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今冬は周期的に強い寒気が南下 週明けは低気圧通過で暖気北上も2月に入ると寒気南下

饒村曜気象予報士
弱まってきた日本海と東シナ海の筋状の雲(1月29日13時)

強い寒気の南下

 日本上空に強い寒気が流れ込んでいるため、1月28日(土)は西高東低の冬型の気圧配置となり、日本海側を中心に広く雪が降りました。

 富山県の魚津市では1月28日20時から23時の3時間に20センチという短時間に強い降雪があり、気象庁では「顕著な大雪に関する気象情報」を発表しています。

 1月29(日)の日中はいったん雪が弱まりましたが、29日夜から翌30日朝にかけて再び寒気の南下が強まり、日本海には上空に強い寒気を伴った低気圧が発生しています(図1)。

図1 予想天気図(1月30日9時の予想)
図1 予想天気図(1月30日9時の予想)

 この低気圧の影響で、1月30日(月)は、西日本の日本海側で雪となり、普段雪の少ない大阪でも雨か雪の予報となっています。

 低気圧が近づく北陸では、発達した雪雲が流れ込みやすく、大雪となる所がある見込みです。また、午後は北日本にも雪の範囲が広がって、東北の日本海側を中心に雪の降り方が強まる所もありそうですので、大雪やふぶきに注意が必要です。

 大気の状態が不安定となるため、落雷や竜巻などの突風にも注意が必要です。

周期的に強い寒気が南下

 今冬の特徴として、冬型の気圧配置は強さの割には長続きしないということがあげられます。

 令和5年(2023年)1月13日(金)は北日本を通過した低気圧に向かって暖気が北上して4月並みの気温となり、最高気温が25度以上という夏日を観測したのが21地点(全国で気温を観測している914地点の約2パーセント)もありました。

 しかし、その後、西高東低の冬型の気圧配置が強まり、強い寒気が南下したため、最高気温が氷点下という真冬日や、最低気温が氷点下という冬日を観測した地点数が急増しています(図2)。

図2 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和4年11月1日~令和5年1月29日)
図2 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和4年11月1日~令和5年1月29日)

 今冬、真冬日を観測した地点数が一番多かったのは1月25日(水)の502地点(約55パーセント)と、全国の半数以上の地点で、気温が一日中氷点下という、冷凍庫の中の状態でした。

 また、冬日を観測した地点数が一番多かったのも1月25日(水)で869地点(約95パーセント)と南西諸島以外は全ての観測地点で冬日でした。

 そして、冬日が2番目に多かったのは1月24日(火)、3番目に多かったのが1月26日(木)と、この頃の寒気が今冬一番と言えそうです。

 それに次ぐのが現在南下中の寒気で、冬日の観測地点数では1月25日(水)頃の寒気にはおよびませんが、真冬日では1月28日(土)に361地点(39パーセント)、1月29日(日)に313地点(34パーセント)と、今冬二番の寒気といえそうです。

 そして、現在南下中の強い寒気も長続きせず、今週中ごろは、寒さが少し緩んで2月1日(水)を迎えます。

 ただ、2月2日(木)には、再度強い寒気が南下してくる見込みです(図3)。

図3 上空約5500メートルの気温分布予報(上は1月30日朝の予報、下は2月2日朝の予報)
図3 上空約5500メートルの気温分布予報(上は1月30日朝の予報、下は2月2日朝の予報)

 強い寒気の目安となっている上空約5500メートルで-36度以下という寒気は、青森県付近まで南下してきます。

 ただ、1月30日に南下した寒気は、能登半島付近まで南下していますので、その時よりは弱いと考えられます。

東京では平年並みの気温へ

 東京の最高気温や最低気温の変化をみると、気温の上がり下がりを繰り返していますが、最高気温、最低気温ともに一番低かったのは1月25日(水)頃でした。

 今後も気温は上がり下がりを繰り返す予報ですが、最高気温は平年値を挟んでの高い低い、最低気温は、下がっても平年並みと、ともに1月25日(水)頃の寒さはならない予報です(図4)。

図4 東京の最高気温と最低気温の推移(1月30日~2月5日は気象庁、2月6日以降はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温の推移(1月30日~2月5日は気象庁、2月6日以降はウェザーマップの予報)

 2月4日(土)は立春で、暦の上では春の始まりとなりますが、東日本太平洋側から西日本は、このころから厳しい寒さが少し和らぎそうです。

 とはいえ、寒暖差が大きくなるため、体調を崩さないように注意が必要です。

 北日本や東日本日本海側では、春の気配はもう少し先になりそうですが、春の気配が感じられるときは要注意です。

 低気圧の接近で暖気が入り、雪が雨に変わって春の気配が感じられたとしても、低気圧の通過後は寒気が入ります。

 融けた水が凍り、その上に雪が降ってきますので、雪崩が発生しやくなり、路面状態が悪化したりします。また、除雪が困難になるなど災害が拡大する可能性があります。

 暖かさと寒さが交互に来るときは、寒さが続いているときよりも危険なのです。

タイトル画像、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図4の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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