ここ5試合で4発の陽川が1軍へ!カナフレックスと今季2度目の対戦《9/14 阪神ファーム》
阪神ファームは13日、14日と鳴尾浜に社会人チームを迎えて交流試合を行いました。13日は大和高田クラブとの対戦で、初回に今成選手の2ランと陽川選手のソロ!2者連続ホームランが出ています。そのあと2死から二塁打した江越選手を西田選手がタイムリーで還し、計4点を奪いました。すぐに2ランで2点差とされるも、5回と6回に1点ずつ加え、8回に2点を失って6対4の勝利。
そして14日はもと阪神・藤井宏政選手が所属するカナフレックスと、4月3日に続いて今季2度目の顔合わせでした。先に1点を奪われ、すぐ追いついて陽川選手の3ランで引き離したと思いきや、相手4番の2ランなどで再び同点。でも直後にまた勝ち越し、そのまま逃げ切っています。2試合とも6対4と、そこそこ競ったスコアですね。
この交流試合で2試合連続ホームランの陽川選手は、その前のウエスタン・中日3連戦(鳴尾浜)でも2本打っていて、つまり今週だけで4本塁打ですよ。すごいなあ。1軍で見たいなあ。と思っていたら呼ばれました。きょう15日に1軍昇格、即先発出場、そして6回に一時は同点となる2ラン!1軍では4月29日以来の第2号ですね。いや~よかった。おめでとうございます。と喜べない試合結果が辛いですけど…。
では、14日のカナフレックス戦の結果をご紹介しましょう。試合前に島本投手が「後輩が出てるんですよ。1番と4番」とすごく嬉しそうに教えてくれました。福知山成美出身の1番・新谷承基選手、4番・奥田史弥選手です。2人ともしっかり打ったので、先輩も鼻が高かったのでは?
《交流試合》9月14日
阪神- カナフレックス (鳴尾浜)
カナ 001 003 000 = 4
阪神 000 132 00X = 6
◆バッテリー
【阪神】横山-田面-守屋 / 岡崎-小宮山(7回~)
【カナ】岩崎(3回)-大西(2回)-大山(0/3回)-青木(1/3回)-作元(2/3回)-中村(2/3回)-宮城(1回1/3) / 福田
◆本塁打 阪神:陽川3ラン(大西) カナ:奥田2ラン(横山)
◆二塁打 阪神:新井、緒方、横田、 カナ:奥田、前出、新谷、山内
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)
1]左右:緒方 (4-2-2 / 1-1 / 0 / 0)
2]二:今成 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃二:坂 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
3]三:陽川 (2-1-3 / 1-2 / 0 / 0)
4]指中:横田 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)
5]一:新井 (2-1-0 / 0-1 / 0 / 0)
〃一:西田 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0)
6]右:伊藤隼 (2-1-1 / 0-1 / 0 / 0)
〃左:一二三 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0)
7]中:江越 (2-1-0 / 0-0 / 1 / 0)
〃指:柴田 (1-0-0 / 0-1 / 0 / 0)
8]捕:岡崎 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃打捕:小宮山 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
9]遊:植田 (3-1-0 / 1-1 / 0 / 0)
◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ
横山 7回 87球 (8-8-0 / 4-4) 144
田面 1回 16球 (0-2-1 / 0-0) 147
守屋 1回 11球 (0-1-0 / 0-0) 136
<試合経過>
先発の横山は1回、2死から3番・山内の中前打と4番・奥田の左中間二塁打でピンチを招きますが、5番・藤井を一飛に打ち取って無失点。2回は三者凡退でした。しかし3回、先頭の9番・前出に初球を右超え二塁打され、新谷の犠打で1死三塁。続く2番・今釡の投前スクイズで先に1点を失います。
打線は2回、新井が左翼線二塁打を放ち、江越は右前打と二盗で1死二、三塁。続く岡崎の三ゴロをサードがバックホームして、挟まれた新井は三塁に戻り、キャッチャー・福田が江越にタッチして2死三塁とチャンスは残ったものの、植田は三振。3回まで走者を出しながら無得点でした。
ようやく4回、2人目の大西から右翼線二塁打した横田が、1死後に伊藤隼の右前タイムリーで生還して同点。5回には植田の中前打(二盗失敗)、緒方の四球、今成の右前打などで2死一、三塁として陽川がレフトへ勝ち越しの3ラン!
ところが4回、5回と連続で三者凡退に抑えた横山が6回、先頭の新谷に中越え二塁打を浴び犠打で1死二塁とされて、山内のタイムリー二塁打。さらに奥田はレフトへの2ラン!打たれた瞬間、横山と内野陣は誰ひとり打球の行方を見ませんでした。2死後にまた連打を許て一、三塁とした横山ながら、何とか同点止まりです。
するとその裏、新井と伊藤隼が連続四球で無死一、二塁となり、2死後に植田も四球を選んで満塁。続く緒方が右前タイムリー!2点を勝ち越しました。横山が7回を三者凡退に切って取った直後、ストレートの四球を選んだ陽川は横田の一ゴロで併殺。2死から西田が中前打、一二三は四球、柴田は死球で満塁としたものの追加点なし。
8回は田面が2死から1つ四球を与えただけ、2奪三振で無失点。こちらも、その裏の攻撃は相手の内野、外野の好守備で三者凡退。9回は守屋が三者凡退で締めて試合終了です。
一歩、また一歩と前進する横山
故障後、最長となる7イニングを投げた横山投手ですが、登板後に聞いたところ「(左肩の)痛みはないです」とのこと。ゲーム内容では、グラウンド整備を挟んだあとの6回に打たれた場面を振り返り「去年も何度かあったんで、ちょっと早めにキャッチボールとかしました。だから準備不足ではないですけど」と話しました。
その6回は2ランなどで3失点。「打たれたのは、みんな真っすぐです。ファウルも取れなかった」そうで、三者凡退で締めた7回は「2球くらいしか真っすぐを投げていない」と言います。変化球はよかった?「いい球は増えてきたけど、真っすぐが上がってこないと組み立ては難しい。狙ったところにいっていなかったので」
この日の最速は144キロで、6回にもまだ球速が出ていましたね。「去年も尻上がりに出ていたけど、きょうはギアを上げてもあまり出なかった。自分の感覚で(スピードが)出る時はキレもいい。試合の中で感覚をつかみたい」。真っすぐの精度を上げることは「常に意識して求めている」部分だそうです。
久保投手コーチは「少しずつです。きょうはイニングと球数を増やしました。5回を終わって、インターバルを入れて6回へ」と説明。やはり、あえて課題を与えたようです。その6回に失点してしまったわけで「そうなりましたね。そういう経験させないと」と話しています。掛布監督は「イニングと球数が増やせたのはよかったけど、高めに浮く球が多かったね。角度のあるストレートはよかった」という評価でした。
ここ5試合で4本塁打の陽川
陽川選手は四球、三振、3ラン、四球という打席結果。もちろん昇格が決まる前の取材ですので、ご了承ください。ホームランは116キロの変化球を打ったもので「カーブがスライダーじゃないですかね」と言っていて、カナフレックス側に確認したら「スライダー」でした。陽川選手のコメントに戻りましょう。「正直、打った瞬間は上がりすぎたのでレフトフライかな?と思いました。入ったのでよかったです」
真っすぐを待って変化球に対応できた?「(カウント)3-2だったんで、どっちでも対応できるようにと思っていました」。1軍の残り試合は少ないけど、ヒットやホームランで結果が出ていますね。「いつでも呼ばれるように準備をしていますし、いい感じて打てています。この形、自分の形を崩さないようにやっていきたい」
現在ウエスタンの二冠。「そういう状態ですけど、それはそれで置いといて、目の前の試合に集中して結果をがついてきたらいいです。とにかく1打席1打席」。二冠どころか三冠も夢ではありませんよ。「それは…終わってから」。そうですね。1軍に最後までいて、まだ抜かれていなかったら、それもよしということで。
“自分自身の数字と戦う”経験
掛布監督は「状態がすごくいい。あさってからの広島、オリックス、ソフトバンクで全日程が終わる。そこでどれくらい打てるか、だよね。いい状態を維持してるとは思うけど。チャンスがあれば、もう一回(1軍で)試してもらいたい気持ちはあるが上の事情もわかるからね。ただ陽川はことしで終わるわけじゃないんで。仮に呼ばれなくても、あと9試合戦って出た結果は彼の財産になる」と言い、もう一度「いい状態で1軍にいければいいんだけどね」と繰り返しました。
きのう夕方時点での談話で、もちろんまだ昇格は決まっていなかったと思いますが、この日の内容についてもすぐに連絡が行ったのでしょう。鮮度を落とすことのない素早い対応が、ことしの特徴ですね。
また、これも昇格決定以前の話ですけど、陽川選手が二冠、三冠を狙える位置にいることについて「自分自身の数字と戦うのは、陽川にとって初めての経験だと思うよ。打点やホームランは増える一方だけど、打率は減ることもあるから。そこを意識するのはね」と掛布監督。14日の試合みたいに2四球を選んだのは大きいですね?「それは大きい。打たなくても四球は大きい」
「1軍だったら」と考えて立つ打席
続いて緒方選手です。3回に二塁打、そして追いつかれた直後の6回は勝ち越しの2点タイムリーを放ち「うまく反応できました」とコメント。11日の中日戦で内野安打と二塁打、13日の交流試合・大和高田クラブ戦では代打でタイムリー三塁打もあり「ここ最近ずっと、いい感じで打てていることが多い。しっかり継続して、チャンスをもらった時に結果を残せるように頑張ります」と笑顔でした。
「ランナーがいる時は、いつも還す気持ちです。最近は、ここでという時にいい結果を残せている。今まで以上に集中力を持ってやれているかなと思います。1軍のピンチヒッターとか経験できているからかなと。1軍だったら、と常に考えてやっています」。前にも書きましたが、ことしの緒方選手はグッと大人になったような気がするんですよね。残り試合に、来年に、その努力が実を結ぶ時がきっとあります。
悔しさを乗り越えて来シーズンへ!
最後はカナフレックスの藤井選手に聞いた話を…と言いたいところですが、すみません。「三振2つとも同じような感じだったねえ」「はい」。時間がなくて、このやり取りしかできませんでした。なお、4月に対戦した時よりレベルアップした気がすると関係者の方々は言われます。私はその間に試合を見ているので、5か月前の印象はそれほど残っていないけど、確かにいい当たりがたくさんあったと思います。
それと驚いたのがバント!つい先日、社会人日本選手権の近畿地区最終予選で、パナソニックと互角に戦いながら1点が取れず「負けたのは、バントのサインを迷った自分の責任。練習からバント失敗が多かったのでねえ」と悔やんでおられた河埜監督。ところが、この日は犠打2つを決め、おまけにスクイズで先制点も挙げています。選手権の予選でできていたら…と思わずにいられないでしょうね。
その選手権予選でも、14日の阪神戦でもスタメンマスクをかぶっていた福田選手が、強肩を披露。4回に伊藤隼選手が、5回には植田選手が盗塁を阻止されました。どちらもショート藤井選手が捕球してタッチ(3回はしっかり見たものの、4回はちょっと自信がありません…)。3回に緒方選手が牽制で刺された時も、ピッチャーの送球を藤井選手が受けてタッチしました。これは間違いなく藤井選手です。
そうそう、同点に追いつく2ランを放った4番の奥田選手と少し話ができました。最初にも書いた通り、島本投手の1つ後輩。「試合前に言われたんです。ホームラン狙えよ!って」。なるほど。で、ちゃんとホームランを打ったのもすごい。「真っすぐです。打った瞬間にわかりました」。でしょうねえ。阪神の守備陣も同じでしょう。誰も後ろを見なかったから。「そうなんですか?」と言って、ちょっと嬉しそうに笑いました。
ちなみに、奥田選手は西田選手とボーイズリーグでチームメイトだった縁で「横山とは面識あるんですよ。西田と一緒に会ったことがあって」とのこと。みんな同い年ですもんね。また先輩の島本投手も奥田選手に「頑張ってほしい」とエールを送っています。残念ながら日本選手権の本大会出場はなりませんでしたが、もう来年に向けてスタートしているカナフレックスに、どうぞご期待ください。