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斎藤慎太郎八段(28)2年連続名人挑戦をうかがう勢い 羽生善治九段(51)残留でA級以上30期なるか

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 第80期A級順位戦は4回戦まで終了しました。

 ただ一人4戦全勝でトップを走るのは斎藤慎太郎八段(28歳)です。斎藤八段は前期8勝1敗で名人挑戦権を獲得しました。

 斎藤八段は名人戦七番勝負では1勝4敗で渡辺明名人にしりぞけられました。しかし今期A級も安定した戦いぶりで、再び名人挑戦をうかがう勢いです。

 斎藤八段を追うのは3勝1敗の豊島将之竜王(31歳)。4回戦、永瀬拓矢王座(29歳)とのタイトルホルダー対決では、途中で苦境に追い込まれながらも、渾身の逆転勝利を収めています。

 1回戦で斎藤八段に敗れた山崎隆之八段(40)は4連敗。ちょうど明暗が分かれる形となりました。悲願のA級昇級から1年目で厳しい戦いを強いられていますが、ここから巻き返せばまだまだというところ。多くのファンの声援が力となるでしょうか。

 羽生善治九段は過去に名人位9期を含め、A級以上連続29期という実績を残してきました。

 羽生九段は前期は4勝5敗で8位の成績。A級3度目の負け越しとなり、今期は初めて順位8位からのスタートとなりました。

 羽生九段は今期、1回戦で佐藤康光九段に勝ったあと、菅井竜也八段、豊島将之竜王、佐藤天彦九段に敗れ、現在は1勝3敗という成績です。レジェンド羽生九段といえども、まずは残留を目指しての戦いとなるでしょう。

 今年度が始まる前、羽生九段のA級通算成績は120勝51敗(勝率0.702)でした。しかし現在は121勝54敗(勝率0.691)。今年度、羽生九段の生涯勝率が7割の大台を切ったことが話題となりました。A級でも現状、7割を切っていることになります。

 A級は4回戦が終わった時点で、上から4勝0敗、3勝1敗、そして2勝2敗が6人いて、1勝3敗、0勝4敗と、対称形になっています。成績上位が崩れて成績下位が巻き返せば、歴史的な大混戦になる可能性もありそうです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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