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スキなし豊島将之叡王、パーフェクトゲームで藤井聡太挑戦者を降し、叡王戦は最終第5局決戦へ

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 8月22日。 愛知県名古屋市・名古屋東急ホテルにおいて第6期叡王戦五番勝負第4局▲豊島将之叡王(31歳)-△藤井聡太二冠(19歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 9時に始まった対局は17時40分に終局。結果は91手で豊島叡王の勝ちとなりました。

 五番勝負はこれで両者ともに先手番をキープして勝ち、2勝ずつ。勝負は最終第5局に持ち込まれました。

 第5局は9月13日、東京・将棋会館でおこなわれます。

 両者の通算対戦成績はこれで豊島9勝、藤井6勝となりました。

藤井挑戦者、珍しいまでの完敗

 先手番で相掛かりを採用した豊島叡王。深い研究に裏打ちされた序盤戦でリードを奪いました。

 豊島叡王はじりじりとリードを広げていき、そのまま優勢、そして勝勢にまで持ち込みました。

 87手目。豊島叡王は銀取りに桂を打ちます。藤井挑戦者はがっくりとうなだれ、しばらく顔をあげませんでした。持ち時間4時間のうち、残りは豊島26分、藤井6分。形勢も時間も豊島よしです。藤井挑戦者の時間はさらに削られていきます。そして4分9秒考えて中段に桂を跳び、最後の反撃に出ました。

「藤井先生、持ち時間を使い切りましたので、これより一分将棋でお願いします」

 90手目。持ち時間を使い切った藤井挑戦者は秒を読まれることなく、角を打ちます。その早さからして、すでに勝負を争っている雰囲気は薄くなっていました。

 91手目。豊島叡王は飛車を打って王手をかけます。

 藤井挑戦者はお茶を飲んでのどを潤しました。

「負けました」

 藤井挑戦者がはっきりした声で投了を告げ、第4局に幕がおろされました。91手での敗局は、藤井挑戦者にとっては珍しい短さでしょう。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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