2020年の世界平均気温「史上最高タイ」に
2020年は新型コロナウイルスの脅威に振り回された異様な一年となりましたが、気温の上でも異常な年だったようです。
欧州の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は8日(金)、昨年はこれまでで最も暑い年だった2016年に並び、観測史上もっとも暖かかったと発表しました。2020年の世界の平均気温は、産業革命前(1850年~1900年の平均)と比べ1.25度(摂氏)高く、2016年とほぼ同じだったと言います。
ラニーニャ現象なのに
2016年と並ぶとはいえ、2020年の高温記録は、かなりの意味を持っています。
というのは、昨年はラニーニャ現象が発生していたからです。ラニーニャ現象とは、東部太平洋の赤道付近の海水温が平年よりも低くなる現象で、これが起きると世界気温が下がる傾向にあります。
さらにこれまで1位の2016年はラニーニャ現象とは逆のエルニーニョ現象が発生していた年でした。この年はエルニーニョ現象により世界気温が0.2度も押し上げられたと考えられています。
つまり2020年はラニーニャ年であったにもかかわらず、エルニーニョ年と同じ高温記録が作られてしまったことになります。そういう意味でも、2020年はただならぬ年となりました。
世界の気温記録
では具体的にはどのような高温が記録されていたでしょうか。
下の表は、昨年の記録的な事象をまとめたものです。たとえばアメリカでは、世界最高気温2位の記録である54.4度、シベリアでは北極圏の最高気温記録である38.0度が観測されるなど、目を疑うような高温記録が作られました。
2021年を予想
コペルニクス気候変動サービスによるランキングでは、記録上最も暑い上位10年のうち8年が2010年以降に起きています。
そうなると2021年も上位に食い込んでくることが予想されますが、再び記録が更新されるのでしょうか。
どうやら、2020年よりは下がるのではないかと見られています。
たとえばイギリス気象庁は、2021年はラニーニャの影響を昨年よりも受けることが予想され、2020年よりはやや気温が低くなって、産業革命前と比べて0.91~1.15度高くなるだろうと考えているようです。
しかしラニーニャが去れば、どれほどの高温が待っているのでしょうか。
(追記:一部記事を削除しました。)