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球団が決まっていない大物は、短期契約を交わし、来オフのFA市場で大型契約を狙う!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
コディ・ベリンジャー Aug 30, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨年、ブレイク・スネルは、2度目のサイ・ヤング賞に選ばれ、コディ・ベリンジャーは、不振を抜け出した。ジョーダン・モンゴメリーは、3シーズン続けて155イニング以上を投げ、防御率はいずれも3.85未満だ。イニングは157.1→178.1→188.2と増え、防御率は3.83→3.48→3.20と下がっている。マット・チャップマンは、昨年こそ17本塁打ながら、その前の2シーズンは27本塁打ずつ。2019年は、36本のホームランを打った。パワーだけでなく、三塁の守備も優れる。

 だが、4人とも、FAになったまま、球団は決まっていない。

 開幕までは、まだ1ヵ月以上ある。エースや大物野手の離脱が起こり、状況は変わる可能性もある。そうならなくても、ディスカウントに応じれば、契約は得られるだろう。

 他には、短期契約を交わし、来オフに再びFA市場に出て、大型契約を狙う方法もある。

 例えば、カルロス・ロドーンは、2021年にシカゴ・ホワイトソックスで132.2イニングを投げ、防御率2.37を記録した。そのオフ、FAになり、3月にサンフランシスコ・ジャイアンツと2年4400万ドル(2022~23年)の契約を交わした。この契約には、2022年に110イニングを投げると、オフにオプト・アウトできる条項がついていた。

 ロドーンは、2022年に178.0イニングで防御率2.88を記録し、ジャイアンツとの契約を打ち切った。そして、ニューヨーク・ヤンキースから6年1億6200万ドル(2023~28年)の契約を得た。

 カルロス・コレイアも、ロドーンと同じ2022年3月に――ロドーンより少し遅れて――ミネソタ・ツインズと3年1億530万ドル(2022~24年)の契約を交わした。こちらのオプト・アウトできるタイミングは2度。2022年のオフと2023年のオフだった。

 2022年に136試合で出塁率.366と22本塁打を記録し、コレイアは、再びFA市場に出た。6年2億ドル(2023~28年)の契約でツインズに戻ったが、右足首の状態に懸念が生じなければ、コレイアの契約は3億ドルを超えていた。ジャイアンツと合意に達し、そこから白紙に戻った契約は、13年3億5000万ドル(2023~35年)だった。その後、コレイアは、メッツと12年3億1500万ドル(2023~34年)の契約で合意したものの、こちらも成立には至らなかった。

 ロドーンとコレイアの代理人は、スコット・ボラス(ボラス・コーポレーション)だ。ボラスは、スネル、ベリンジャー、モンゴメリー、チャップマンの代理人でもある。

 ただ、FA市場に残っている4人のうち、ベリンジャー以外の3人は、次のオフに再びFAとなっても、望みどおりの大型契約は得られないかもしれない。

 ロドーンとコレイアは、現在の契約の1年目、2023年のシーズン年齢(6月30日時点)が、それぞれ、30歳と28歳だった。ベリンジャーは、2025年のシーズン年齢が29歳なので、ロドーンとコレイアの間だが、あとの3人は32歳だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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