88.6%「知人との交友」・64.6%「情報探索」…ソーシャルメディアの利用目的(2023年公開版)
目的は「知人との交友」が88.6%と最多
スマートフォンやタブレット型端末の普及で加速度的に浸透しつつある、ウェブサービスの一つ「ソーシャルメディア」。今や寝食を忘れてアクセスを続ける人も多い。そのソーシャルメディアの利用目的について、総務省が2023年5月に詳細値を発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に、確認していく。
今件における「ソーシャルメディア」だが、補足説明の用語集では「インターネット上の交流を通して社会的ネットワーク(ソーシャルネットワーク)を構築するサービスのことである。Facebook やTwitter、LINE などが代表的」(ソーシャルネットワーキングサービス(SNS))とある。LINEなどのようなチャット系コミュニケーションサービスは厳密な解釈では定義から外れるが、社会全般的には同一視されていること、質問の上でもそのような区分が行われているため、該当するものとみなす。他方、広義では含まれることになる掲示板や動画投稿・共有サイト、ブログは他項目で別途言及されていることもあり、該当しないものとする。
今調査によればソーシャルメディアの利用率は、インターネット利用者においては80.0%(無回答者除く、以下同)。見方を変えると、インターネットにアクセスできる機会を持ちながら、ソーシャルメディアの類を使っていない人は2割いることになる。
年齢階層別では13~19歳がもっとも利用率が高く92.1%、13歳以降は過半数。80歳以上でもインターネット利用者の53.7%が利用している実態には驚かされる(もっとも高齢者にとっては、インターネットの利用そのものが高いハードルなのだが)。
それではソーシャルメディア利用者は、何を目的としてアクセスしているのか。全体的な回答が次のグラフに示されているが、最上位の同意率を示している項目は「従来からの知人とのコミュニケーション」。つまり利用者のうち88.6%は、ソーシャルメディアで身近な知人とのお話、交流を望んでいることになる。
これは手紙やメール、電話と比べると利用ハードルが低く、気軽にコミュニケーションができるのがメリットとして認識され、多くの人に使われていると見てよいだろう。また、自分の状況を披露しておくことで、自分の知人に間接的な意思表示(例えば「忙しい」「元気だ」「明日は暇だ」)をすることも可能となるのがポイントだろうか。
次いで多い目的は「知りたいことについて情報を探す」で64.6%。ソーシャルメディア内で知的好奇心の充足を望んでいることになる。昨今ではソーシャルメディア上で情報を直接、あるいは間接的に(URLなどでガイダンスする形で)公知するケースも多く、これらをたどることで望んだ情報を取得できることになる。あるいは関連する情報を得られそうなアカウントに追随し、日頃からチェックをする場合もあろう(芸能人、著名識者、関連会社、報道関係など、対象はいくらでも想定できる)。
一方、はっきりとした目的意識は無い「暇つぶし」との値も33.3%と高い値。交通機関を使った移動の際に雑誌や新聞を読み進めるような、あるいは休日の午後、特にすることも無く外出するのも面倒な時間の経過を過ごす際に、ソーシャルメディアをざっと眺めて場の雰囲気を楽しんでいるであろう人は案外多い。
震災以降その役割が重要視されるようになった「災害発生時の情報収集・発信」は24.9%。普段から意識して利用する、明らかな目的として認識した上で注視する人はさほどいないとの意味であり、使うことがないわけではあるまい。
年齢で変わる、変わらない利用目的
この結果についていくつかの属性別で再計算を行い、その動向を確認する。まずは年齢階層別。
どの年齢階層でも「知人との交友」が最多回答項目であることに違いはないが、13~19歳がピークで、それ以降はおおよそ年齢とともにその値は下がっていく(6~12歳でやや低めなのは、実社会でも交友範囲が限定的なのが原因。また、利用したくとも保護者などに止められている場合も考えられる)。他方「情報を探す」は20代がもっとも高い値。知的好奇心が旺盛だからだろうか、それとも仕事などで必要性に迫られてなのかもしれない。
「新たな交流関係を広げる」「自分の情報や作品を発表したい」などは20代をピークとする形で若年層ほど高い傾向。ソーシャルメディアを使い、積極的にコミュニケーション網を広げていこうとする意思が見える。
またピークに違いはあるが、おおよそ若年層ほど値は高い。つまり、若年層ほど複数の目的でソーシャルメディアを利用していることになる。年上になるに連れて利用目的が絞られていくようだ。年を取ると積極性に欠けるようになるのか、特定の目的のみで満足してしまうのだろうか。ただし「災害発生時の情報収集・発信」は20代以上でおおよそ同じ値が維持され、50代が一番高い値。80歳以上でいくぶん値が落ちる程度。
男女別では?
次いで男女別の動向。こちらは同一性別内における年齢階層別の流れを見やすくするため、上記のグラフとは項目の表記を変えてあることに注意。また「上位陣」と「下位陣」では回答率に差異がありすぎるため、縦軸の区切りも変更してある。
「従来からの知人とのコミュニケーション」は全般的に女性の方が高め。女性がデジタル・アナログを問わずコミュニケーションを好むことはすでに知られている通りだが、それがソーシャルメディア内でも結果として表れている形。「知りたいことについて情報を探す」は中年層までは女性の方が高く、高齢層になると男性の方が高くなる。
「暇つぶし」はおおよその層で男性の方が高い値。女性は「従来からの知人とのコミュニケーション」の方で多分にその目的を達してしまっているのかもしれない。
法的に、そして規約的に問題がない限り、ソーシャルメディアをどのような利用目的で使おうと、他人がそれを束縛する権利はない(無論、盗用コンテンツの悪用や、詐称的なリンク掲載による釣り行為は問題外である)。一方、ソーシャルメディアはあくまでもツールでしかなく、そのツール経由で伝達される情報の真偽性は、ソーシャルメディア自身が担保しているわけではないことに注意しなければならない。例えば「世界最大規模のFacebookで語られていた話だから、この情報は絶対に真実だ」と盲信すると、痛い目にあう可能性は十分以上に存在する。
情報の「確からしさ」を精査するには経由されたサービス以上に、情報発信源について、そして内容そのものの確認をすべきであることはいうまでもない。
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【メールやソーシャルメディアなどのコミュニケーションツールを小中高校生はどれほど利用しているのだろうか】
※通信利用動向調査
2022年分は2022年8月末に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、満20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対し、郵送あるいはオンラインによる調査票の配布および回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万5968世帯(3万9557人)、2428企業。各種値には国勢調査や、全国企業の産業や規模の分布に従ったウェイトバックが行われている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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