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1シーズンに「200三振以上を喫して25四球未満」は史上初。テオスカーの記録を更新する

宇根夏樹ベースボール・ライター
エジキール・トーバー(コロラド・ロッキーズ)Jun 9, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2024年に190三振以上の打者は、3人いた。エリー・デラクルーズ(シンシナティ・レッズ)が218三振、エジキール・トーバー(コロラド・ロッキーズ)が200三振、カイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)は197三振を喫した。

 一方、四球の数は、大きく異なる。それぞれ、69四球、23四球、106四球だ。

 1シーズンに200三振以上を喫し、四球が30未満の選手は、これまでいなかった。2024年のデラクルーズとトーバーを除くと、200三振以上の打者は延べ19人。そのなかで最も四球が少なかったのは、2023年に211三振と38四球のテオスカー・ヘルナンデス(当時シアトル・マリナーズ/現FA)だ。あとの18人の四球は、少なくとも63を数える。例えば、2022~23年に2シーズン連続200三振以上のシュワーバーは、それぞれ、200三振と86四球、215三振と126四球を記録した。

 シーズン200三振以上だけでなく、シーズン170三振以上の180人――2024年の20人を含む――のなかでも、トーバーの23四球は最も少ない。それまでは、2021年に184三振のハビア・バイエズ(当時シカゴ・カブス→ニューヨーク・メッツ/現デトロイト・タイガース)と170三振のサルバドール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)が記録した、28四球が最少だった。ちなみに、2021年のペレスは、本塁打王(48本)をブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)と分け合い、打点王(121打点)も獲得した。

 2024年に190三振以上の3人の打率は、デラクルーズが.259、トーバーが.269、シュワーバーは.248なので、それほど大きな違いはない。けれども、出塁率は.339と.295と.366だ。

 もっとも、今のところ、トーバーがレギュラーから外れる可能性はない。

 トーバーは、遊撃を守っている。2024年は、ゴールドグラブを受賞した。DRSが10、OAAは15。この両スタッツともプラス二桁の遊撃手は、他にはいなかった。また、ファングラフスのデータによると、併殺の起点と中間点の回数、52度と59度は、どちらも、どの遊撃手よりも多かった。例を挙げると、遊撃手の場合、6-4-3なら起点、4-6-3だと中間点だ。

 それだけでなく、トーバーの75長打は、両リーグ7位タイに位置する。ブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)とガナー・ヘンダーソン(ボルティモア・オリオールズ)の2人と、同じ本数だ。トーバーは、ともに33位タイの26本塁打と4三塁打に、2位タイの45二塁打を記録した。ナ・リーグに限ると、二塁打は最も多かった。

 年齢は23歳。来シーズンは、メジャーリーグ4年目となる。ロッキーズとトーバーは、2024年の開幕直前に7年6350万ドル(2024~30年)の延長契約を交わした。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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