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豊臣秀吉が名づけ親ともいわれる「うぐいす餅」青大豆の濃厚な甘味と香ばしさをこし餡と共に頬張って

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

江戸っ子気質、という言葉を聞いたことがあるかと思います。一般的には、江戸っ子は喧嘩早く短期でせっかちといわれ、火事と喧嘩は江戸の華といわれるほど。

そしてもうひとつ。江戸っ子は初物や季節の「はしり」のものを好んだといいます。季節のはしりとは、旬を迎えたばかりかそのほんの少し手前のこと。初鰹が良い例かもしれませんね。江戸っ子は初物を好んだというのも、誰よりも先に味わって自慢したいという見栄っ張りな気性からきているともいわれています。

江戸っ子だけではなく、季節のはしりの商品を手土産として持参するのもおすすめといわれています。11月の後半にクリスマスの足音を感じられるようなクッキーなどの焼き菓子を、桜が咲く前に桜餅を、など無意識に日常に取り入れていらっしゃる方も多いはず。

うぐいす餅
うぐいす餅

まだ松の内もあけていないうちから、春の訪れが待ちきれないといわんばかりの和菓子が登場しはじめました。今回は埼玉県さいたま市にお店を構える「菓匠花見」さんより、「うぐいす餅」をご紹介。

うぐいす餅の由来のひとつとして主流なのが、1580年代に豊臣秀吉が命名したという一説。豊臣秀吉の兄・秀長が、お茶会に弟を招くので今まで見たこともないような美味しい茶菓子を作るように命じ完成したもの。こし餡を餅皮で包みきな粉をまぶした物だったそうで、それを絶賛した秀吉が「鶯餅」と名付けたのだとか。(ちなみにその原点となったお餅は、御城之口餅と呼ばれ、鶯餅を作ったとされる本家菊屋さんより販売されています。)

菓匠花見さんのうぐいす餅はなかなか高さがあります
菓匠花見さんのうぐいす餅はなかなか高さがあります

鶯、というよりはメジロに近いような…と申しますのも、鶯餅にまぶされているのは青大豆からできるうぐいす粉。お味噌を作る際の黄色い大豆ではなく、より濃厚でまったりとした青大豆からつくられており、時代と共により鮮やかな色合いになるよう着色されたうぐいす粉も流通しているため、実物の鶯より鮮やかな色合いになっているものも見受けられます。

あふれんばかりのうぐいす粉がたっぷり!
あふれんばかりのうぐいす粉がたっぷり!

菓匠花見さんのうぐいす餅は、求肥・こし餡・青大豆それぞれの旨味や甘味、風味が非常にはっきりとした輪郭を描き、特にうぐいす粉はこれでもかというほどたっぷり!こぼしてしまうのが勿体ないので、丁寧かつスピーディーに口元へ。グンと鼻に突き抜ける青大豆特有の野趣あふれる香ばしさ、癖になります。

求肥のなめらかさと合うこし餡
求肥のなめらかさと合うこし餡

うぐいす餅はよもぎを使用しているところや一般的な黄色いきなこを使用しているところも。ぜひ、春の足音が聞こえてくる前に、こちらから探しに行ってみてはいかがでしょうか。

有難いことに、菓子楊枝をつけてくださいました
有難いことに、菓子楊枝をつけてくださいました

<菓匠花見・本店>
公式サイト(外部リンク)
埼玉県さいたま市桜区町谷1-20-17
048-711-4010
9時~18時
定休日 月曜

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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