2023年オープンした店が『家系ラーメン 革新家 TOKYO』(東京都千代田区丸の内1-9-1 東京駅一番街B1)。こちらは人気店『ソラノイロ』が、今再ブームとなっている家系ラーメンに革新を起こすことをコンセプトに作り上げた家系ラーメンの新ブランドだ。
家系ラーメンの構成要素はそのままに、スープや具材の食材に麺の小麦などのパーツをブラッシュアップして再構築。様々なラーメンを生み出してきた店主ならではのオリジナリティも随所に感じられ、従来の家系ラーメンとは設計や思想が異なった一杯は、家系ラーメンが生まれて半世紀が過ぎた今、家系ラーメンに多様性が生まれるであろう新たな時代の到来を予感させる。
厳選ポイント:新たな視点とアプローチで再構築された家系ラーメン
安くて美味しいラーメンの再評価『らぁ麺や Go』(東京・神保町)
2024年4月オープンの『らぁ麺や Go』(東京都千代田区神田神保町1-2-6)は、昔ながらのラーメンを再構築した一杯を提供する人気店。ほのかに生姜が香るさらっとしたスープに菅野製麺の平打ち麺の組み合わせは、誰もが懐かしさをノスタルジックでホッとする一杯。これを東京の中心地で一杯税込500円という、今の時代にかなり戦略的な価格で提供している。
現代のラーメンは間違いなく売価に対してオーバースペックになっているが、売価を上げたりスペックを維持しようとするがゆえに「1,000円の壁」問題と直面する。世の中がイメージする売価に合わせたスペックのラーメンであれば、客も満足するばかりか現場の労働負荷も少なくて利益も出る。1,000円の壁を「越えずにくぐる」戦略を狙うラーメン店がしばらくは増えていきそうだ。
厳選ポイント:1,000円の壁を越えずにくぐる一杯
熟成豚骨ラーメン時代の到来なるか『博多ラーメン 和』(東京・赤坂)
これまで東京の豚骨ラーメンの多くは『一風堂』や『一蘭』のように、臭みのない豚骨ラーメンが多かった。しかしながらここ数年で都内でも豚骨臭のする熟成豚骨を提供する店が増え注目を集めている。2014年創業の博多ラーメン店『博多ラーメン 和』(東京都港区赤坂5-1-36)は、2024年に熟成スタイルの豚骨ラーメンにシフトしてにわかに注目を集めている店だ。
店主が独学でたどり着いた豚骨ラーメンは、取り切り製法と呼び戻し製法のハイブリッド。熟成感も程良くフレッシュな骨感も感じる、万人に好まれるであろうスープバランス。福岡のトリオ製麺の低加水麺はパツンとした食感が印象的。これまでは福岡でしか通用しないと言われていた熟成豚骨ラーメンだが、2025年は豚骨臭のするラーメンが東京の豚骨ラーメンのスタンダードになっていくかもしれない。
厳選ポイント:しっかりと豚骨が香る濃厚な豚骨スープ
スープを使わずにクオリティを保つ『油カダブラ』(千葉・船橋)
2024年11月にオープンした『油カダブラ』(千葉県船橋市本町4-41-29)は、人気店『麺屋あらき 竈の番人』の新ブランド。高騰する原価に対抗すべく、売価を上げずにクオリティを維持するために、スープを使わない油そば専門店にブランドチェンジした。2025年は「油そば」や「まぜそば」など、スープを使わないラーメンを提供する店が増えていくだろう。
大量の煮干しや魚節をふんだんに使ったスープと、オマール海老とカメリアラードで作ったオリジナルの香味油が一体となり、全粒粉を配合した自家製太麺と絡み合うオリジナルの油そばは、これまでのラーメンの良さを上手に取り入れた一杯になっている。豚骨魚介スープがタレのように入っていることによって、今までの油そばにはないインパクトと味の深みが生まれた。
厳選ポイント:ラーメンの良さを残した斬新な油そば
2025年も美味しいラーメンを提供する店が次々と登場するだろう。味の好みは人それぞれ。ラーメンを食べ歩く楽しさは自分好みの一杯を見つけることにある。お気に入りのお店にばかりいくのではなく、この記事に限らずともまずは気になったラーメン店に足を運んで頂いて、それをきっかけに自分だけの一杯を見つける、新しいラーメンと出会う旅に出て欲しい。
※写真は筆者の撮影によるものです。
※掲載順は地域別に並べているだけで優劣を示すものではありません。
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