TWICEは韓国でどう見られてる!? 現地メディアが熱弁 変化を見せた「3曲」と「変わらないこと」
今月27日と28日に行われたTWICEの日産スタジアム公演の余韻・インパクトが続いているようだ。
累計150万人を動員したグループ5度目の大型ワールドツアーの最終公演でもあり、海外女性アーティストとしては初めて同会場で行われた公演でもあった。SNSには多くの反応が書き込まれ、関連記事も次々とアップされている。
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韓国メディアもその偉大さに注目している。
「K-POPのプライドを刻んだ」(韓国経済)
「晴れ女」(朝鮮日報=ゲリラ豪雨の続くなか28日は降らず)
一般紙までもがこういった見出しで記事を発信する一方で、韓国内で2番目の規模を誇る通信社によるこんな記事も見つけた。
「韓日関係も改善…TWICEはどのようにして日本のトップグループになったのか」(Newsis)
執筆者は、同社芸能担当として多くの記事を手掛けてきたイ・ジェフン記者。横浜も現地取材して記した記事が「韓国から見るTWICE」が実に鮮明に描かれており、興味深かった。
同記者はTWICEのキーワードを「変化」そして「変わらない点=スキャンダルのなさ」にあると論じている。
その中で象徴的な楽曲として、三つの曲名が挙がった。まずは一つ目。
「TWICEはJYPの(デビュー当時から)既存の色から外れており、注目を集めた。2000年代後半を席巻したトップグループ『Wonder Girls』のレトロでもなく、デビュー曲『Bad Girl Good Girl』で一気にトップに立ったガールグループ『miss A』のアクロバティックなパフォーマンスとも軌を一にしなかった。デビュー初期のTWICEは、デビュー曲『Like OOH-AHH』に集約されているカラーポップを前面に出した。明るく軽快でエネルギッシュで、くせのない音楽色がメンバーたちにそのまま染み付いていた」
ガールズグループの名門、JYPにあって既存の流れを踏襲しないかたちでデビューした。最初からオリジナルのカラーがあった、という点だ。その象徴が2015年10月にリリースされた『Like OOH-AHH』であったと。
「初期には『ティーンポップ』の代表格だった。10代をターゲットにした音楽で10代の絶対的な支持を得た。愛称も可愛らしさが強調された『TWICE』だった。『かわいい子の隣にまたかわいい子』というキャッチフレーズが示すように、9人のメンバーのルックスにも重点が置かれた」
さらにこの記事では、もうひとつの楽曲に言及されている。
「変化の兆しが見え始めたのは2019年4月にリリースしたミニ7集『FANCY YOU』からだった。『メロウ・ムード・ポップ』ダンス曲である『FANCY』をタイトル曲に据え、歌詞の雰囲気とステージの雰囲気が変わった」
「それまでのはつらつとしたTWICEには見られなかった挑発的でカリスマ溢れる姿が特筆すべきものだった。一糸乱れぬが爽やかだった振り付けもパワフルな群舞に変身した。TWICEの世界の自転軸はそのように変化してきた。成熟し、発展した」
FANCY作曲家が語っていた「この曲の特別な意味」
筆者自身、この『FANCY』を手掛けた作曲家ユニットブラックアイド・ピルスンのラド氏に複数回インタビューしたことがある。
今やSTAYCのプロデューサーとして知られる彼は、TWICEデビュー後から2017年まで、『Like OOH-AHH』『CHEER UP』『TT』『LIKEY』などの楽曲を立て続けに手掛けた。しかし2018年の1年間はTWICEには提供した楽曲がなく、2019年4月に久々に「再会」したのだった。
RADO氏は確かにこのFANCY制作時に「カラーを少し変えたい。ここまではかわいいコンセプトばかりだった。これを変えられるのはピルスンしかいないとリクエストがあった」と言い、マルチな楽曲を制作できるという自負のある自らにとってそれは「うれしいことだった」と話していた。
そして作曲時の悩みをこう振り返った。
「私たちがこれまでTWICEに提供してきた楽曲が非常にいい反応をいただいていたので、今までのものを捨てきることはできないなとも感じていました。つまりは、全く違う音楽を作ることは非常に難しい作業で、不可能でした。そこで考えたのが、TWICEのカラーは残したうえで、少しだけ……うーん、例えるならここまでは高校生から大学1年、2年生の音楽だとしたら、今は大学4年生くらいの……ちょっと成熟したイメージを作ろうと。少し違うイメージですね」(筆者によるインタビュー。K-Style に掲載)
一方、後日にこの楽曲について話を聞く機会があった。こんなことも話していた。
「新しいコンセプトだったということもあり、音楽チャート的にはずば抜けて良かったということはない。しかしどんなグループにも変化は必ず必要で、やってよかったと思っている」
かくして2024年の現在、この「FANCY」は韓国メディアに絶賛されている。それも制作側の意図した「変化」というキーワードにて。このNewsisの記事を発見するに、TWICEの凄みをまた別角度から感じたのだった。
TWICEが友情を堂々と歌える理由
さらにこの後、TWICEは再度の変化を遂げる。それは2024年2月のアルバムからだと。記事はこう続けている。
「TWICEは『With YOU-th(タイトル曲は「ONE SPARK」)』の発売前後にグローバルスタジアムヘッドライナーとしての地位を確立した。世界の女性グループ史上初めてアメリカで最大のスタジアム公演会場として挙げられるロサンゼルスのSoFiスタジアムとニューヨークのメットライフ・スタジアムに進出するなどした」
この変化こそが、TWICEのTWICEたる所以として、韓国では評価されている。さらにこの点について、同記事では日本の音楽事業にも詳しい韓国の大衆音楽評論家、ファン・ソノプ氏のコメントも紹介している。氏はTWICEが「活動路線の転換を通じて度々飛躍する機会を生み出した、稀なケースのK-POPグループ」だとしてこう論じる。
「デビュー初期に志向していたティーンポップグループとしてのイメージをある瞬間から脱却し、音楽的にもパフォーマンス的にもグローバルを志向するアーティストとして自分たちのアイデンティティを再構築し始めた」
記事では最後に、TWICEの「変わらない点」も示しつつ、変化を成し遂げた要因を分析している。
「今年でデビュー9周年を迎えたTWICEは、これまでK-POPグループの中でも珍しく所属事務所・メンバーの変動がなく、特に目立ったスキャンダルにも巻き込まれなかった。特にメンバー間の厚い友情はK-POP界でよく知られている。(これこそが)今年2月にリリースしてアメリカのビルボードメインアルバムチャート『ビルボード200』で1位を獲得したミニ13集『With YOU-th』で自信を持って友情、青春をキーワードに掲げることができた理由だ」
(了)