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この選手の出塁率は打率を下回る。打率.200と出塁率.192。逆転現象はなぜ起きるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
フランシスコ・リンドーア(ニューヨーク・メッツ)Mar 1, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今春、フランシスコ・リンドーア(ニューヨーク・メッツ)は、9試合に出場し、出塁率.192を記録している。一方、打率は.200だ。こちらも低いものの、出塁率を上回る。

 通常、打率は出塁率より高くならない。ただ、サンプル数が少ないと、リンドーアのような「逆転現象」が起きることもある。

 打率の計算式は「安打÷打数」、出塁率は「(安打+四球+死球)÷(打数+四球+死球+犠飛)」だ。リンドーアの場合、四球と死球はどちらもゼロだが、犠牲フライ(犠飛)が1本あり、打率は5÷25=.200、出塁率は(5+0+0)÷(25+0+0+1)=5÷26=.192となる。

 MLB.comによると、今春、ここまでに25打席以上は182人。そのうち、打率が出塁率より高い「打率>出塁率」は2人だ。リンドーアの他には、ダレル・ハーネイス(オークランド・アスレティックス)が打率.240と出塁率.222を記録している。四球と死球はなく、犠牲フライを2本打っている。

 あとは、「打率=出塁率」が6人、「打率<出塁率」が174人だ。四球、死球、犠牲フライがどれも皆無だと、打率と出塁率は同じ数値――出塁率=(安打+0+0)÷(打数+0+0+0)――になる。基本的に、四球と死球は出塁率を上げ、犠牲フライは出塁率を下げる。

 偶然ながら、リンドーアとハーネイスは、どちらも、プエルトリコ生まれの遊撃手だ。

 30歳のリンドーアは、これまでの9シーズンに、30本塁打以上を4度記録している。昨年は、初の30-30を達成。今年は、10年3億4100万ドル(2022~31年)の契約3年目だ。

 22歳のハーネイスは、まだメジャーデビューしていない。昨年は、AAとAAAの計131試合で打率.321と出塁率.386、9本塁打と13盗塁を記録した。今年は、控え内野手として開幕ロースターに入ってもおかしくなく、うまくいけば、一塁を除く内野3ポジションのどこかを占めるかもしれない。今のところ、最も可能性が高いのは三塁だろう。二塁はザック・ゲロフ、遊撃はニック・アレンが有力だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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