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「自信がない」。そこからの積み重ね。渋谷凪咲の今

中西正男芸能記者
7月19日に初主演映画が公開される渋谷凪咲さん

 卓越した笑いのセンスで新たなアイドル像を創出した渋谷凪咲さん(27)。昨年12月に「NMB48」を卒業し、新たな一歩を踏み出しました。初主演映画「あのコはだぁれ?」(清水崇監督)が7月19日に公開されるなど着実に歩みを重ねていますが、自らの根っこにあるのは「自信がない」という思いだといいます。

「NMB48」を卒業しての思い

 映画に主演できるなんて夢のまた夢でしたし、それがかなったなんて本当にありがたいことだと思っています。

 そもそも「NMB48」を卒業した理由が「自分も知らない自分の可能性を知りたい」と思ったからだったんです。今回の作品はまさにそのど真ん中というか、思い描いていたような時間を過ごさせてもらいました。

 「初主演のプレッシャーは?」みたいなことを取材でも聞いていただいたりしたんですけど、それを感じる暇もないというか。目の前のことに全力でぶつかるだけでした。

 お芝居で何ができるとか、どこが強みとか、どこまでできるとか、何ができないとか、何も分からない。その中で、とにかく一生懸命やる。あとは清水監督に引き出していただく。1カ月ちょっとの撮影期間はその繰り返しでした。

 今まではアイドルをやって、バラエティーにも出していただいてという中で、リズムが分かっていて、良い意味で息抜きの方法も分かっていました。

 ただ、今回は本当に何もかも初めてだったので、自ずとこれまで会ったことがない自分に会えた気がしています。

 グループを卒業しての変化ですか?そうですねぇ、なんなんやろ、やっぱりグループにいる時は常にグループを背負うというか、発言にしてもファンの方やメンバーのことを考えつつ、広く多くの皆さんにも面白いと思ってもらえるライン。そこを模索するというのはあったと思います。

 そして、自分が頑張ることがグループにつながっていったらいいなと思ってましたし、メンバーと一緒に夢を追いかけるという喜びも感じていました。

 そこを出て、今は「自分のために頑張る」という立ち位置になったとも感じています。時間的にも、お仕事的にも、より自由になりましたし、選択肢は増えているのかもしれません。ただ、いざ自分のためにってなったら、どうすべきなのか。

 こうやって質問していただいているんだから、そこをきちんとお答えすべきなんですけど、まさにそこを毎日考えているところなので、まだ言葉にできないというか。それが今の正直なところでもあります。

 でも、なんなんやろうな、今まではやっぱり「グループにつなげるため」という思いが原動力になっていたと思うんです。今、一人になって、しっかり自分を保っておかないと、自分は何がしたくて、何のために動いているのかも分からなくなってしまう。なので、そこは強く持っておきたいとは思っています。

求められる喜びと不安

 これは昔からずっとなんですけど、本当に自信がないんです。自分から「私はこれが得意です」「これができます」と示すことが苦手というか。

 周りの方から「面白いね」と言っていただいて、初めて「これを喜んでもらえるんだ」と思える。「笑顔がいいね」と言ってもらって「笑顔に全く自信がなかったけど、これでもいいんだ」と思える。自分がアホなのがイヤでアホを隠していたけど、それも「面白い」と言ってもらって「だったら、そこも出そう」と思える。

 「自信はないけど、周りの方が言ってくださるなら大丈夫なのか。その方たちの言葉を信じて頑張ってみよう」

 その積み重ねで自分を作ってきたという感覚があるんです。今回の映画も経験のないホラー作品、初主演。不安でいっぱいだったんですけど、自分を信じてオファーしてくださってる方がいらっしゃるなら、その人を信じて頑張ろうという思いで取り組みました。

 これからも信じて、求めていただける存在でいないといけない。絶対にそうなんですけど、なんというのか、ネガティブじゃないんですけど(笑)、私はいろいろとグルグル考えてしまうところがあるんです。

 「面白いね」と言っていただけるのはすごくありがたいんです。でも、次にお仕事をいただいた時に「よく考えたら、そこまで面白くなかったな」と思われないようにしないといけない。マイナス思考というのでもないんですけど、求められている以上のことをやりたいというのがすごくあって。

 せっかく自分を求めてくださったんだからさらに越えたい。そして、そこで認めてくださったら、次はもっともっと越えないといけない。これって、どこまでいったら落ち着くんだろう。そんな思いも出てくるんですよね。

 この世界にいる以上はずっとそうなんだろうなとも思いますし、私の性格上、そこから逃れることはできないんだろうなとも思います(笑)。でも、そんな自分が自分だし、一生付きまとうことなのかもしれませんけど、うまく肩の力を抜くこともしながらやっていくしかないんだろうなと思っています。

この仕事を続けるために

 後ろ向きなことを言っているように見えちゃってるかもしれませんけど、このお仕事が本当に好きだし、本当に楽しい。そこは間違いないんです。

 なぜこんなにこのお仕事が楽しいのか。それはお会いする方々が素敵な方ばっかりで「こんな方々とご一緒させてもらえている」というのが自分の生きがいにもなっているからなんです。

 ずっと今のお仕事を続けていきたい。そのためには求めていただける存在であること。そしてそこを越え続けていくこと。この二つが必要なんやろうなと。

 …ごめんなさい、すごくまじめにしゃべってますね(笑)。でも、これが今の時点での本当に思っていること、感じていることでもあるんです。

 えっ、卒業して時間ができた中で始めたことですか?そうですねぇ、お料理もよくするようになって最近はガパオライスを作ったりしています。あと、お風呂掃除もこれまで以上に丁寧にやるようになったかなと思います。

 これはこれでごめんなさい…。あまりにも薄いですよね(笑)。

 全部においてなかなかうまくいかないし、反省することばっかりなんですけど、それも自分ですしね。そんな自分と向き合いつつ、これからも頑張っていこうと思っています。

(撮影・中西正男)

■渋谷凪咲(しぶや・なぎさ)

1996年8月25日生まれ。大阪府出身。Showtitle所属。2012年、アイドルグループ「NMB48」4期生オーディションに合格。卓越した笑いのセンスが注目され、多くのバラエティー番組でも活躍。2023年12月に「NMB48」を卒業。読売テレビ「大阪ほんわかテレビ」、関西テレビ「かまいたちの机上の空論城」「よ〜いドン!」、日本テレビ「DayDay.」などに出演中。初主演を務める映画「あのコはだぁれ?」(清水崇監督)が7月19日に公開される。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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