HSPと不安症の違いとは!?なりやすい人の「共通点」について解説
こんにちは、精神科医しょうです。
不安や恐怖は誰でも持っている感情ですが、その感情が過剰になりすぎて生活に影響が出ている場合は、『不安症』を発症しているかもしれません。
「敏感で繊細な気質を持つ人」であるHSPは、ほかの人よりも不安を抱えやすい傾向があります。
HSPの人が不安症を発症しやすいのか、気になる人もいるのではないでしょうか。
この記事ではHSPと不安症の関係、なりやすい人の特徴、不安症を発症したときの対処法について紹介します。
HSPと不安症の違い
HSPと不安症は似ている部分もありますが、根本的に異なるものです。
HSPはアメリカの心理学者アーロン博士が提唱した「生まれつき繊細な気質を持った人」という意味がありますが、不安症は精神医学上で定義された病気のひとつです。
HSPは病気ではないので、正式な診断を受けたり治療薬が処方されることはありません。
一方不安症は、薬での治療やカウンセリング、認知行動療法をおこなうことがあります。
HSPは不安症を発症しやすい?
HSPは音や光、においなどの刺激に弱く、感受性が高いという特徴を持っています。
その特徴から他の人よりもストレスや不安を抱えやすく、心身ともに疲弊することも多いのではないでしょうか。
HSPが不安になりやすい場面は、下記の通りです。
・騒がしい場所や大きな音がする場所
・大声で話す人、怒鳴る人
・悪口や他人の噂話が絶えない職場
・機嫌の悪い人やイライラしている人が近くにいる
・強い香水のにおいがする空間
・人の感情の裏を読み取りすぎて不安になる
HSPは五感が敏感なので、ガヤガヤした騒がしい場所や大声で話す人は苦手な傾向があります。
また、空気を読むことが得意で共感力も高いため、機嫌の悪い人がそばにいるとそれだけで不安を感じたり体調を崩してしまうこともあります。
不安症になりやすい人の特徴
過敏性を持つHSPの他にも、不安症になりやすい性格の人もいます。
下記で不安症になりやすい人の特徴を紹介します。
・完璧主義
・神経質で些細なことが気になる
・心配性
・ストレス耐性が低い
・小さいことを気にしていつまでも引きずる
・もともと不安や恐怖を感じやすい
・仕事や育児、勉強などで精神的に追い詰められている
・緊張しやすい、緊張によって体調を崩しやすい
もともと不安や恐怖を感じやすかったり、緊張で体調を崩しやすい人は不安症になる可能性がとても高いです。
また、仕事や育児などに追われて精神的に苦しい状況が続いている人も不安症を発症することがあるので注意が必要です。
不安症の種類
社会不安障害
社会不安障害は、人前で発言することや注目されること、人が大勢いる場所にいると苦痛や恐怖を感じる病気です。
恥ずかしがり屋なだけ、緊張しやすいだけだと思われ、なかなか周囲の理解を得ることが難しい病気のひとつでもあります。
人前で発言するときに緊張する人は多いかと思いますが、社会不安障害の場合はそれが身体症状となって現れます。
症状が出ることに対して不安を感じて、緊張する場面を避けるようになります。
症状が重たい場合だと外出や人に会うことを避けるようになり、学業や就業などの社会生活に大きな問題を抱えることがあります。
パニック障害
パニック障害は、突然前触れもなく動悸や呼吸困難、めまいなどの発作(パニック発作)が引き起こされる病気です。
パニック発作がまた起こるかもしれないという不安や恐怖から、特定の場所を避けるようになり、外出や社会生活が制限されてしまうことがあります。
特に人が集まるような場所やエレベーターの中、電車の中、頼る人がいない状況での外出に不安を抱えやすいのが特徴です。
パニック障害が長期化すると、うつ病や他の心の病気を併発する恐れがあるので注意が必要です。
強迫性障害
強迫性障害は、自分でも意味のないことだとわかっているのに頭から離れないことがあったり、不安を解消するために何度も同じ行為を繰り返したりして日常生活に影響が出てしまう病気です。
注意深い、慎重な人、心配性な人だと捉えられてしまうことが多いため、本人ですら強迫性障害であることに気付いていないケースが多いです。
しかし、明らかに度が過ぎた強迫行為をして精神的に辛くなっている場合は、強迫性障害の可能性がとても高いので専門機関での相談や治療が必要になります。
全般性不安障害
全般性不安障害は特定の出来事や物事に限らず、漠然とした不安や心配を抱え込み、その状態が長期化することで心身ともに症状が現れる病気です。
理由もなく不安になったり、生活上のありとあらゆることに対して不安を抱えたりするのが特徴です。
普通の人であれば、「嫌なことに巻き込まれるかもしれない」と一瞬思ったとしてもすぐに気持ちを切り替えることができますが、全般性不安障害の人はその不安を拭うことができず、寝付けなくなったり体調を壊したりすることがあります。
こうした状態が6ヶ月以上続いているのであれば、全般性不安障害の可能性が高いです。
不安症かもしれないと思ったときは
医療機関を受診する
不安症のような症状が出ている場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
適切な治療とアドバイスを受けることで、症状が改善されることがあります。
特にパニック障害や強迫性障害などの不安症は、長期化するとうつ病を発症してしまうことがあるため、つらい症状を抱えている場合は無理をせずに精神科や心療内科の医師に相談するようにしてください。
生活習慣を改善する
生活習慣を改善することは、不安症の症状を和らげることにも繋がります。
しっかり睡眠をとる、適度な運動をする、バランスの良い食事をすることは基本的なことですが、なかなかきちんとした生活習慣を送ることは多忙な現代社会では難しいものです。
しかし、不安症を改善するためにも、できるところから少しずつ生活を改善するように意識していくことが大切です。
また、コーヒーなどのカフェインやアルコールの摂り過ぎは、パニック発作を悪化させてしまうことがあります。
完全に断つ必要はありませんが、いつもより飲む量を少なくするなど調整することをおすすめします。
マインドフルネスをおこなう
マインドフルネスは日々の不安や仕事の悩み、他人からの評価などつい浮かんでしまうネガティブな考え事を鎮め、「今」に意識を向けることができるような精神状態を作り出すために効果的な方法です。
マインドフルネスを実践することで雑念が消えて集中力が高まるだけでなく、不安やストレスを抱えている状態から解放され、心身のコンディションを整える効果があります。
また、マインドフルネスは心を落ち着けてリラックスさせる目的があるので、副交感神経が優位になりストレスの軽減にも役に立ちます。
認知行動療法
認知行動療法は狭くなってしまった考え方を解きほぐし、思考のバランスを整えてストレスを軽減させる心理療法です。
不安になりやすいといった認知の癖に自分で気づき、柔軟な考え方ができるように、認知と行動に働きかけます。
また、自分自身の反応をより良いものに変えていくために、心身のセルフコントロール法を実践することも不安症の改善に効果的です。
精神病の治療だけでなく、スポーツやビジネス、教育などあらゆる分野で認知行動療法が取り入れられています。
薬物療法
不安症の人は、脳内の神経伝達物質が低下していることが多いです。
そのため、薬物療法では脳内の働きを改善するため抗不安薬や抗うつ剤が用いられます。
抗不安薬は頓服として必要なときだけ服用することも多く、「この薬があるから大丈夫」という安心感を持つことができるため、外出時における不安の軽減にも繋がります。
しかし、抗不安薬や抗うつ剤には依存性があるため、医師の処方のもと適切な服用をしなければなりません。
まとめ
HSPと不安症の関係、HSPが不安を感じやすい場面、対処法などについて紹介しました。
HSPは他の人よりも刺激に弱く不安を感じやすい傾向があるため、ストレスから心身を消耗してしまう人が多いです。
過剰なストレスや不安によって心身に症状が現れ、社会生活に影響が出ると「早く治さなきゃ」と焦ってしまうかもしれませんが、一人で克服しようとするのは逆効果になる恐れがあるので無理は禁物です。
不安症の症状が出てつらい場合は、早めに精神科や心療内科を受診するようにしましょう。
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