100年の歴史が展開される相鉄都心直通記念ムービー「100 YEARS TRAIN」のすごさ
2019年11月30日、相鉄が都心に乗り入れます。
と言われても、神奈川県民や鉄道にくわしい人でもない限り、正直ピンとこないかもしれません。でも、このムービーはちょっととりあえず見てください!というのが、相鉄都心直通記念ムービーとして作られた「100 YEARS TRAIN」です。まだ公開2日ほどですが、すでに20万回近く再生されています。
二階堂ふみと染谷将太の演技というか存在感がすばらしいのですが、いや音楽もすばらしいんだけど、そういったこともとりあえず置いておいて、まずは見ましょう。全部で3分26秒の動画です。
いや、ホントいいですよ。企業PR動画でここまでやってくれるとは!と素直に思うのですが、同時になんでここまでやるのか?とも思えるので、その辺をひもといていきたいと思います。
相鉄こと相模鉄道は、その歴史の始まりを大正とする100年の歴史のある鉄道ですし、いわゆる大手私鉄でもあります。ただ、首都圏の大手私鉄の中で唯一都心部への乗り入れ・直通がなかった鉄道でもあったわけです。つまり、都心への乗り入れは相鉄の悲願であったといってもいいでしょう。
その大正・昭和・平成・令和の歴史を持っているからこそ、「100 YEARS TRAIN」の構成もそのまま大正・昭和・平成・令和となっています。
この記事を書くまでに10回ぐらいこの動画を見ていますが、初見からびっくりしたのが、この4つの時代をかなり細かく再現していることです。実際、監督曰く「鬼のように小ネタ入っている」そうです。50手前である私の世代的には、やはり電車の中でマンガ雑誌を読んでいる光景がなつかしくて涙出ますね。
そして、さらに驚くのが電車内だけではなく、車窓の光景まで、それぞれの時代を再現しているところ。それこそ、映画でもないのに、これどうやっているんだろうと思ったんですが、その答えはちゃんとメイキング動画の中にありました(二階堂さんと子役さんのやり取りがすごくかわいい)。
答えはある意味、単純で車窓の光景は全編クロマキー撮影によるCG合成でした。もう今はここまでできるんだなあという感慨もありますが、同時にここまでやったんだなあという感動もあります。
また、この動画は相鉄が都心に「つながる」ことがテーマになっていますので、ストーリーも大正・昭和・平成・令和をつなぐものになっています。つまり、各時代が切り替わっていくとき、毎回落とし物が時代をつなぐという構成になっています。
演出意図でもあるので、どうしても二階堂ふみさんの視線に目が釘付けになり、さらに時代を超えるということで、やっぱり「千年女優」という映画のことを思い出します。でも、それ以上に今の時代に作られる企業のそれも電鉄会社のPR動画ということで、あくまでも女性から男性への目線となっているのが今どきですよね。
また、企業がPRの場としてYouTubeを活用するというのは、もうおなじみのことですが、この相鉄グループ公式の動画の出し方はすごくうまかったといえます。
動画そのものは、まだ5本しかないのですが、出す順番がうまい。
- 新型車両の紹介動画
- 新型車両・新宿初入線の前方展望タイムラプス動画(上り)
- 新型車両・新宿~西谷までの前方展望タイムラプス動画(下り)
- 100 YEARS TRAIN
- 100 YEARS TRAIN・メイキング
つまり、鉄道好きのみなさんにちゃんとごちそう動画を用意して、実際の乗り入れ開始まで気持ちと熱量を高めつつ、乗り入れ直前には、鉄道そのものには興味はなくてもうっとりできる動画を用意する。そう、この順番なんですよ、この順番!!実にわかってる!逆ではダメじゃないけど、せっかくの動画が再生回数という意味でも生きてこないんです。
ということで、あれこれお話しましたが、これ要するに電車の中で見て欲しいムービーです。ということで、もう1回貼っておきます。いいものは何回見てもいいものですからね。