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前田健太の肘に不安!? ドジャースはマエケン抜きでもローテーションを組める

宇根夏樹ベースボール・ライター
前田健太 NOVEMBER 15, 2014(写真:アフロスポーツ)

前田健太のロサンゼルス・ドジャース入団が遅れている。1月5日の深夜、ESPNのジェリー・クラズニックは「関係者によると、ドジャースと前田健太との契約は、肘に対する懸念からもう少し時間がかかりそうだ。明日か2日後に正式契約となるだろう」とツイートした。

ドジャースは今オフ、ザック・グレインキーとの再契約に失敗し、アロルディス・チャップマンのトレード獲得と岩隈久志との契約も、ほぼ合意に達しながら成立しなかった。ドジャースはジョニー・クエイトジェフ・サマージャとも、入団交渉を行っていたらしい。チャップマン以外は先発投手だ。グレインキーはアリゾナ・ダイヤモンドバックス、岩隈はシアトル・マリナーズ、クエイトとサマージャはサンフランシスコ・ジャイアンツと契約を交わし、チャップマンはシンシナティ・レッズからニューヨーク・ヤンキースへ移籍した。

可能性は低いものの、前田のドジャース入団も実現しないかもしれない。交渉期限は1月8日の午後5時(アメリカ東部時間/日本時間1月9日午前7時)だ。

ただ、前田がいなくとも、ドジャースはすでにいる投手でローテーションを組むことができる。昨年末、ドジャースがスコット・キャズミアーと3年4800万ドルで契約した際に、ブレット・アンダーソンが「ヘイ、カーショウ。団結の印としてローテーション全員で君のグラブを使おう」とツイートしたように、5人の左投手が揃っている。クレイトン・カーショウ、キャズミアー、アンダーソンに、アレックス・ウッドヒョンジン・リュ(柳賢振)も左腕だ。

5人のうち、リュは肩の故障で昨シーズンを全休したものの、他の4人は皆、30試合以上に先発して180イニング以上を投げた。防御率は最も悪いウッドでも3.84。4人のトータル防御率は3.13だ。また、リュは2013年が30先発して防御率3.00、2014年は26先発で3.38だった。エースのカーショウについては言うまでもないが、いずれもたまたまの好成績ではなく、それだけの実力を備えている。故障さえなければ、なかなかのローテーションだ。

それゆえ、前田はドジャースに入団しても、ローテーション入りが約束されているわけではない。メジャーリーグで実績のない前田をローテーションで投げさせるのに――ウッドあるいはリュをローテーションから外すのに、右投手が一人もいないという理由だけでは弱すぎる。さらに、シーズン半ばまでには、右腕のブランドン・マッカーシーが戻ってくる。マッカーシーは昨オフにドジャースと4年4800万ドルで契約したが、開幕から4先発したところで肘を痛め、4月下旬にトミー・ジョン手術を受けた。

キャズミアーの入団を受け、カーショウはツイッターにこう書き込んだ。「ワン・バンド、ワン・サウンド(バンドは一つ、 音も一つ)」。これは、映画「ドラムライン」のセリフだ。自分たちのローテーションをバンドに見立てているのだろう。バンドをチーム全体と捉えても成り立つが、カーショウが加わった直後のツイートであることを踏まえると、ローテーションと看做した方がすっきりする。前田がカーショウらとともにバンドとしてサウンドを奏でるには、まずはドジャースに入団し、続いてそのローテーションにも入らねばならない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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