なぜ日本海側の雪で東海道新幹線が遅れるの?このあとの雪の予想・三連休の南岸低気圧は??気象予報士解説
一連の寒波により日本海側を中心に大雪となっている影響で、朝から東海道新幹線に遅れが発生したり、山形新幹線に運休が出たりしました。
山形新幹線は沿線のほとんどが日本海側だからわかるけど、なぜ東海道新幹線が遅れるのか、疑問に思う人もいるかもしれません。よく「関ヶ原で雪が降るから遅れる」と言われますが、そもそも関ヶ原も太平洋側にありますから、不思議ですよね。
実は、気象予報士の間では、少なくとも数日前から「1月10日は東海道新幹線に影響が出そうだ」という話題が出ていて、筆者の記事でも数日前から注意を呼びかけていました。
今後の雪や三連休の天気の見通しも含めて、気象予報士が解説します。
「ちょうどくびれている」地形
天気予報ではよく、「日本海側」と「太平洋側」と分けて話しますが、日本海側と太平洋側との「距離」は、どこでも同じではありません。
つまり、日本海側にかかっている雨雲や雪雲が太平洋側にほとんど影響しないくらい離れているところもあれば、簡単に「侵入」してしまう地域もあります。
東海道新幹線が岐阜県の関ヶ原付近を走る部分は、ちょうど日本海(福井の若狭湾)から太平洋(愛知・三重の伊勢湾)との距離がかなり短く、地形が「くびれている」場所です。
「ちょうど通り道が空いている」地形
さらにもうひとつ、山の配置にもポイントがあります。
そもそも、日本海側と太平洋側で違う天気になりやすいのは、その間に高い山々があって、雨雲や雪雲をブロックするためです。
しかし、関ヶ原周辺というのは、ちょうど伊吹山地の南端に位置し、それより南の養老山地や鈴鹿山脈の北端に達するまでにやや間が空いてしまっています。
そのため、ここをちょうど通り抜けるような風向き(西風と北西風の間くらい)の風が吹いてしまうと、関ヶ原や名古屋方面へと雪雲が流れ込んでしまうのです。
ちなみに冬型の気圧配置のときは、事前に大まかな風向きの予想がしやすいため、今回は数日前から「10日は東海道新幹線が止まりそうな風向きになりそう」と予想がついていたというわけです。
このあとの天気は?三連休の南岸低気圧の影響は??
一連の寒波による大雪は、ようやくピークを越えたところが多くなってきました。ただ、このあとも東北~中国地方の日本海側(特に東北北部と山陰)では、局地的に雪が強まるおそれがあるため警戒を続けてください。
また雪がやんでも落雪や雪崩の危険は続くため、移動や除雪作業は十分注意をしてください。特に今回の寒波では気温が0度付近で降った雪で湿った重たい雪になっているので、ふだんよりも危険度が高いです。
三連休初日となる11日(土)も、日本海側ではまだ雪が降るところがあるでしょう。
12日(日)は南岸低気圧の影響で太平洋側でも雨や雪が降り、午前は九州、午後は西日本~東海、夜は関東で降るところがありそうです。
東京都心では今のところ、雪よりも雨の可能性の方がやや高い予報ですが、微妙な気温の違いで雪になることがあるため、必ず最新の(直前の)予報を確認してください。
また四国や紀伊半島の山沿いは雪になるところがあるでしょう。
来週は15日(水)頃から再び冬型の気圧配置が強まり、日本海側中心に雪が強まりそうです。
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