新型MacBook Pro 日本では円安の影響続く
10月30日(米国時間)、アップルが新しいプロセッサー「M3」シリーズを搭載したMacBook ProやiMacの新製品を発表しました。
M3は性能向上と高い電力効率をうたう順当なアップデートに感じるものの、日本では値上げが際立っており「円安」を実感せずにはいられない内容となりました。
13インチの後継エントリー機が登場
アップルは独自プロセッサーであるAppleシリコンを開発することで、インテル製からの置き換えを進めています。
これまでは「M1」「M2」といった無印のモデルから段階的に出てきていたところが、今回は「M3」「M3 Pro」「M3 Max」の3モデルが同時発表となっています。
このプロセッサーを搭載する製品として登場したのが、ノート型の「14インチ/16インチMacBook Pro」と、オールインワン型デスクトップの「24インチiMac」の新モデルです。
製品のラインナップで注目したいのは、14インチMacBook Proに新たなエントリー機といえる「M3」搭載モデルが加わっている点です。
これまでの最小構成は「M2 Pro」搭載の14インチMacBook Proでしたが、その下に位置するM3モデルが登場したことで、クリエイター向けだけでなくビジネスや教育用途もカバーするようです。
これは最後のTouch Bar搭載モデルとして残っていた「13インチMacBook Pro」を置き換えるものとなっており、こちらは販売が終了しています。
M3搭載機と、M3 Pro/M3 Max搭載機の違いとしては最大メモリ容量や出力できる画面の数などがあり、Thunderbolt 4(USB-C)ポートが1つ少ない、60〜70グラムほど重量が軽いといった物理的な違いもあります。
発表イベントの動画によれば、冷却ファンも13インチMacBook Pro同様に1基とみられることから、高負荷時の使い勝手を左右する冷却能力にも違いがあるかもしれません。
M2搭載の「13インチ/15インチMacBook Air」との選び方としては、Airは冷却ファンがなく持ち運びも軽快、Proは性能重視や側面ポートの充実といった違いがポイントになるでしょう。
もう1つ面白いのは、新色として登場した「スペースブラック」です。M3 Pro/M3 Max搭載のMacBook Proのみ、本体カラーとしてシルバーかスペースブラックを選択可能。従来のスペースグレイ色よりも黒く見えます。
最近のMacは「M1」世代があまりにも良すぎたために買い替えが進んでいないとの指摘がありますが、M3世代の性能向上と相まって、「黒いMac」という買い替えたくなる要素を加えてきたのは印象的です。
日本では円安の影響続く
価格については、残念ながら日本では気軽に新色に買い替えるのは難しい内容になっています。
M3 Pro搭載の14インチMacBook Proは、米国では税抜1999ドルからの据え置き価格です。しかし日本では税込32万8800円からと、前モデルから4万円の値上げとなります。
「2000ドルのものが30万円を超える」ことに驚くかもしれませんが、米国と同じ税抜価格で比べると為替レートは1ドル=149.5円となり、昨今の円安が忠実に反映された印象です。
一方、エントリー機であるM3搭載MacBook Proは、最小構成では13インチMacBook Proの1299ドルから1599ドルへ、米国でも300ドルの値上げとなっています。
しかし日本では、発表時期による為替レートの違いが上乗せされ、24万8800円と7万円高くなることで価格帯が大きく異なる製品になっています。
それでも為替レートを考慮すると1ドル=141円前後と、やや割安な設定となっています。アップルとしては戦略的に「25万円を切る」価格にしたかった印象を受けるところです。