【オートバイのあれこれ】最強のNSR、「ハチハチ」。
全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。
今日は「最強のNSR、“ハチハチ”。」をテーマにお送りします。
激化するレーサーレプリカブームのなか、1986年(昭和61年)にホンダがリリースした『NSR250R』(MC16型)。
当時のホンダのGPマシン『RS250RW』になぞらえて開発されたNSRは、それまでの2ストカテゴリーで優位にいたヤマハ『TZR250』やスズキ『RG250ガンマ』をも撃墜するほどの戦闘力を備えていました。
しかし、メーカー同士の熾烈な開発競争の下でホンダが手を緩めることはなく、’88年の初めには早くも2代目となるMC18型NSRをリリースします。
そう、「ハチハチ」のNSRですね。
初代MC16型もなかなかの割り切りっぷりでしたが、ハチハチではいっそうその鋭さに拍車がかかっていました。
フレームやサスペンション等、車体の作りは高荷重を想定したハードな設定(≒サーキット指向)となっており、エンジン関連においても、市販オートバイでは史上初となるコンピューター制御式キャブレター『PGMキャブレター』を装備。
限界性能はMC16型から大きく引き上げられおり、その秘めたるポテンシャルを活かし切るには、より高度なテクニックが求められるようになっていたのです。
また、エンジン出力を抑えるリミッターを簡単に解除できるようになっていたことも、ハチハチのトガったイメージを助長していたことでしょう。
ハチハチはもちろん公道を走るための量産市販車ではあったものの、実際の操縦特性としては公道走行をほとんど視野に入れていないようなオートバイに仕上がっており、そのスパルタンさが後の「歴代NSRの中で最強」というような評価へとつながることになりました。
そしてこのハチハチ登場を機に、ホンダも含めた各メーカーは「スパルタンすぎるのも考えモノだ」と開発方針を見直すようになり、以降はレプリカモデルであってもある一定の扱いやすさ・親しみやすさを加えるようになっていきます。
ハチハチNSRは、’80年代レプリカブームの過激さを最も分かりやすく象徴する存在だったと言っていいでしょう。
画像引用元:本田技研工業