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レジェンド羽生善治九段(49)木村一基王位(46)を破ってA級残留確定 史上6位のA級以上28期目へ

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 1月29日。東京・将棋会館においてA級順位戦8回戦▲羽生善治九段(49歳)-木村一基王位(46歳)戦がおこなわれました。10時に始まった対局は23時56分に終局。結果は105手で羽生九段の勝ちとなりました。

 勝った羽生九段は4勝4敗。最終戦の結果にかかわらず、これでA級残留が確定しました。最終戦では、やはり残留が確定した佐藤康光九段と対戦します。来期、A級以上の期数は羽生九段は28期(史上6位タイ)、佐藤康光九段は24期(史上10位タイ)となります。

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敗れた木村王位は3勝5敗となり、最終戦9回戦でも残留を目指して戦います。

羽生九段、矢倉で大一番を制す

 本局の先手は羽生九段。注目の作戦は矢倉でした。互いに飛車先の歩を伸ばし合った後、木村王位はオーソドックスな金矢倉に組みます。対して羽生九段は囲いには手をかけず、早々に守りの銀を前線に進め動いていきました。

 中盤は盤面全体を使ってのねじり合いに。そして羽生九段がまずはわずかにリードを奪ったようです。対して頑強な粘り腰を身上とする木村王位は、銀冠の形を作って陣形を再構築します。そして終盤に入った段階では、形勢は不明となっていました。

 23時を過ぎた頃、羽生九段が流れるような手順で再度攻勢をかけていきます。頑強な抵抗ラインを築いていた木村王位の守備体形が崩れ、形勢は羽生九段よしへと傾きました。

 最後は飛車を捨てる間に木村玉のそばにと金を作り、上部と側面から包囲。さすがの木村王位もこうなっては、粘る手段がありませんでした。

 木村王位は飛車を打って、最初で最後の王手をかけた後、投了しました。

 これで羽生九段は残留が決定。

 木村王位は最終戦で残留を目指し、既に残留が決まっている広瀬章人八段と対戦します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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