Yahoo!ニュース

【オートバイのあれこれ】史上最小のV4エンジン!?

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。

今日は「史上最小のV4エンジン!?」をテーマにお送りします。

ホンダのVFRシリーズやヤマハのVMAXなど、バイクの世界では比較的大きな排気量で採用されることの多いV4(V型4気筒)エンジン。

そんなV4エンジンに、かつて125ccサイズのものがあったことをご存知でしょうか。

▲GP250マシン・RD05をサイズダウンして生まれたRA31の発展版がRA31Aだ
▲GP250マシン・RD05をサイズダウンして生まれたRA31の発展版がRA31Aだ

上の画像の車両は1968年(昭和43年)に登場したヤマハ『RA31A』という125ccのGPマシンなのですが、実はこのRA31A、パワーユニットとしてV4エンジンが採用されていました。

具体的には、排気量124ccの水冷2ストロークV型4気筒・ロータリーディスクバルブ吸気のエンジンで、ピークパワーは44ps/16,800rpm~を発揮、組み合わされるトランスミッションは9速となっていました。

▲排気量124ccの水冷2ストV4エンジン!実際には「L」の字状に搭載されている
▲排気量124ccの水冷2ストV4エンジン!実際には「L」の字状に搭載されている

RA31Aは、前年(‘67年)の世界グランプリにおいて全12戦中10勝を挙げ、ヤマハへGP125クラス初のコンストラクターズタイトルをプレゼントした『RA31』の進化版で、RA31から軽量化などのアップデートが施されていました。

RA31も相当速かったわけですが、RA31Aはその戦闘力にいっそう磨きがかかっており、’68年シーズンのGPではフィル・リードがライディングしたRA31Aが6勝、ビル・アイビーが駆ったRA31Aが2勝をそれぞれ挙げ、RA31Aはトータルで全9戦中8勝という圧倒的な勝率をもってしてヤマハを2年連続のチャンピオンメーカーへと導いたのでした。

▲ホンダのRC166(250cc6気筒)などと同様、RA31Aもメカニズム面でかなり興味深い
▲ホンダのRC166(250cc6気筒)などと同様、RA31Aもメカニズム面でかなり興味深い

そしてこのRA31Aの逸話が、デビュー後いとも簡単に「オーバー・ザ・トン」を達成したこと。

「オーバー・ザ・トン」とは、マン島TTレースにおいて、コース1周の平均速度が時速100マイル(≒160km/h)を上回ることを指します。

‘60年代当時の125ccクラスではまだ平均100マイルが一つの壁で、「果たして125ccでクリアできるかどうか」という微妙なハードルだったわけですが、’68年のマン島TTレースに出場したRA31Aはスタートから2周目でさっそく平均100.32mphを記録、涼しい顔(走り?)でオーバー・ザ・トンをクリアしてみせたのでした。

もちろん、このマン島TTを制したのもRA31A(ライダーはフィル・リード)。

V4エンジンを搭載した125cc、一度乗ってみたくないですか?

私(筆者)は乗ってみたくて仕方ありません。

※以下のリンクからRA31Aのエンジンサウンドを聴くことができます。

ヤマハ発動機 展示コレクション

1968年 RA31A

画像引用元:ヤマハ発動機

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

Rotti.の最近の記事